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趣味人のVRMMO  作者: et al.
16/19

ep.14

 

 ログアウト後、諸々を片付ける。長時間横になっていたのに、ログアウト後も体の痛みなどなかった。医療用VR機様々である。だが快適すぎるのも良くない、仮眠をとるため、自分のベッドに行く。少し悲しい気持ちになる。今日明日は休みだ。思う存分やれる。


『3件のお知らせがあります。』


 ログイン画面に手紙アイコンがあった。それを見るとお知らせがあるそう。サービス開始したばかりだし、色々あるのだろう。ログアウト時に問い合わせした件もあるのかな。


 一つ目は昨日のログイン状況。あまり興味ないな。


 二つ目はバグ報告とHOTFIX。どうやら致命的なバグはなかったらしい。ものすごいな。ちょっとだけ期待してたんだけどな、詫び石。泡銭は手に入らないようだ。あと、リスポーン地点は神殿に統一されることとなったそうだ。説明では、定宿が決まったら神殿にリスポーンする仕様だったのが、俺みたいなやつがいたせいで、定宿が決まってない状態でも神殿に行くようになったと書いてある。神の加護をプレイヤーに与えている手前、神殿の利用を促したい運営の意図が伺える。俺がログアウトした後に何人かいたのかもな。初期地で周りからちょっと見られたのは、あそこにリスポーンするやつはそういうやつだからだろう。ますます、よく声かけてくれたな、ライト君。


 三つ目は称号【欲望の僕】に関するものだった。仮眠前に出した問い合わせに対する返答がもうきているのか。仕事のできる運営さんだ。内容は、欲望に抗う行為に対する制限が想定よりも強くかかっていたそうだ。それはなんだ、俺の意思が弱かったって言いたいのか。喧嘩売ってるなら、買うぞ。別に修正もいらんが?  私が悪うございました。あんなん、街中だったからよかったが、フィールドで起こったら詰む。修正点を読む。


 修正前

【欲望の僕】

 自分の欲望に抗い辛くなる。自分の欲望に従うと、少し良い結果が起きるかもしれない。

 ?⁇

 ↓

 修正後

【欲望の僕】

 自分の欲望に素直な者へ与えられる称号。自分の欲望に従うと、ほんの少し良い結果が起きるかもしれない。

 ?⁇


 抗い辛くなるの部分が消え、少しがほんの少しに変更になっていた。自分の欲望に背いた場合の行動制限はなくなり、どうやら一定期間の一部ステータスの減少が入るらしい。ま、許容範囲だな。強き者には制約が課されるのは当然だろう。デメリットが強い分、メリットも大きい称号だったってことだろうな。ほんの少しのラッキーに賭けようじゃないか。そういうのは嫌いじゃない。他のワールドアナウンス貰った人たちはどうだったんだろうな。初討伐と初デッドか、なんかいいの貰えてそうだし、デメリットも結構あったんじゃないかな。

 確認を終え、ログイン画面に戻る。すでに、ログイン可能な状態であった。


「今日は何が起こるだろうか、何ができるだろうか。楽しみだね。」


 画面と共に、意識も暗転する。



「ふう、無事に戻ってこれたか。」


 前回急いでログアウトしたこともあり、少し不安だったが、要らぬ心配だったようだ。簡素なベッドに間仕切り。悪くない寝心地だったな。だがバフはなさそう。仕方ないな。

 メニューのところに何やらポップアップが。調べてみると、ログアウト中のワールドアナウンス報告であった。どうやら旅人から転職したものが出たらしい。すごいな。旅人の期間はいろんな行動で経験値がもらえるらしい。転職してからは、職に応じた行動をとることでレベルが上がるようだ。戦闘職なら、戦闘で、生産職なら生産でといったように。総合職なら、ちょっとずつ上がるのかな。それにしてもはやい。俺なんてまだ1レベだ。しかも貧乏。格差社会だ。頑張らなくては。

 扉を開けて広間へ出る。何やら視線を集めるが、気にしないことにする。今日は流石に金策だな。フィールドに出て、とりあえず冒険者登録をば。


「よくおやすみいただけたようで。」


 なんか笑顔なのに喧々してるな。綺麗な顔が台無しだぞ。昨日のシスターさんはすでに働いていた。実に働き者である。


「ああ、おかげでぐっすり眠れた。また世話になると思う。」


 少しだけ毒を入れて返す。俺にとってはいい宿だ。定宿にしたっていい。外は明るいようだ。冒険日和だな。では、と告げ、出口の方に歩き始める。

 なんかついてきた。美人が隣を歩いてくれるのは悪い気はしないが、笑顔が怖い。このシスターもファンは多いんだろうな。昨日の夜はわからなかったが、めちゃくちゃ見られてる。


「どうか、しましたか?」


 出口付近に来ても離れない。何か言いたいことがあるなら、いって欲しいんだが。


「昨日、寄進をしてくださる、と。」


「いや、工面ができたらと言わなかったか。」


「少額からでもお受けいたします。」


 恭しく宣うが、そんな金に困っているようには見えないんだがな、この神殿。この街のNPCはどうなってんだ。大半が守銭奴じゃねえか。いや、皆が自分の仕事を全うしてて偉いな。そうできることではないぞ。なんとか自分に言い聞かせる。


「リルは持っていないんだ。」


「少額からでもお受けいたします。」


 こいつっ。こういう時だけNPCのような対応しやがって。運営はどこに技術注いでるんだ。俺が50リル持ってんのバレてるのか?もしかして、寝込みを探られた?この50リルは虎の子だぞ。なんとしてでも死守せねば。





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