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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.148

 

 魔道具屋を出て、脇目もふらずに噴水広場へ。客人が来るというのが嘘でなかったら、その前に済ませておきたい。そこから聖域に飛び、ストレージから陸玳瑁のドロップを取り出す。爪と背甲で足りるかな?いや、あそこにこの大きさのものは出せない?じゃあ、血液を持っていくか?レアそうだから、持っておきたいが、仕方ない。まあ使い道は交渉くらいだ。新しい命の礎となるならば、あの立派なリクガメも換金を許してくれるだろう。それに、俺が交渉するよりも、マダムにドロップを提供して、代わりに交渉してもらった方がうまくいきそうな気もする。爪と甲羅で足りなかった場合には血液も出すことにしよう。交渉を有利に進めるための切り札として残していたのに。ままならんものだ。


「一応、試してみるか。」


 小屋の扉をそーっと開ける。卵は本当に生命活動が行われているのかと疑いたくなるくらい穏やか。ゆっくり持ち上げてみて、魔力が流れるように意識すると、MPがぐんぐん減っていく。【再生】でHPが減るのと同じくらいのスピード感。【破壊】よりはゆっくり。慌てて、MPの供給をやめ、気持ちばかりにひっくり返して、また祠の横に安置する。MPをやった後も、特に変化もなく。俺の魔力を吸ったら【土魔法】や【水魔法】を覚えて生まれてくる可能性があるって認識でいいのかな?ますます、レアな魔法をアヴィから教えてもらう必要が出てきた。


 ここでゆっくりもしていられない。ガチャで当てたMP回復薬を使いながら、また噴水広場へと飛ぶ。そして、また魔道具屋へ。扉を開ける。幸い、客人はまだのようであった。


「孵卵器と交換して欲しいものがある。」


 流石に、いきなりは出さない。n/nと一緒に見ておいて良かった。雑多なものの多い魔道具屋であんなでかいもの出したら、とんでもないことになる。賠償額で。監視されているんだが、どこまで知っているのか。インベントリ、ストレージ間のものの移動も把握できるほどの力なのか。常時監視しているほど暇ではないはずだが、やり取りした後なので、ずっと見られていた可能性も否定できない。


「何とだい?」


「陸玳瑁の爪、陸玳瑁の背甲。」


「陸玳瑁か。他のは持ってないのかい?」


「そんなに価値がないのか?」


「いや、爪で足りるよ。どうだい、悪いようにはしないから、この魔女に預けてみないかい?」


「俺にメリットは?」


「悪いようにはしないよ。」


「乗った。」


 再度、店を出て聖域へ向かい、残りの鼈甲と心核を取り出す。どうなるかわからないが、悪いようにはしないというマダムの言葉を信じることにする。人を食ったような態度を度々見せはするが、嘘はつかない人物だと判断している。それにしても爪で30万するのか。鼈甲とかどのくらいの価値がつくのか見当もつかない。おい、卵。とんでもなく期待しているからな。お前もあのリクガメのようにでかくなるんだぞ。


「一気にストレージが空に。」


 でも、これでまたレアなものが手に入った時に溢れなくて済むな。ポジティブに考えれば、物事が好転していくという人もいるし。元々エンドコンテンツのものが、思わぬ形で手に入っただけだったから。死蔵するよりは、良かったのかもしれない。金が欲しい気もするが、金では買えない何かを期待することにしよう。


「どうやって渡す?」


「ここでいいよ。」


 魔道具屋でのマダムとの問答。指でトントンとカウンターを叩きながら言う。ここに出せないサイズだから、確認したんだが?陸玳瑁のアイテムがどんな大きさしているか知らず?そんなわけないと思うんだけど。そっちが言ったんだからな?ここがどうなっても知らんぞ。


「え?小さくなってる。」


 カウンターに出すと、爪が両手程のサイズになっている。原理は知らんが、マダムが何かしたんだろう。相変わらず意味のわからない力。少しは俺にも分けてくれよ。あのサイズのものが、この大きさになったら、質量はどうなるのか。トノサマフロッグ程度なら一殴りで爆散しそうだ。持ち上げられないだろうけど。


 続いて、背甲。あの巨体の甲羅全てと考えると、爪なんか比較にならないほどのサイズだと思うんだが。一度、ギルドで全容を見ても良かったかもな。そう思いながらカウンターに置く。思っていたのとは違い、反りがないため、甲羅の一部分のようだった。それでも爪よりも大きい。カウンターの半分以上を占めてしまう。爪と縮尺が一緒なら、とんでもない大きさ。体育館のフローリング一枚で事足りるくらい。


 血液はご丁寧に瓶入り。マダムに渡された薬瓶よりも小さい。サイズ比での価値はものすごく高そう。鼈甲は背甲とは性質が違い、こちらは繊細。まるで芸術品のような美しさ。心核はよく分からん。パッと見ただの綺麗な石だが、その実、よく見ていると、まるで生きているような、何か不思議な力を感じる。ずっと、見ていると、吸い込まれるような、何か話しかけてくるような、


「直視しすぎるんじゃないよ。」



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