ep.143
結局その日は、ガチャとガチャの結果を確認した程度ですぐにログアウト。開幕ダッシュするために崩した生活リズムを整えて、再度ログインする。デイリー消化もやらなかったのは久しぶりだ。なんなら、初めてかも?まあ、今日からはイベントも無くなったし、また好きなように生きるフェーズだ。差し当たって、第2エリアに行くのと、森の狩人に会ってみること。魔法を練習して、アヴィに新しい魔法を教えてもらうこと、だな。
「スキルとか、武器とか、どうだったんだろうなー。」
されど、ガチャ結果に後ろ髪引かれるのが人間の性。自分で手に入らなかったのは残念だが、どういうものが手に入ったかは見てみたい気もする。自己顕示欲強い人が当ててくれれば掲示板で、当たった自慢の一つや二つしてくれそうだけど。それでもまともに冒険しているならば、隠し通すことは無理だろう。人の口に戸はたてられないのも世の常。そのうち情報が回ってくることに期待しよう。
流石に通常プレイじゃなかなか手に入らないスキルに魔道具だとは思う。大当たり枠だからな。今使える人は当たった人だけだろう。問題は、今後どのくらい配布されるかだな。何かしらのオンリーワンなものはつけると思う。少しだけ威力が高いとかの。じゃないと頑張って当てた遊び人の先輩が浮かばれない。
「何するかなー。」
ゲーム内は夜中。流石にこの夜中にデイリーを済ませようとは思わない。魔道具店、開いていないだろうし。とりあえず、納品する薬草類は回収した。水をかけるのはまた明るくなってから。マダムに渡す分の水も確保している。
「バーでも探すか。」
せっかくの夜なんだから、夜にしかできないことをしようではないか。見つかるかわからんけど、夜の街を探索してみるだけでも乙なものだ。近いうちに拠点の中心が第2エリアになりそうだからな。アインスの街をゆっくりみて回れる最後の機会になるかもしれないのだ。普段見て回らない工商地区からぐるっと一周してみよう。
噴水前に飛ぶ。深夜も衛兵が昼間と変わらない人数が立っている。他が暗いせいか、ギルドの明かりがいつもより煌々と感じられる。工商地区の入り口を彩る屋台群もなりを潜め、スーパーなどいくつかの店舗以外は閉まっている。
「思えば、夜深い時間ちゃんと見たことなかったかも。」
シャッターはないがシャッター街。昼間は活気溢れているから、シャッター街には該当しないか。昼の喧騒との対比で、余計しんみりとしている気がする。ここにバーでもあれば、市民の夜の憩いの場所になりそうなのに。ギルドの酒場は冒険者が占領して、一般市民は入りづらいだろうから。
俺でも思いつくような明らかな商機なのに、誰もやっていないのはなぜだろう。一般ではアルコールの流通が少ないのかもしれないな。水資源が豊富だから、いい酒が作れそうなのに。ここよりも力の強い街が専売にしているから手を出せないとかもありそう。でも、組合はあるって言っていたよな?組合単位だと輸入できそうなのに。もっと大きく商業ギルドなんてものがないと行けないのか?この街にはないよな、商業ギルド。
くそ、米でもあれば今すぐ日本酒作り始めてやるのに。先行組はまだ米を見つけられんのか。なんたる体たらく。そう言われてみると、ブドウとも出会ってないような。ブドウがあれば、ワインは比較的容易に作れそうなのに。スーパーにも置いてなかったはず。置いてたっけ?ギルドでワイン提供していたかな?
「これはちょっと。第2エリアに行く前に、この街に娯楽を提供しなければ。」
必要なのは、場所と人材。とりあえず、領主邸に。いや、聖域でやってみて、アルコールになれば話を持っていこうか。大口叩いといてできませんでしたも、ありえない話。その前に、酒関連の制度とか法律とか、不文律とかを確認しに行かないといけないな。こういう時には、ジョンかブルー。正確なのはブルーの方かな?なんと言っても公人だろうし。
「それも、朝になってからだな。」
まだ、アルコールを提供する店がないとは言い切れない。夜明けまでマップを埋めるつもりで、ぶらぶら歩いてみようかね。イベントが終わったこのタイミング、夜限定の何か新たな出会いがあるかもしれない。
「何もないか。」
空も白んできて、アインスの街のマップも8割程埋まっただろうか。ここまで歩いてきても、何も起こらず。時折プレイヤーやNPCとも遭遇はするものの、当たり障りのない一般会話のみで、何かしらにつながりそうなものはない。プレイヤーは何をしているんだろうとは思うが、向こうからすれば自分も同じ境遇であるのは間違いないから、強く聞けない。
「そこで何をしている!」




