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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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31/46

ep.29

 

「さあて、これからどうしようか。」


 一応本日予定していたことは終わった。顔の泥を拭いながら、次の行動を考える。ログアウトを予定している時間までは、まだ結構ある。金もどんどん稼いでいく必要があるが、まだ旅人のままでいたいから、レベルはあまり上げたくない。戦闘行為が一番経験値もらえるらしいが、旅人のうちはいろんな行動で経験値が入ってくるって言っていたし、旅人を卒業するのも時間の問題なのかもしれない。


「でも、デスペナつくの嫌なんだよな。」


 避けられない未来ではあるが、ある程度食い扶持を見つけるまで。なるべく、旅人のまま、レベルを上げずに金を稼がなければならない。薬草採取がちょうど良かったのだが、俺の人がいいせいで、全て植えてしまったからな。群生地が復活するまでは、今受けているクエストも保留か。


 今決まっている欲しいものだけでも、結構ある。兵太夫みたいに自作したっていいのだが、自作するための素材も持ち合わせがない。買うのが早いか、自作したほうがコスパがいいのか、その尺度も知らん。何をするにしても物を知らんといかんな。街の探索でもしながら、価格の相場を調べるか。コーヒー1杯1,000リルはあからさまに相場から外れていると思うんだが。


 せっかくここまできたから、とさらに東門の方に進み、東門から街を見て回ろうとする。こっちの方が魔物は強いらしいし、MPも消費しているから戦闘はできない。【気配希釈】をかけ、遠くから情報だけ抜いておこう。


 ゴブリン Lv.12

 知能は低いが、木の棒を持ち攻撃してくる。


 コボルト Lv.9

 二足歩行で、荒野を素早く移動する。窮地に陥ると仲間を呼ぶ行動をとる。


 スライム Lv.11

 体にある核を破壊すると、生命活動が停止する。


 それぞれ差はあるが、だいたいこんな感じ。スライムは西洋では強敵として描かれることが多いと聞くが、さすが日本のゲーム。ものすごい一般的な最初のフィールドの敵って感じだ。確かに西門の草原で出てくる魔物よりもこちらの方がレベルは高い。だが、狼の方が強そうな感じがしたな。こちらの荒野にも、これらよりも少し強い中ボスくらいの生物がいるのだろうか。ファンタジー系の魔物だったら、なんだろうな。ゴーレムとかトロルとかかな。デカいやつって強いもんな。


【気配希釈】のおかげで、無事魔物に見つかることなく、東門まで辿り着いた。時折プレイヤーが魔物と戦っている様子を見かけたが、やはり草原のようにはいっていなかったな。こちらにも衛兵がいるのは変わらず。こっちの衛兵さんの方が強いのだろうか。


 東門から見る街は、また違った様相。あちらは、広場や冒険者ギルド、工商地区が見られた。こちらは一般的な住居なのか、それとも少し身分の高い奴らの住まいなのか。結構見栄えのいい建物も見受けられる。門からの大通りは緩やかであるが、上り坂が続いている。頂上付近がこの街を統治している奴の住まいなのだろうか。このゲームを国家運営シミュレーションだと思って来ているやつがいるとしたら、まずはそこにいくのだろうな。


「権力と政治には近寄りたくないね。」


 メインの坂道ではなく、脇道に逸れて街を探索していく。やはり、西門に店舗や主要機関の建物が集中しているのは、利便性を考えてのことなのだろうな。ここいらは、街を構成するためだけのオブジェクトのような感じがする。おそらく、一般住民としてのそれぞれの生活はあるのだろうが、俺にとっては重要NPCではないのだろう。綺麗な町娘でもいたら話は変わってくるが。このゲームを恋愛シミュレーションと思っている奴らも一定数いるのかもしらん。今のところはサリアちゃん、タリア女史の2強か?


「いつも通り、神殿から行けば良かったなー。」


 初回ログインの時とは違い、今の俺には地図がある。東門から探索したとしても、初回の時とは違い迷う心配はない。逆に道の奥深くに潜む隠れ家的店には辿りつき難くなっているのだろうな。


「これが成長というものか。」


 店舗らしき物件を見かけても、中に入れないことが続く。おそらく、俺に入る権利がないからか。もしかすると、プレイヤーが店舗を持つ時用に用意されているのかもしれない。俺にそんな気配ないが、一体いつになるのだろうか。


 気になる店はなさそうなので、視点を変え、街並みを見て回る。石畳が続く道はゴミもなく綺麗。まるで写真でみるヨーロッパのようだ。緑は植木でフォローしている。建物は統一感のある一戸建てが多い。この辺りは庭をもつ家庭はいなさそう。家が何軒か並んで立っており、細い通り道があるような感じ。ご近所づきあい大変じゃないのか?魔物とかいう絶対悪がいるから、人は協力できるのか。


 西門の方に近づいてくると、共同住宅のような、長屋のような。間口の大きい建物の割合が増えてくる。工商地区に差し掛かってきたのか、どこからともなく、人を呼び込む声や、カンカンと金属を叩く音が聞こえ始める。この辺からは、活気があっていい。徐々に俺にも利用できる店が見えてくる。防具、武器の店、日用品を取り扱っているであろう雑貨屋のような店、食料品を売っている店、屋台で食べ物を焼いている店など、まるで高尚な寺社の参道のよう。


「さて、どこから手をつけようか。」


 知りたい情報はたくさんある。金がないから結局ウインドウショッピングになるのだが。


 通りがかりに、威勢のいい声が飛び交う工房を見かける。店には金属で作られた剣や鎧がディスプレイされており、いかにも鍛治屋といった雰囲気。生活用品は作っているのだろうか。少し気になって、中に入ると店員さんだろうか、妙齢の女性が対応してくれる。





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