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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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73/82

ep.71

 

 自分から言い出した手前、何か目新しいものを作りたい。せっかくだから、レシピに登録させたいし。うーむ。甘味となると、どうしても冷やす工程を挟むことが多いからな。【料理】でできるのだろうか。アイスコーヒー飲む時は、カウンターの下から氷を取り出しているようなんだが、どういった仕掛けになっているんだろう。こないだオーブンは利用させてもらったが。


「冷やすことはできるだろうか?」


「そこに保冷庫がある。」


 開けてみると、ブロックとクラッシュの氷が。隣に少しの空きスペースがあり、ここで冷やすことができそう。氷属性の魔石が使われているらしい。この世界では魔石が生活に根付いていて、各地の特産品というか、主要産業として確立されているらしいのだ。アインス付近では水魔石が多く産出されるらしい。未だ見かけたことはないが、時折、水魔石をドロップする魔物がいるらしい。強い魔物は効果の強い魔石を持った確率が高くなるそうだ。ここ最近この手の話をよく聞くな。他のプレイヤーはすでに通った道なのかもしれないが。


 冷やすことができるなら話は早い。色々材料揃えてくれているから、プリンでも作ろうかな。生クリームはないが、フルーツを乗せてプリン・ア・ラ・モード風にしよう。喫茶店らしさも損なわない、我ながらいい案じゃなかろうか。専用の型なんぞないだろうから、丈夫そうなカップをいくつか拝借。砂糖と水を火にかけ、カラメルを作り、そこに流す。この世界の砂糖はなんだろうと、ぺろっとしてみるも、わからず。結局【鑑定】をしてグラニュー糖に近しいものだということが判明。カソナードがあれば本格的なキャラメリゼなんかにも挑戦できるのだろうか。


 卵を溶いて砂糖と混ぜる。牛乳を温め、卵液に少しずつまぜて濾す。カラメルの入った器に流し込む。今回は簡単に鍋で湯煎にしようかな。卵液の入った器を並べ、湯を半分ほどはる。ジョンにはバレているので、一応ルーの分もと思って4つ準備した。ルーが食べないなら髭に回してもいい。髭はルーに気づいているんだろうか。様子を伺ってみるも、分からん。あとは蓋を被せて火を入れるだけ。この方法のいいことは、プリンの状況を簡単に視認できる点だ。


 蒸している時間で買ってきたフルーツをカットする。いくつかジョンの用意してあるフルーツもあったが、今回は自分のを使おう。もちろん種を回収しながら。オレンジやスイカなんかは取りやすくていいが、苺が面倒だった。ジョンに変な目で見られるし。これは器用値が関係しているのか?飾り切りの技術はないので、無骨な見た目にはなってしまったが、まあ、それも味ってやつだ。苺を育てるのに藁が必要だったろうか?ゲームの世界だから、なんとかなるか。頼みましたよ、豊穣神。


 種取りに苦戦している間にプリンもそろそろいい時間。揺すってみると、いい弾力が。少しかためになってしまったか?でも、古き良き喫茶店らしくていいな。個人的には柔らかいのが好きだが、こういうところでは固ければ固いほどノスタルジーを感じられる。ますます生クリームがあればな。次は、買ってインベントリにしまっておこう。


 あとは粗熱をとって冷ます工程だが、その間はどうしよう。せっかくだからコーヒーはプリンと一緒に楽しみたいし、調子に乗って軽食も作っちゃっていいかな。確認とってないが、いいよね。甘党の髭は何かそわそわしているが、冷やす時間が必要なんだ。もうしばらく辛抱してくれ。


 スパゲッティを茹でる。塩分は1%程。この辺は教科書通りにやれば問題ない。トマトも拝借して、切れ目を入れて湯むきし、少し形が残る程度に潰しておく。オイルにニンニクの香りを移し、カニの身をほぐし入れ炒める。トマトを入れて、塩胡椒で味付けし茹で上がったスパゲッティを入れて混ぜ合わせれば完成。家で作るときはカニカマになってしまうんだが、今回は本物を使えた。やっぱり、こっちの世界は最高だ。時間は足りんが、金銭面はクリアできている。スタート時はどうなることかと思っていたが、だんだん軌道に乗ることができてよかった。味覚の再現性が高いのも素晴らしいことだ。


「見事な手際だな。」


 スパゲッティを盛り付けているとジョンからお褒めの言葉が。ジョンのコーヒーを入れる所作の美しさを知ってる身からすると、あまり素直に喜べないのだが、一応受けとっておく。今回は鷹の爪は入れなかったが、入れてもアクセントになって美味しいよと。ブイヨンやコンソメがあれば、もっとコク深くなるよと付け足しておいた。今回は素材の味中心になってしまったが、そういう手の込んだものを作る機会があっても良いかもしれない。


「感謝する。」


 甘党の髭の前にスパゲティを持っていくと、感謝の言葉が。声を聞いたのは初めてだったかな?外見にそぐう渋い声だ。カトラリーはジョンがセットしている。髭を汚さず、綺麗に食べるな。所作も丁寧だし、やっぱり良いとこの出自なのは間違いなさそう。


 ジョンが一口食べたのを見て、俺も食べ始める。うん、なかなかの出来。カニの滋味が強いから、このくらい素材で勝負して正解だったかもしれない。トマトが少し、青臭いだろうか。トマト嫌いが嫌いなトマトだな。ジョンはコーヒー豆にもこだわっているし、揃えている食材なんかも下手なものじゃないだろう。そう考えると、こっちの世界のトマトの中でも良いものを使ってるはずだが、流石に現実のトマトの方が美味しいな。これはちょっと改良の余地ありだな。美味いものができたら、差し入れよう。


 全員食べ終わったところで、ジョンがコーヒーを淹れ始める。俺もプリンの盛り付けをしようか。




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