ep.142
「ま、こんなもん。」
最後の11連を残し、引ききった。結果を勝ちか負けかで言うと、イーブン。今日はゲームをプレイせずに、ひたすら目録とにらめっこ。数刻大当たりが出なかったら出やすくなっている理論と、大当たりが出たすぐ後に引けば大当たりの出口が開いたままだから続けて出やすい理論を試していたが、不発。所詮、迷信だったようだ。
「俺の心の弱さが。」
自分の運と神頼みまでした敬虔なる信仰心を蔑ろにしてしまった。浅い確率論にしがみついて、不甲斐ない結果に。途中で歯止めが聞かなくなってしまったのも事実。多分【欲望の僕】の所為。むしろ、よく最後の11連を残して踏みとどまれたと、自分を褒めてやりたい面もある。
結果は、良さそうな杖を手に入れたくらい。魔力の杖。詳しくは見れていないけど、魔力の指輪と似たような感じかな。蜘蛛のドロップの指輪。あまり意識することはないが、きっと恩恵を受けられているんだろう。それの杖。耐久がどれほどかも問題だな。ナイフと違って、どうメンテナンスしたらいいかもわからんし。木なら、聖域に埋めとけば回復するかな。下をちょっと切って、薬剤につければいけるかも?
他はリルと回復薬、木材や鉄資源などの一般素材。1個だけ回復薬・上が手に入ったが、残念ながらHPのもの。まあ、【再生】量が増えるならば、悪くはないだろう。リルに関しても、一撃万枚が当たったのもあり、悪くない回収率に。小屋に課金した分の少しは回収できただろうか。どうせ、すぐ使うことになる。何をするにしても、作業台が欲しかったところだ。
「さて。大一番。」
最後の11連は、自分の運と神頼み。欲しいのは、装備品とMP回復薬・上。あとは残っている最高レアのもの。防具、スキル書、魔道具は先ほどまでは残っているのを確認している。ここで引いてこその遊び人だろうが。
守護者と対峙した時のような緊張感に包まれる。もしかすると、それ以上かも。それほどまでに、このガチャに人生を賭けているのは、俺くらいだろう。運営さん、見ていますか。俺が、今、一番このゲームを楽しんでいます。
「今!」
ダーツで投げる前にブルに入る予感がした時のような、確信めいたものが取り憑き、ガチャを回す。ガラガラは無人で勢いよく回り始め軽快な音を鳴らす。回る勢いが落ち着いてきた頃、最初の一つが抽選機から出てくる。それが呼び水となったか、次々と抽選されはじめ、11個が出揃った。
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「ふんふんふーん。」
聖域で作物に水をやりながら、誰も聞いていないからと思わずハミングをしてしまう。最後の11連で当たったのは、靴。名前を”風の靴”といい、AGIに+補正がかかる逸品。親に靴を買ってもらった子どものような気持ちで、新しい靴を履いて気分良く農作業を進めていく。見た目はシンプルで、何かしらの生き物の皮を使用しているようだ。新しい靴ってのは、クッション性が違うな。AGI補正のおかげもあるのか、本当の意味で翼が生えたような足の軽さ。
指には魔力の指輪の隣に、回避の指輪が。最初のガチャで当てたやつ。これもAGI補正があり、この二つの効果で、TeAにも負けないくらい、早くなったんじゃないの?今度勝負してみようかな。
結局、最後のガチャで当たったもので良さげなのは、この靴のみ。あとはリルとなんか変な仮面。【鑑定】してもなんの情報も出てこない。有益な情報がない、とかではなく、情報がない。ブランク。名前は謎の仮面。見た目はベネチアンマスク。何かしらの魔道具か、とも考えたが、最高レアのものではないことはわかっている。
「どうせなら、ペストマスクみたいなのが良かったな。」
あれは見た目もかっこいい。厨二病もくすぐられるデザイン。実用性はほぼ皆無と言っていいだろうが、それすらも凌駕するほどのかっこよさ。いや、ベネチアンマスクはつけれないって。それこそ、本場のようなブロンドの美男美女がつけてなんぼのものでしょう。それに、ただでさえ、官憲に警戒されているのに、マスクつけてうろうろしていたら、ますます危険人物臭がしてしまう。
せっかく当てたものだし、捨てるのも憚られる。何か、顔を隠す必要ができた時につけるようにしよう。それまではストレージの肥やしだな。
「資材とリルはありがたかった。」
小屋のに資材を投入すると、アップグレード項目の費用が目減りしたようにも思える。これまたガチャでできた資金を突っ込み、作業台を選択する。小屋の扉を開けてみると、外観よりも明らかに広い空間が。これでちょっとした工作ならば小屋の中でできそうだ。料理の仕込みなんかもできそうで良かった。




