↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
趣味人のVRMMO  作者: et al.
PR
153/156

ep.151

 

 質問しているのは龍龍なはずなのに、ブルーはあからさまにこちらに訴えてくる。敵意が。俺が今までルールを蔑ろにしたことあったか?俺はあくまでもルール準拠で、リスクは犯さないように心がけているつもりだ。畑も屋台もグレーだったろ。要注意人物になったのは、衛兵のせいだし。龍龍はなんの話かわかっていない様子で、ブルーの反応を待つ。ブルーは仕方なしと、制度面を語ってくれる。


「当然だけど、この国では個人の所有する土地以外は、国に帰属しているからね。それを領主が統治している。人のあまり入らないところは、グレーな扱いだから、勝手にしろって感じだけど、利用価値が生まれたら、面倒なことになるよ。」


 話半分に聞いていた。途中で貴族に帰属するんだ、とかくだらないことを考えてしまう。草原は人が入るところだから、明確に国家、ないし領主が管理しているって認識で良い?ギルドマスター曰く、薬草がこの国の経済をある程度支えているってことだったが、そこまでの草原ならば領主に筋を通せば、牧畜は不可能ではないって考えて良い?


 天然物の綺麗な繊維は高値で取り扱われる。野生化のアルビノ個体の魔物のドロップということだと思う。角ウサギみたいな扱いかな?天然物という言葉があるからには、養殖物も存在していることは十分考えられる。その個体をつがいで譲り受けることが出来れば、資源の問題は解決できそう。草はあるから、家畜の飼料問題もクリア。飲ませる水はある。岩塩はないが、海塩で賄うか?こっちのヤギが塩分がいるとは限らないな。飼育条件は先達に聞くか、試行錯誤を繰り返すか。この辺は、俺が考えてやることではないな。


 範囲を柵などで設定すれば、その範囲で飼育はできそうか?北の畑はそうだった。【牧畜神の加護】なんて持ってるやつがいれば話は早そうだが、そんな簡単にいかないだろう。その範囲の魔物はどうするか。設定した範囲内に魔物がポップしたら大変だよな。ウサギ、鶏は問題なさそうだが、飼育下にいる生物が狼に襲われたらひとたまりもない。ネズミの運ぶ病原体も心配。家畜が感染し、疫病として、ヒトにまで感染するようになってしまったら、龍龍の責任問題になる。毒使いになるかもしれない、レイは大喜びするかも。


「面倒なことって?」


「今回の相談事はかなり突飛で前例がないから比べられないんだけど、昔、領地の中間にダンジョンが発生した時にね、両方の領主が権利を主張して、戦争にまで発展したことがあるよ。」


 どうだい、面倒だろ?と俺と龍龍をそれぞれ見ながら諭すように話すブルー。うん。それは面倒だな。龍龍やめた方がいい。ブルーもそこまで言及しないと。最終決定をこちらに委ねるのは不親切だ。やめた方がいいと、言うんだ。


 資源を第2エリアから持ってくるしかないのが痛い。もし事業が軌道に乗り始めたら、そのヤギはうちから持ち出したものだろう、と既得権益を主張してくるバカが出てくることは容易に想像できる。それが第2エリアの権力者か、家畜用ヤギの生産者かわからんけど。それがミアの家にまで持ち込まれるのは、忍びない。こちらの領主とはまだ会ったことはないが、流石にいい奴だと信じている。プレイヤーが最初に降り立つ街のトップが悪い奴だなんて、シナリオを詰め込みすぎてる。ギルドマスターも海千山千の手練手管だったのに。


「ルール的には問題なさそうだな!GAKU!」


 眩しい顔でこちらを向いてくるんじゃない。貴様はブルーの話の何を聞いていたんだ。ブルーも驚いた表情でこちらを見る。ほら、暗にやめろと言うからこうなるんだ。こういう手合いには、言外のことなぞ伝わらないんだよ。まあ、でもこれでブルーにも責任の一端が生じたと言える。聡明な貴方らしくないミスだ。俺は旅人で自由な身だが、ある意味宮仕えのブルーは面倒ごとは起こしたくないだろう。


「それで、どうやって連れてくる予定なんだ?」


 こうなったら最後まで巻き込んでしまおうと、ブルーの前で詳細を詰めるとこにした。


「テイムして連れて来る!」


「【テイム】持ってるのか?」


「さっき取った!」


 なんて行動力。尊敬に値する。 【テイム】は完全に考えから抜け落ちてきたな。確かに、テイムできれば、エリア間の移動も問題はないだろう。でもそれなら牧畜って形を取らなくてもいいんじゃない?【テイム】の仕様は知らないが。特に大型の物の取り扱いは。シュタイン洋裁店の近くにスペース貰ってそこで飼えばいいんじゃない?雌雄でテイムしたとして、子を成せばその子はテイムされた状態で生まれて来るんだろうか?


「それなら、わざわざ草原で牧畜しなくてもいいんじゃないか?」


 ブルーに苦言を呈した手前、俺は口にしなければいけなくなってしまった。自分で自分の首を絞めるとはこういうことかと、身をもって実感した。【テイム】で済ませられれば、ブルーの懸念していた街間のいざこざも生じないんじゃないだろうか。ブルーもうんうんと頷いている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。