ep.56
今日もいい天気。畑の無事を確認しに近づくと、薬草の葉に朝露が。最近夜に活動することはあまりないのだが、深い時間になると気温が少し下がるのだろうか。霜でも降りるのなら上にビニールでも張らねばならんのだろうか。そこまでするなら、自分の畑が欲しいな。気候環境の異なる地域それぞれに。雑草やら虫害やら設定されているのだろうか。スキルで緩和できるならいいんだが。
「お、おはよう。」
「すまんかったな。畑荒らしが来なくて何より。」
「 」
何者かが荒らしにきたら見ておいてくれとは言ったものの、レベル4のおそらく成長期のカメレオンにさせることじゃなかったよな。ログアウト中に反省してきたところだ。夜気温が下がるなら尚更。そして、少しカメレオンについて調べてきたぞ。生物としての条件が一緒かどうかはわからんが、食いもんはやっぱり虫なのか?こないだコーヒー豆食ってたが。それ以外、今のところ何かを食べているところを見ていない。今度スーパーにでも連れてってやろう。何か反応を示してくれたら、それを買ってやる。高いのはダメだ。虫を食うなら、その辺の草原にいけば、森の方から逃げてきた虫で食べ放題だ。ネズミも鶏もそれで強くなっていたぞ。でも、昨日群生地まで行く道では何の反応も示さなかったな。背中で虫食うなという言いつけを守ってくれたのかも。
「さて、今日は何をする予定だったかな。」
背伸びをしながら、本日のスケジュールを確認する。覚えている限りでは、水を汲みに行くのと、祠と落とし穴、かな?それだけだったかな。何か忘れている気がするが、忘れているということは、そういうことだろう。
畑の薬草は、増えつつあるも、納品量まで達していない。収穫はまた今度にして、水を少しかけてやる。待っておきなさい。妖精が喜ぶ水とやらを手に入れてきてやるからな。神像に手を合わせて、今日の一日を始めよう。
「この辺は、使えそうだな。」
拾ってきた枝から手頃な太さのものをピックアップして並べる。岩場に行った時に石も拾ってくればよかったな。石を土台にして、高さを出してやれば、きっと立派な祠になるぞ。ん?それなら、全部石で組めばいいか?まあ、木を準備してきたから、今回は木で。長いのはナイフで調整して、4面分準備する。仮置きとして、地面にブッ刺し、上は乗せるだけ。
「うん。まあまあだ。」
本当にまあまあの出来。素人が勢いだけで祠を拵えたらこうなります、と言われて想像するそのまんまの祠。ないよりマシだな。中の神像もどことなく誇らしげ。これを紐で連結させて、石で高さを出せば、そこそこに格上げできそうだ。あとは地鎮祭でタリアに祝詞でもあげて貰えばもっといいんだが、こっちの宗教ではどうなんだろう。もっと上に頼まないといけないのかな。シスターの上って誰なんだろうか。所謂、宮司が神官長?その上に枢機卿やら教皇がいたりするのか?俺なんかが会える立場の奴らじゃないな。話もおもんなさそうだし。
「次は、落とし穴なんだが。」
問題は深さと場所。落としても這い上がれたり、ましてや跳躍で上られたりしたら意味がない。とりあえず、現実サイズでの対猪想定で、上背の倍くらいかな?掘った土はどうしようか。その辺に放置すると目立ってしまうし。一旦インベントリに緊急避難させとくか。何かしら使い道もあろう。あとは場所だが。薬草を目指していないとなると、荒らされた畑と同じ動線で作りたいんだよな。
「いっそ、最初の畑の跡地に作るか。」
すでに均してしまいはしたが、そこを通ることは知っている。第一畑に落とし穴を作成すれば、荒らしたやつと同じ個体を捕獲できる確率は高くなるんじゃなかろうか。
あまり大きくしすぎたら労力がかかりすぎる。重機の力を借りねばならん。特に今回は、安全性など度外視で良い。敵を穴に落とせればいいし、下にふわふわなものも敷き詰めなくていい。自分が出られなくなるポカをしないのだけが至上命題。本当にここら辺人を見かけないからな。まあ、何もないし当然なのだが。
「うん、頓挫。」
額の汗を拭い背中を伸ばして、一つため息を。これは頓挫だな。頓挫と言って差し支えない。杖ではあまりにも限界すぎる。地表あたりはまあまあ掘り起こせたんだが、俺の脛らへんまでくると、掘るじゃなく、削るになってしまった。掘り起こした土はインベントリに入れられるのだが、何も手をかけていない土は収納不可。時間をかけて削った土を掬っても両手に収まる程度。泣く泣くインベントリに入れる。これはスコップとかシャベルとか、専用の道具を使えば改善されるものなのだろうか。それとも、これ以上は掘れない仕様?地下にロマンを求める人たちもいるだろうし、それはないよな。
朝早く起きたはずなのに、気づけば結構な時間が過ぎている。そろそろミアのところに行こうかな。今行けば、昼飯に相伴に預かれるかもしれない。カニなら出せるぞ。前回伺った時はカメレオンは連れていたんだっけ。今から、偉い人のお宅に行くからな。お利口にしておくんだ。




