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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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76/86

ep.74

 

「あと、これ。」


 そう言って渡してきたのは、釣具一式だった。そこまでサイズの大きくない、俺みたいな初心者にも扱いやすいような竿にリール、糸、ルアーまでついている。


「これ、どうしたんだ?」


「第2エリアの街に専門店があったんだ。」


「ボス倒したのか?」


「釣り人連合でなんとかな。」


「転職は?」


「ああ、旅人から釣り人になった。」


 なんと。俺がコーヒーだの、落とし穴だの言っているあいだに兵太夫は第2エリアまで進んで転職まで。第2エリアに専門店があったから、第2エリアに海があると思って各地探索していたらしい、そんな折、俺が海の情報を投げたので飛んでこっちに戻ってきたらしい。今は兵太夫周りの釣り人で、洞窟奥の砂浜は結構賑わっているそうだ。やけに魚が多いと思ったら、その人たちから預かってきた分も含まれているらしい。よほど海釣りしたかったんだろうな。だから、兵太夫は少し良い値段の釣具一式を用意してくれたのだと。薄情なのか義理堅いのかわからんな。


「ありがたく。」


 せっかくだから遠慮はせん。海が賑わっているなら、今度川に行ってみようかな。順番的にも川の方が難易度低そうだし。そういえば、イベント期間中だったことを思い出し、進捗を聞いてみる。俺の予想では釣り人は結構ポイント稼げると踏んでいるんだが。


「ガチャポイントは貯まっているのか?」


「まあ、順調だな。お前は?」


「俺はこれからだ。」


「良い釣具が出れば、一報くれ。」


 そう言って別れる。ギルドに行けばタダ飯食えるかもしれないぞ、と付け加えておいた。不思議そうな顔をしてたが、行ってみるよと言って歩き始める。俺も畑の方に歩きながら魚料理を何にするか考えはじめる。甲殻類があればバリエーションも増えるんだが、イカが数杯にエビが数尾だった。まさに虎の子。今のところ喫茶店でのパスタ用かな?米が見つかってからが本番だ。


 畑の方に行くと、落とし穴は反応なし。ルーとは畑までの道中で合流できた。すまなかったな。ルーの初陣はスライムにしようか。あれだったら魔法の通りがいいし、速くない。仮にルーが戦わなかったとしても、俺でも勝てる。


 畑の祠の木と木の隙間から雨が滴っている。神像には悪いが、一度バラし、ナイフで木の形を整えていく。それでも限界はあるが、しないよりマシだ。当初の予定では、紐で括ろうと思っていたが、丈夫さを考えて釘で固定することにした。本物を作る時までには木組みを勉強しておくから。見よう見まねでできるもんでもないが、こっちではスキルがあるからな。知識があればスキルの補正が効いてくれて、なんとかなるんじゃなかろうか。宮大工プレイヤーなるものが現れたら、そいつに依頼しても良いかもしれない。


「うん。随分いいな。」


 ハンマーも買っておいてよかった。杖で釘打ちしてたらと思うとゾッとする。側面の囲いを固定した後に、上に屋根を乗せて釘で打ちつけて完成。素材を生かして、少し傾斜がついている自信作だ。すまんな、豊穣神。今日供えられるものはないんだ。雨が降っているから、種も次回にしよう。


 手を合わせて、街へ戻る。今日は久しぶりに風呂にでも入って神殿で寝ようかな。ルーはどうする。まあ、行ってみてからだ。人間の街が合わなかったら、キャンプ生活に戻そう。父さんな、今回のイベントの豪華景品で、自宅を手に入れようと思うんだ。止めてくれるな。明日から、本気でポイント稼ぐぞ。


 東門の方へ歩いて行くと手頃なスライムが1匹いた。レベルも低め。ルーの初陣にはもってこいじゃなかろうか。今なら、回復薬もある。街に戻る前に使おうとは思っていたが、戦闘するなら、その後に使おうかな。どうせ、あとは風呂入って寝るだけだし。


「ルー、戦ってみるか?」


「   」


 肯定なのか、否定なのかわからんが、背中にいたのが肩のところまで上がってきた。【時空魔法】の使い手とのことだが、果たして。俺の持ってる【水魔法】とかだと最初から攻撃魔法を持っていたので、攻撃手段はあると思いたいんだが。Lv.4までは上がっているんだし。


 ドゴオオオォォォォオオン


「 ひゅー。」


「   」


 少し間を置いて、目の前でスライムが爆散した。地面もえぐれている。いてっ。小石も飛んできて足に当たった。そのあまりにもな光景に口笛も乾いてしまう。ルー、いや、ルーさん。強かったんですね。魔法が得意なのは知っていたが、ここまでとは恐れ入った。なんて魔法を使ったのかはわからんが、ウォーターボールとかとは明らかに毛色が違う。何かが飛んでいくんではなくて、スライムのいた座標あたりで超新星爆発みたいなのが起きたように見えたんだが。当の本爬虫類は肩から腕にまでフラフラと降りてきており、何かを要求するように姿を見せたり、透明になったりしている。


「あー、はいはい。」


 マダム謹製のMP回復薬に【再生】を使いながら、ルーにかけてやる。HPが残り少なくなった段階で、HP回復薬は俺が。さっきのあれ、結構MP食うんじゃない?俺が舐めてるから、力を見せつけたかったとか?それとも、【時空魔法】自体が燃費悪いのか?マダムの氷の矢に勝るとも劣らない脅威を感じた。まさか、魔道具屋で笑ったこと、根に持ってる?






”オ”ってゲシュタルト崩壊しませんか?

オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

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