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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.19

 

[この世界で10回戦闘不能となりました。]

[GAKUには1,000リルと称号【冒険の始まり】を付与します。]


 そのアナウンスがあったのは、ルーチンのデスポーンを繰り返していた時だった。ログインしなおしてから数刻はなんとなく頭が重かった。二日酔いなのか。それにしても、10回死んだ時の称号が【冒険の始まり】なのは洒落が利いている。10回死んでからが本番と言ったところか。全く死なずに攻略したらなんか称号もらえそうだよな、もう遅いが。神殿の風景、周りのプレイヤーは無反応なので、ワールドアナウンスではないのだろう。なんとなくよく見る顔もある。お前も周回している口か。お互い苦労するよな。10回死ぬと称号がもらえるぞ。お前はもう知っているのか。心の中で同志に話しかける。


「ん?リル?リルっつったか今!」


 称号に気を取られていたが、確かに1,000リル持っている。ん?1,000リルしかない?なんでだ?まあいい、手元のドロップ品は無くなっていないのに1,000リル。やっほう!宝くじに当たった気分だ。この金で何しよう。1,000リルあればなんでもできるぞ。保留にしていた商店見て回るか?もうすぐ、転職だし消耗品揃えるか?1,000リルあれば色々できることがあるぞ。


「いや、まずい。何も考えるな。」


 色々希望を考えれば【欲望の僕】がきっと自我を持ち始める。俺も学習している。無欲で”コ”いれば、【欲望の僕】《コイツ》が顔を”コー”出すことはない。まずは周りか”コーヒ”ら変な目で見られている現状を脱、


「よし、コーヒーを飲もう。」


 うん。コーヒーを飲もう。考えないようにとしていたが、かえって気になってしまうのが世の常、人の常。俺の心はコーヒーに染まってしまった。1,000リル浮いたと分かった時点で、コーヒーが過っていたのは事実。


「ただ、場所わかんないんだよな。」


 前回あの場所に行けたのは偶然の産物。どうやっていけばいいか、わからない。また適当に走って探せば見つかるだろうか。でもそんな無駄な時間過ごしたくないしな。新しい発見があって楽しいかもしれないが。


「先に地図かな。」


 冒険者ギルドにあった街の地図。あれを買えば、いけるんじゃなかろうか。今まで行ったところがマッピングされていれば、あの喫茶店か、女店主のぼったくり魔道具店の2択になる。それ以外は、神殿と門の間を往復していただけだ。流石に、何もやってなさすぎか。戦闘職になるわけでもないのに。もっといろんなところを見て回って、いろんな経験をして。やりたいことが多すぎる。


「やっぱ、不労所得欲しいよなー。」


 このデスポーン作戦が使えなくなるのも時間の問題である。そうなったら、今の金策の効率が悪くなるのは必至。戦闘以外でのものを考えておかなければ。どうしようか考えていると、冒険者ギルドの前まで来ていた。


「今悩んでも仕方ないか。」


 結局行き着くのは現実も仮想世界も金なのか。世知辛い世の中になったもんだ。うだうだ考えながら、ギルドの販売スペースに行く。地図は500リル。その前にクエスト報告と、買取お願いしてこよう。

 やっぱり、クエスト分も含まれると、もらえるリルが多くなるな。俺にとってはありがたい話だ。おかげで地図を買ってもコーヒーが飲める。流石に2杯は無理だが。


「いや、また料理をすれば、ワンチャン?」


 前回はシチュエーションが特殊だったから、発生したイベントなのかもしれないしな。あまり大きな期待はしないでおこう。

 地図を買ったことで、ミニマップが表示可能になった。世界観を味わうために、なんとなくOFFにしておくが。だが、期待通り、俺が今まで通ったことのある道が地図上に表示されている。オートマッピング様様だな。この通りが門と神殿間だとすると、二つの出っ張っているのが、喫茶店と、魔道具屋ということだろう。こんなとこに行ってたんだな、俺。道じゃないとこ歩いてないか?

 移動中に魔道具屋から冒険者ギルドは意外とすぐだったことを思い出す。それならと、言ったことのある道で冒険者ギルドから離れている方を目指して早歩き。なんとなくだが心も躍っている。

 地図のおかげもあって喫茶店には迷わずついた。冒険者ギルドからも神殿からも離れている。初見でよくたどり着いたな。豆を焙煎したところなのだろうか、今もいいかおりを撒き散らしている。こんなんテロだろ。合法のものとは思えない。もう辛抱たまらん。前回あんなこともあったが、不思議と入りづらさはない。こっちの世界でも頭を下げてばかりだ。たまには厚顔に振る舞ってもバチは当たらんだろう。


「リルはあるのか?」


 オイ、ジジイ。ずいぶんな言い草じゃないか。



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