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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.40

 

「さて、第一目標はクリアだな。」


 魔道具屋を出て、足取り軽く街を歩く。思っていたよりもリルはもらえた。鱗なんかは今後手に入るか分からないが、薬草類は継続的な収入源になりそうだ。畑が荒らされなければの話だが。今のところ、ローナの葉が何枚かいかれているだけで済んでいる。移動は面倒だが、割り切るしかあるまい。


 日は沈んできている。昼間は快晴であったが、今は雲が増えてきているように思う。こりゃ、近いうち雨が降りそうだ。外で野営するには生憎の天気であるが、天気も見れない暗い牢屋よりマシだろう。これから道具屋に寄って、キャンプキットなるものを買ってから、畑近くで野営だな。風雨を凌げるタイプなら良いのだが。


 遠回りをして商工通りへ。前回の街ぶらで道具屋の位置は把握済みだ。あとはログアウトするだけだし、【気配希釈】も節約せず。【鑑定】【看破】も鍛えなくては。同じものに対して使うのが良いのか、はたまた色んな物に対して使うことが熟練度は上がりやすいのか。


「失礼する。キャンプキットはあるだろうか?」


 道中考え事をしながら歩いていると、すっかり日は暮れてしまった。雲も多いためか、いつもより暗い気がする。この辺は店が多く人通りもあるため、明るいんだが。


 道具屋につき、人目につかないところで【気配希釈】を解除。すれ違ったプレイヤーには、まだ見破られてない、はずだ。やっぱり、この街のNPCは結構な使い手なんだな。キャンプキットは使い捨てということもあってだろうか、外でログアウトできるという性能の割にお値打ち品。金に飽かせて、いくつか購入する。デスポーンは神殿なので、死ぬことは許されないが、一つで一回に限りログイン、ログアウトが可能な代物だ。ログアウト中の回復は、神殿と同じ最低レベル。俺にとっては日常なので、問題なし。


「あとは、食、か。」


 サバイバル生活における重要な構成要素が衣食住ならば、衣は問題なし。【生活魔法】でいつでも綺麗さっぱり。住は今手に入れた。残すは食だが、これが一番厳しいな。


「塩とスパイスでも買っておくべきか?」


 いつまでこの生活が続くか分からん。無駄な出費はなるべく避けたいが、ドロップのウサギ肉や鶏肉をそのまま焼いて、果たして美味いのか。種芋を買って、畑に植えるとしたって、味がなければずっとは無理だ。せっかく下準備の手間も片付けもいらない世界に来たってのに、調理方法が焼くだけじゃ、【料理】スキルも浮かばれない。


「ここは、買っておくべきだな。」


 あれこれ考えた結果、買っておいた方が良いという結論に。元々、必要な物であったのだ。金があるうちに買っておくのに越したことはない。


 ということで、スーパーのような店に。食いもんやちょっとした日用品までカバーしている。生鮮系はそんなに種類がないのは仕方がない。プレイヤーの活躍により並ぶものも増えてくことを期待しよう。期待しているぞ、お前たち。並んでいるものを見ていると片っ端から手に取りたくなってくる。穀物などを仕入れて、酵母菌を仕込んでもみたいのだが、やはり今じゃない。絶好の機会だからと【鑑定】を端からかけていく。残念ながら【看破】の方は反応しなかった。


 お目当ての塩とスパイスを買って外へ。結構なお値段だったが、必要経費ということで割り切ろう。兵太夫、今なら塩焼きを食わせてやれるぞ。いつでも魚、待っているからな。元はと言えば、お前がギルドに俺を売ったことが原因だからな?それを忘れるんじゃねえぞ?魚、待ってるからな。強い精神力のおかげで、他の誘惑には負けなかった。【欲望の僕】も反応なし。基準がイマイチ分からんものだ。保険で飾り気のないパンは一つ買っておいたが。


 いつもとは反対の東門の方から城壁伝いに畑まで向かう。最初少し怖かった夜のフィールドも今は慣れたものだ。


「これもまた成長か。」


【気配希釈】をかけている安心感もある。サバイバルが続くなら【夜目】スキルをとっても良いかもしれん。ただ、称号を隠すスキルの後にだな。【看破】が5Pだったことを考えると、隠す方もそれくらいするのではないだろうか。今の俺のレベルが7。スキルポイントが5となると、あと2レベル上げなければならん。ぎりぎり旅人の範囲内だが、猶予がなくなる。どんな職があるかは分からんが、なんか考えておかねばな。


 暗くて良くは見えないが、畑は無事だった。少なくとも、荒らされた様子は見られない。これは、また明日、日が出てからの確認だな。


「使い方は、っと。」


 ログアウト中の仕様がわからないため、畑から少し離れてキャンプキットを選択してみる。すると、目の前に2本のポールとタープが。ご丁寧にペグまで打ち込まれている。


「ほほっ、こりゃいいな。」


 使い切りなのが勿体ないくらいだ。何回でも使えるこういうのが欲しい。多分、それぞれで揃えたら、自分で設営せにゃならんのだろうな。現実でキャンプに行くハードルが上がるのがそこなんだよな。キャンプは楽しいし、キャンプ飯も好きだが、どうも設営と片付けが。ゲーム的配慮で、そこがクリアされていれば良いのだが。こんなこと言ったら、キャンプ好きに怒られてしまうな。



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