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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.32

 

 神殿のいつもの場所で再ログイン。それと同時に、ワールドアナウンス。


『この世界で初めて、第1エリア、アインス森のボスが倒されました。』

『それに伴い、第2エリアの開放、新たなクエストの開放、新たな職業が実装されます。』


 どうやらログアウト期間中にボスが倒されたらしい。新しいコンテンツも解放されたとのことだ。誰か知らんが、こうやって前線組が頑張ってくれることで、俺みたいな戦闘の得意でない者たちが恩恵にあやかれるというものだ。このワールドアナウンスの人はなんかすごい称号をもらえたことだろう。


 羨ましがっていても始まらない。誰にでも得手不得手がある。俺は俺にできることをやればいいだけだ。俺がしたいことが、誰かのためになってくれるんなら、それがいい。


「さて、今日は。とりあえずナイフか。」


 ゴードン鍛治店にご厚意で取り置きしてもらっているナイフ。あまり待たせるのも忍びない。生産性がない男だと思われるのも避けたい。とりあえず、これから寄進して、持ち金が0になることが予想される。あのナイフが450リルだったから、とりあえずはそこを目指してみよう。タスクは一応それだけ。そこからは、自由になるが、資料室か昨日教わった園芸店か。資料室を狙って、また人が多ければ園芸店を探してまた街ぶらかな。


 神像のある堂に出て、一礼。いつもはここらで、タリアが無心に来るのだが、不在か?払わないのも気まずいので、とりあえず有り金を寄進。まあ、たいした額ではないのだが。


 新たなクエストとやらも気になるが、今は人のおおいことだろう。どうせ俺が受けられるのは、難易度の低いウサギ狩りのような常設のやつ。これらは事後報告でも大丈夫だ。人の少ないタイミングを見計らって報告するとしよう。


 薬草の群生地の様子も気になるが、昨日の今日だ、まだ成長してはいないだろうし。でも、自分の畑には顔出してみようかな。こちらは実験も兼ねている。時間経過で、どれほど成長しているのかを観察していきたい。


 いつものように衛兵さんに挨拶をし門を潜る。そして。城壁に沿って歩いていく。幸い、暴れウサギのレベルは変わっていなかった。道中、暴れウサギを狩りながら歩いていく。流石にまだ一撃で倒せはしないが、【魔力操作】を駆使して、二発目は少ないMPで倒せることに気づく。それならと、今度は最初の攻撃を使用するMPを増やして放ってみる。すると、思っていた通り、暴れウサギが一撃で沈んだ。


「これはいいな。」


 一撃で倒せるとなると、相手の反撃がなくなるということだ。これからレベルが上がってステータスが上がると、あの憎きネズミや角ウサギにだって一泡ふかせられるようになる。


「終いには狼だって夢じゃないかもなあ。」


 新たな発見に鼻歌まじりに歩みを進めていく。門の近くでは多く見たプレイヤーも見えなくなってきた。やっぱり、この辺はあまり益のない場所だったんだろう。森でボスが倒されてみんなそっちに躍起になっているのかもしれないな。最初のボスはどんなやつだったんだろうか。発見されたことも知らなかった。まさか初見討伐ではあるまいし。


「えぇ、こんなに生えてていいのか?」


 城壁沿いに歩いていると、自分の畑があったであろう場所に、見慣れない茂みがある。流石に、こんだけ生えると繁殖力の強さに若干ひいてしまう。現実のミントなんかよりも強いんじゃないか?茂みに駆け寄ると、1株植えただけのローハが株も増えて背も高くなっている。


「ん?こんなのおいたかな。」


 足元には何やら細い木の棒で畑が囲まれていた。確か、俺は石突で大体の線を引いただけと記憶していたが。もしや、誰かが俺の畑に気づいて所有権を主張するためにおいたのでは?とりあえず、退けておこう。早くナイフを手に入れて、自分のものと主張するための木像を彫らなければ。神が見ていると知ったら、この畑に手を出せる不届きものはいなくなるだろうさ。


 ローハの隣に植えたローナの方は、成長してはいるが、ローハほどではないというのが所感。結局ローナが何ものなのかまだ知らないんだよな。


「なんだこれ。」


 ローナの葉がところどころなくなっている。ローハを見てもそういうものはなし。もう一度ローナの方をよく見ると、葉がなくなっているローナの根元にはキラキラと光るものが。拾い上げてみると、鑑定結果は謎の鱗。確か、群生地にもあったな。その鱗が数枚。群生地の時は近くの小川に生息する魚の鱗だろうと当たりをつけていたが、この周囲に川はなし。この畑を見つけて、ローナの葉を拝借した代わりに鱗を置いていった人物がいるとも思えないし、草食の爬虫類でもいる?


「なんなんだろうな。」


 考えるが結局答えは出ず、一応鱗は回収しておく。加えて、現在受けているクエスト分のローハを採取して、ローナも一株だけ。この畑は群生地とは違い採取ポイント扱いではないようだ。直接地面から掘り起こす。手が汚れてしまったが、【生活魔法】ですぐに綺麗に。


 謎の種子を植えたところはまだ発芽せず。まあ、環境が合わなかったら、発芽しないもんだし、実験ということで。水魔法で水をかけ、いつもの豊穣神へのお祈りを。


「さあ、帰りはスライムかな。」


 東の方へ向かいスライムを標的にして歩く。【気配希釈】も忘れずにかける。そういや【看破】も鍛えなくてはな。


 スライムとの戦闘は、思ったよりも楽だった。ダメージチェックも兼ねて、【魔力操作】は使わずに戦闘。合計3回魔法を当てる必要があったが、機動力がなく、身の危険を感じることはなかった。落としたのは、スライムゼリーとスライムの核。スライムの核はレアなのか1個だけ。物理職は核を壊す必要があるみたいだし、魔法職優遇のモンスターなのかもな。





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