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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.44

 

「こいつ、街に入れていいのか?」


 門の近くまできて、重大な事実に気づく。いくら魔物じゃないと判断したとはいえ、果たして街に入れてもいいものか。それ以前に、門を通れるのかも疑問である。ここのNPCは手強いやつが多い。


「こんにちはー。」


 あくまでも笑顔で。衛兵さんは、何度か挨拶を交わしたこと、あるか?挨拶をして、平然と通りすぎる。見てる見てる。横目で衛兵さんをちらっと見ると、なんとなくこちらに視線が向いてるような気が。でも。声をかけてこないのを見るに、訝しんでいるだけだろう。


「あぶねー。お前、ちゃんと透明になっとけよ。」


「  」


 とりあえず、第一関門突破した。まあまあ、疑わしきは罰せず、ということだろう。どうせ、ババアにはバレるだろうな。まあ、あれはおそらく中庸だ。多分、正義とか倫理とかとは違う評価基準を持っているタイプだろう。


 坂道を登りきる。以前お世話になった、ミアのお屋敷。正式には、ミアの家長のお屋敷だが。雨上がりだというのに、相変わらず、見事な庭だ。噴水も濁ったりしていない。前回訪れた時はミアたちがいなかったせいか、人の気配がなかったが、今回はご在宅のようだ。前回なかった馬車もあるし。そうか、馬車か。こっちの世界では馬車が主流か。石畳で、道幅は広いし、当然といえば当然か。機械工学部門にもぜひ頑張ってほしいものだ。二輪車というものはロマンだ。この世界の設定上、できないことはないはず。


 坂道を下り、人混みを避け、件の魔道具屋へ向かう。今日も大通りは人が多い。ボスも倒されたというのに、まだまだこの街にも活気がある。そういう意味では、第一の街というものは得かもしれんな。実際いい街並みだし。この感じだと、第二、第三の街もなかなかの造り込みなのだろう。


「留守、か?」


 魔道具屋に着くも、扉に鍵がかかっており、中に入れず。こんなこともあるのか。まあ、そうだよな。こっちの世界の住人にも生活がある。定休日なのか、それとも店主の都合で、なのか。外から見る魔道具屋はいつもとどこか雰囲気が違う。何か物足りないような。だが、せっかく街まで来たんだし、デイリーは消化しておきたい。が、魔道具屋がいつ開くかは分からない、と。


「いやー、しゃーなしだよ?」


 やってきたのは、ジョンの喫茶店の前。ここは相変わらず焙煎のいい香りだ。時間が空いたからね?来たくて来たわけじゃないから。ほら、みんなだって時間があいたら、ちょっとお茶でも、でカフェ入るでしょ?誰宛かも分からない、言い訳をしながら店に入る。あ、カメレオン忘れてた。バレなきゃいいか。


「お前か。」


「どうも。」


 相変わらず、この店はイマイチ歓待してくれない。だが、最初に来た時よりはまだマシだろうか。少なくとも、覚えてもらえているみたいだし。珍しく、ヒゲの紳士が不在だ。今日は不在な人が多いな。祭りでもあんのか。


「おすすめを。」


 流石にまだいつものでは通じないだろうな。NPC相手にいつものが通じるのも、すごい話だが。流石に金があるかどうかも聞いてこなくなったな。


 ジョンがコーヒーを淹れるのを眺める。この世界でも有数のいい時間だ。香りはいいし、手際も鮮やか。ああ、そうだ。コーヒー豆を挽いてもらわないと。自分で挽いたら、それが設定されて、【料理】スキルで再現できるようになるのかな?応急処置的にはいいが、やっぱり、自分のミルは持っておきたいな。


「どうぞ。」


 程なくして、コーヒーが出てくる。うん、いい香り。そして、一口。うん。今日もいい腕をしている。今日のは若干酸味が強い感じ。あまり飲み慣れたものではないが、たまに飲むと、アクセントになって美味しく感じる。


「その、背中のやつは?」


「うぐっ。」


 いきなり話しかけられ、思わずむせてしまった。何?背中のやつ?なんかいるのか?

 いつから気づいてたのだろうか。俺、一度も背中見せてないぞ。


「すまない。ペットは禁止だったか?」

「悪さをするようなやつじゃないんだ。店を汚したり、他の客に迷惑をかけたりもしない。」

「ちょっと、怪我をしていてな。近くに親もいないようだったし、一時的に保護を。」


 次から次へと言い訳を捲し立てる。いつぞやもあったな。パッション勝負。もうこの際、ジョンがカメレオンを見えてることには言及しない。こっちの世界の住人は大体見えている。妖精は見えるやつ少ないと言っていたが、生物は透明でも見えるものなのか。おい、お前。もっと上手く透明にならなきゃな。


「痛た。」


「  」


 俺の言ったことは通じているらしい。背中に爪が刺さった。抗議をしているのか。背中を貸しているのは俺だぞ。俺が痛がったのを見て、ジョンは不思議そうにする。そうだよな、存在はわかっても、爪が食い込んでいるとかは分からないよな。今後、気をつけねば。俺の反応で、カメレオンに気づかれる可能性があるな。この場合、俺が気をつけるのか?爪を立てなければ、いいのでは?




「いや、危険がなければいいが。」


「すまない。先に確認してから入るべきだったな」

「危険はない。と思う。しっかり言い聞かせておこう。」


 レベルが低いから、多分俺でも勝てる。ジョンに戦闘能力があるかは分からないが、俺とは比べ物にならないくらい強そうだし、なんかあったら、ジョンが対処してくれるだろう。あのヒゲの紳士がいれば、彼も戦力になりそうだし。





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