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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.81

 

「いい取引ができた。」


 思わぬ出会いに感謝しつつ、軽い足取りで予定地に向かう。準備もあり本日から営業はできんだろうが、仕込みと試作まではなんとか済ませたいところ。うーん随分と出遅れてしまったが、ここから巻き返せばいい。使えるもんは親でも使うのが俺の信条。こちとら旅人だからな。法は知らなかったことにする。実際、知らないし。


「あ、どうせなら鉄板も貰ってくればよかった。」


 道中の半分くらいまできたところで思い出す。こんなことばかりだ。目的を達成したら、他のことに頭が回らなくなる節がある。俺の明確な弱点と言ってもいい。こうやって自己分析できているから、まだマシな方だとは思いたいんだが、いつか大ポカかます可能性もあるからな。毎回慎重に考えることを念頭に行動しなくては。このままでは【欲望の僕】を悪く言うことができなくなるぞ。


「ま、絶対もらえるとは限らないしな。」


 鉄板なんて、それこそ鋳潰すことができるし。石で代替できるから、致命的なミスでもないし。必要になったら、また交渉しよう。ナイフの調整がてら、鯛の鯛にお願いしてみてもいいかもしれんな。


 そうこうしているうちに予定地に着く。街を挟んで畑のちょうど反対側だろうか。南側の岩場である。ここで匂いを撒き散らしても、街には届かん。代わりに、集客面での不安は残るが、それについての策はある。


 城壁を背にして石を組んでいく。落とし穴を掘ったときの土があって助かった。土を盛り固め、高さを出しつつ、とりあえずの石板用と鍋用で2枠の囲いを作る。平らな石も比較的すぐ見つけることができた。懸念点としては、水を含んでおり加熱により爆ぜてしまうことだが、ゆっくり時間をかければ大丈夫かな。n/nさんから譲ってもらった鍋もなかなかの大きさで、料理のしがいがある。石板も鍋もなんとか枠に収まってくれた。少し時間をかけてしまったが、いい出来なんじゃなかろうか。


「あれ、雨降ったらおじゃんか?」


 まあ、その時は木で簡易的に屋根を作ればいいんだ。なんのために生産系のスキルを取ったと思っている。屋外で無許可営業をする時のために決まっているだろう。


 近くから枯れ葉を集めて【生活魔法】で火をつける。とりあえず、鍋の方だけ。葉が燃えてきたら、木を焚べ火力を上げていく。鍋を置き、温まったらスーパーで買った豚肉を入れる。大きなブロックで買ってきたんだが、鍋も大きくて助かった。最終的には煮るんだが、焼き目をつけるとメイラード反応がどうのこうのなるらしい。詳しくは知らん。焦げた方が上手いのは本能的に知っている。ご飯のおこげとかも、誰から教わるわけでもなく初見で美味しいと感じるもんな。おそらくDNAに刻まれているんだろう。


「おお、いい色。」


 いい感じに焦げ目がついている。大きいブロックだから中まで火が通ってはいないだろうが、煮込むから問題ない。こちらの生肉はどうなっているんだろうか。食当たりももちろんあるんだろうな。日本並みに衛生管理が行き届いているなら、生で食えなくもないのだろうが。その辺は、畜産志望のプレイヤー次第か?


「せっかくだから、これも入れよう。」


 朝猪を狩ってドロップした猪肉。せっかくだから美味しくいただこうと、最初に入れていた肉を取り出し、鍋に入れる。猪肉にも焼き色がついたら、大きいブロック肉を戻し、スーパーにあったスパイス類、調味料、水やオレンジジュース、油なんかを完全につかるまでぶち込んでいく。あとは煮立たせて、水嵩が減れば再度液を継ぎ足していく。


 次に石版をまな板代わりにし、一緒に食べる野菜類を細かくカットしていく。鯛の鯛の打ったナイフは切れ味が落ちない。木なんかも削ったりしてるのに。耐久値は減っていいっているので、そろそろメンテナンス時期かも。


「こんなもんかな。」


 結構な量をみじん切りにして、それぞれ器に移しインベントリへ。フードロスがないのはでかいな。料理なんて大量に仕込んだ方が美味しくなるのに、一人暮らしだとそんなことできないからな。こちらの世界で、現実世界では作ってみたかったけど作れない料理ができて最高に嬉しい。


「さて、肉の様子はーっと。」


 鼻唄混じりで上機嫌に肉の入った鍋を確認する。火加減が難しいが【料理】スキルが効いてるのか、めちゃくちゃいい仕上がり。ナイフで少し刮ぎ、食べてみるとものすごく美味しくできている。問題は、今回適当にスパイスとか入れてしまったから、明日次回以降同じ味を出せるかだが、こちらも感覚と【料理】スキルでカバーできそうだな。猪肉ももう少し在庫があるし、もしかしたら、また掛かっているかもしれないしな。


 鍋を外し、インベントリへ。これで、明日あつあつな状態で出せるって、便利すぎない?試しに石板を火にかけて様子を見ているが、爆発する様子はなし。これで安心して、明日使えるな。石版を外し、温度が下がったところで、小麦粉と塩に水で生地を作り、整形する。これも量産して、寝かせておく。本当はとうもろこし粉があればベストなんだが、流石に取り扱っていなかった。とうもろこし自体はあるので、作ろうと思えば作れるんだろうな。盛況だったら考えよう。


 最後に、ソースを作る。トマトと玉ねぎを刻んで、にんにく、塩、レモン、あとは唐辛子なんかを使ってサルサソースを。アボカドにレモンと塩を混ぜてワカモレソース。とりあえず、2種あれば成り立つだろう。あとは、明日生地を焼いて、肉と野菜挟んで、ソースをかけて提供する。2個セットでいくらぐらいで提供しようかな。ジョンの茶店のコーヒーが1,000リルだから、流石にあれ以上は取れないし、800リルくらいにしようかな。あとは売れ行きを見て可変で。


「明日が楽しみになってきた。」




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