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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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141/148

ep.139

 

「どっちが近いかなー。」


 ここから、川沿いを降っていくほうが早いか、街に戻って森の方に向かうのが早いか。直線距離は一緒くらいだけど、流石に街の方からが早いよな。でも、森の中を歩いていくと、何かしらの痕跡を発見できる可能性もある。ラルムに教えてもらったのも、狩人本人をみたわけではないらしいし。


「本腰入れるのはイベント後だな。とりあえず下見に行きますか。」


 街に飛んでから、森の方に向かうことにした。草原ルートのほうが魔物との接敵も多く魔法の練習にもなるだろうし。狩人の件も取り越し苦労ってことはないかなー。案外、普通に拠点を構えて生活してたら面白いのに。流石にそんな甘くはないだろうが、俺には看破もあるから。透明なのだって見えるんだぞ?ギリースーツだろうがなんだろうが関係ないだろ。ちょっとだけ考えていることもある。


 街に飛び、噴水広場につく。流石に初期装備は見当たらない。なんか、恥ずかしくなってきたな。だがそれも今日までだ。衛兵に頭を下げ、門を潜る。


 いい天気にどこまでも続いているようにも思える草原。時折向かってくる鶏のペアや、ネズミを屠っていく。正直【詠唱破棄】の恩恵はそこまで感じられない。発動までが少し早くなっただろうか。達人ならばその数秒が勝敗を分けるのであろうけれども、エンジョイ勢の俺としては”なんか良い”止まりだ。今後に期待ということで。相手も悪いな、コレ。狼あたりの一撃で倒れず、動きも早いやつと対面した時には、存分に奮ってもらおうではないか。


 群生地に到着した。実はここから真っ直ぐ森の方に入っていくのはこれが初めて。いつもは群生地の方に流れて行ってしまうからな。地図にあるマークは先に進んで右手の方に付けられている。ボスはそれよりも奥にいるのかな?一面のボスはなんて言ったっけ?聞いたことあるかな。どうせ獣系だろ?きっと大きい狼とかだな。


「こっちは歩きやすいな。」


 先人たちが切り開き、プレイヤー達が踏み固めたであろう林道。少し離れているだけなのに、こちらには文明が息づいているのを感じる。この道を進んでいけばおそらくボスがいて、その先が第2エリアということか。プレイヤーによる第2エリア到達は比較的すぐだったから、そこまで距離は離れていないだろうな。


 マークは川を渡った先。水源は聖域の泉で間違いない。どうやって越えようかと思っていたが、こちらには橋がかかっていた。川幅が広くないので、壮観というわけではないが、シンプルな作りの橋。この世界では秘境にいくための蔓橋なんかもあるのかな。ぜひ一度訪れてみたいものだ。ガチャで旅券なんてのもおつだな。


「ルー、何かいそうにない?」


 川を渡って、マークの方に向かう。林道は逸れてしまうが、いつも歩いているのはこんな道。俺にとってはホームグラウンドだ。野生の感というものか、危機には敏感なルーに頼ってみるが何もわからず。狩人は鹿を追っているんだっけ?現実世界では鹿も敏感に人の気配を察知するらしい。足音には気をつけて、【気配希釈】もかけておこう。


「まず鹿を射よ、か?」


 凄腕の狩人ならば、痕跡は残さないだろうな。ならば鹿を追う方が近道だろうか?でも、魔物がポリゴン化しないと仮定するならば、当然血の処理をする必要も出てくるわけで。そういう、小さな痕跡を見つけるこができれば、自ずと狩人に近づいているんじゃない?狩人を見つけることができれば、その暁には【解体】も取得できるようになっている、的な。1箇所見つければ、捜索ゲージが数%進むパターンでもいいな。


「流石にそんな簡単にはいかないな。」


 ラルムに教えてもらったところを中心に探してみるものの、狩人はおろか鹿の痕跡さえ見当たらなかった。定住していないようだし、他の場所に移った可能性が高いな、コレ。やっぱ、ノーヒントで見つけ出すのは難しいか。多分、街とかでもっと情報集めてフラグ踏まないといけないパターンだ。ギルド職員が知らないってことは、ギルドに魔物のドロップを卸していないんだろう。直接ジビエレストランなんかと取引しているのかも。それか、第2エリアの方に行っているとか。そもそもリルに依存した生活を送っていない可能性だってある。ひっそりと自給自足。この世界ならば、それも可能だろう。


「今日のところはコレくらいにしといてやる。」


 一通り見て回ったが、手応えなし。【看破】なども都度使用しているが、反応なし。まあ、ナイストライってことで。本当は落とし穴掘って、狩人を罠にかけてやろうと思っていたんだが、木々の根が入り組んでいて、俺の力では浅いところまでしか掘れなかった。【破壊】の力を使えば、掘り進められるかもしれないが、流石に豊穣神から加護をいただいている身だからな。次回は鹿の好物でも集めて、鹿を呼べば狩人もついてくるだろう。


「鹿の好物ってなんだろうな?」


 ガチャで当てればいいか。



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