ep.2
全話から発言の前後など改行を多く入れてみましたが、いかがでしょうか。
チュートリアルを行いますか
女神某の声が聞こえる。思わずはいと答えるが、視界の端にはい/いいえの選択肢も出ていた。視界が移り変わっていくところを見ると声に出して答えても問題なかったらしい。眩くて少し目を閉じていたら、チュートリアル空間であろう草原に舞台は映っていた。最近のゲームはロード時間というのもないのかと感嘆のため息も出る。
戦闘チュートリアルです
今度は機械的な声が聞こえた。それと同時に少し離れた位置にやや大きいウサギがポップし、手に木の杖が。魔法を選んだから杖が貰えたのかな。剣のスキルもとっていたらどっちが貰えたんだろうか。それにしてもウサギいいよなウサギ。なんか時々ネットで見るよな、でかいウサギ。あれ抱き心地良さそうだよな、とくだらないことを考え、手足を動かしながら、ウサギの方を見やる。
暴れウサギ Lv.1
愛玩用キュートラビットの野生体が魔物化した個体。幅広く生息している。
「うおっ、びっくりした。」
目の前に突然ウサギの情報が出てきた。これが鑑定の効果か。スキルレベルが低いのか、目の前の魔物に対する知見が少ないからか大した情報は得られない。あちらはこちらにヘイトが向いていないためか、呑気に草を喰んでいる。自分に危害がなさそうなのを確認してGAKUは周囲を見渡してみる。空、雲、草原以外は街や森なんかも確認できない。どうやら最初の街の近くのフィールドということでもないらしい。一回りして、再度ウサギに正対する。
「キュー」
「お前に恨みはねえが、俺にはやらなければいけないことがあるんでな。悪く思うな。」
ひとまずこちらのダメージチェックだ。足元の小石を掴んでウサギに向かって投げる。自分としては豪速球を投げたつもりだったが、ヒョロヒョロと気の抜けた擬音が似合うゆっくりとした石がウサギの上を飛び超えていった。
「やべー。投擲スキル持ってないとこうなるのか。いや俺がノーコンなのが悪いのか。」
石は当たらなかったが、おかげでウサギはこちらを捕捉した。こちらとしても敵意のない小動物に一方的に攻撃するのは良心の呵責がある。向こうが敵意を持って向かってくるなら、反撃するまでだ。手に持っている木の杖を向かってくるウサギに振り翳す。大したダメージではなさそうだが、スキルを持っていなくてもこういう行動は取れるのだなと確認する。次はウサギのダメージを喰らってみたいが、先ほどの一撃で怒り心頭なのか鼻息が荒い。
「ギュウウううう」
「なんか、めちゃくちゃ暴れてるんだけど!お前ぎゅうって鳴くのかよ。」
我を忘れ、暴れ回るウサギに慄きつつ、低く唸った鳴き声にツッコミを入れる。落ち着くのを待つのも手だろうが、落ち着くかどうかも定かでない。今回はダメージをもらうのはよそう。これから先、ダメージを機会なんていくらでもあるだろうし。未だ暴れ狂うウサギにネーミング通りだと思いつつ、魔法を使うために距離を取る。
「魔法はどうやったら使えるんだろうな。詠唱なんかは勘弁願いたいんだが。」
ウサギから離れた位置で、魔法を使ってみる。水魔法で唯一使える魔法ウォーターボールを使うと杖が薄ら光り、目の前に水の球が出現する。水の球が出来上がるのに数秒。自分の頭くらいの大きさになったら敵に向かって飛んでいく。相手を狙って打つとホーミングしてくれるようで助かった。MPの消費は5、CTもそれなりに長いが、暴れウサギはこの一撃で沈んだ。倒れている暴れウサギを見ていると、ポリゴンとなって消えていき、消えたところに何かが残される。
暴れウサギの皮×1
暴れウサギの肉×1
どうやら暴れウサギのドロップ品らしい。ありがたく頂戴し、ストレージに入れる。ストレージはストレージと想像したら出てきた。非常に便利な世界である。
「MP結構消費するんだな。長期戦するなら回復方法を学ばないと。」
プレイヤーの初期MPは20。俺はMP強化をとって25になっているが、それでも一発5使用するのは重すぎる。現状集団戦や継戦は不向きであると判断せざるを得ない。だがその威力は折り紙つきであった。
これでチュートリアルは終了のようだ。戦闘チュートリアルだけであったが、体の動かし方はある程度わかった。もしかしたら、戦闘チュートリアルといいつつ、VR空間に慣れさせるためのものだったのかもなと思案する。色々考えているうちに元いた空間に戻ってきたようだ。
あなたはこの世界に何を望みますか
空間にまた厳かな声が響く。チュートリアルを終えただけだが、なんとなく懐かしく感じてしまう。
「俺は趣味に生きることを決めた。好きなことやってしたいことをする。美味い飯たらふく食って、コーヒーも浴びるほど飲んで、ペットだって飼いたいし、、、」
思い浮かぶ望みをつらつらと話す。そんなつもりはなかったのに、次から次へと思い浮かんできて止まらない。
あなたに祝福を
まだ途中であったがどうやら時間らしい。目の前から女神はいなくなり、空間の崩壊も始まっている。これから俺の望んだ世界に行くことができるんだと一段胸が高鳴る。この空間の崩壊と同時にGAKUは光に包まれた。




