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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.43

 

 とりあえず、現在のタスクを考える。まず称号を隠す力を手に入れる。これは、ババアの名前が分かれば、とのことだ。次に目の前のカメレオンをどうにかする。一人で歩けるようになれば、透明になれるので大丈夫だろう。


「あれ?意外と少ない?」


 考えてみると意外と少なかった。いや、騙されるな。俺は趣味をしにきたんだ。なのになんでタスクなんてもんが発生しているんだ。あの時の火事がなければ。ああ、結局俺が蒔いた種じゃないか。ちなみに畑に植えた謎の種子はまだ発芽していなかった。他がこれでこの状況は、残念だが、そういうことだろう。


 MP回復薬

 ⁇?が錬金術を用い作成。使用すると即座にMPを15回復し、一定時間持続回復効果を付与する。

 ローナ、浄水、⁇?を使用し、⁇?の力が込められている。


 やはり、ローナはMPの方だった。ってことは、こいつに効くのはMP回復薬の方なのかな。野生の感というのか、自身にローナの成分が必要であることが、本能的にわかったのだろう。最大効率を考えると、HP回復薬で自分を回復させながら、【再生】をMP回復薬に使い、カメレオンにかける、といった具合か?果たして、そこまでしてやる義理があるのか。だが、ここで恩を売っておけば、今後の不労所得につながるかもしれん。


「【再生】」


【再生】をMP回復薬に使いながら、カメレオンにかける。相変わらず、HPの消費が激しい。これ、【再生】じゃなくて【犠牲】じゃないか。たまらず、HP回復薬で自信を回復し、限界ギリギリまでスキルを使う。俺には過ぎた力だと思っているが、立っているものは親でも使うのが俺の主義。【破壊】の方は、現状使い所はない。


「どうだ?」


「 」


 肩で息をしながら問う俺に対し、カメレオンは涼しい顔。再度裏返し、悪くなっているところを見ると、気持ち色が良くなったかな、という程度。まだまだ、鍛錬が足らんな。今後はHPを増やす方向も検討せねばならんか。


「とりあえず、今できることはやったぞ。」

「ほら、降りろ。」


「 」


「あっ、おい!」


 ローナ近くに降ろそうとするが、反対に腕を登ってきて背中でその動きを止める。結構機敏に動けるじゃないか。それだけ動けたら、もう十分だろ。お前透明にもなれるんだし。


「また、回復薬買ったらかけてやるから。」


 地面が気に入らないのかと思い、木の枝にのせようとするも、それも不発。次の機会があれば、また回復薬を使ってやると言っても動かない。


「まさか、お前、ついてくるつもりか?」


「  」


 うわ、言葉わかんねえけど、なんとなくYesって言ったような気がする。マジかよ。こういうのって、相場は毛のある生き物じゃないのか?犬科でも猫科でも、なんなら猛禽でも。ファンタジーで鱗ならドラゴンでも。いや、こいつの緑も良い色だったし、爬虫類も可愛いけども、なんか違うじゃん。最初は、ほ乳類じゃん。棒投げても、走って取りに行かなそうじゃん。


 背中に手をやっても、空を切ってしまう。何、こいつ、実体まで消せるの?どういう原理?俺、何かに化かされているのか?背中になんとなくいる気配を感じるのに、触れな、あ、触れた。


「  」


 どうやら、実体を消せるのは短時間のみらしい。それだけでもすごい能力と思うのだが、それができれば、乱獲なんてされないんじゃないの?俺に能力を披露するために、非実体化したってところか。


「危なくなったら逃げるんだぞ。」


 情に絆され、やむなく同行を許可する。傷も癒えたら、そのうちどこかに旅立つだろう。今俺がハードコアモードでよかったな。そうでなければ、まだ俺の命は軽いぞ。個体数の減っているお前とは比較にならんくらいな。これから、俺が危険な目に遭ったら、一目散に逃げろ。いのちだいじに。いいな?


「そもそもお前って魔物なのか?」


「  」


 周囲に誰もいないから、背中に向かって堂々と話しかける。もちろん答えは分からない。鑑定結果はウサギやらと同じように思えた。レベルの表記もあったし。一応そういう類のゲームではあるので、街の外にいる生物は討伐対象だと思っていた。東門からの荒野にいるファンタジーモンスターは、わかりやすく敵性生物だと思うのだが。暴れウサギなんかは、愛玩用の野生体が魔物化したと、鑑定結果にあったし、もしかしたら、魔物化していない、ただのウサギなんてのもその辺に潜んでいたりするのかもしれないな。


「じゃあ、そういうやつ見つけて飼い慣らせれば!」


 いやー、夢が広がったね。カメレオン君。君は多分まだ魔物ではないのかもしれないね。君の仲間の個体が魔物である可能性は大いにあるけどね。草原から先に進んだ森には狼がいたということだし、魔物ではない狼を見つけて懐いてもらえれば、ペットにもできるんじゃないか?本当は、ゴールデンレトリバーのような、愛嬌のある子がいいんだけど、狼みたいにシュッとしたやつもかっこよくていいよな。あ、でも、一般生物だったら、寿命があるのか?愛着の湧いた生き物に死なれるのは困る。ログインできなくなる可能性がある。


「  」


「痛っ。」


 カメレオンが背中を噛んできて、我に帰る。気をつけろよ、HP、お前のせいでギリギリなんだぞ。気がつくと、雨が止んで、雲の隙間から晴れ間が。畑に薬草取りに来ただけというのに、結構時間を使ってしまった。神像の置いてあった盛った土が、雨で崩れてしまっていた。再度土を盛り、その上に神像を。そして、手を合わせる。次は、祠だ。


「さ、次はデイリー消化だな。」


 あまり気乗りはしないが、金がもらえるので悪い気もしない。一つ息を吐き、東門を目指し、一歩踏み出す。




モンスター=魔物という認識で大丈夫です。

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