ep.11
「オオカミガイタ。」
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【生活魔法】を習得し、ギルドの外に出ると辺りはすっかり暗くなっていた。それでも、便利魔法を習得できたGAKUの足取りは軽い。このまま、街の外に出て、稼ぎまくるんじゃと意気揚々だ。冒険者ギルドから、街の門はそう離れてはいない。勢いそのままに、門のすぐ隣に開いた小さな扉を通る。門は大きいから必要時だけ開けるのかな。今日来た時は開いてたかな。通る最中、常駐している警備兵だろうか、軽く挨拶をする。何か、気をつけて的なことを言っていたようだが、考え事をしているGAKUの耳には入らなかった。
モンスターを探して練り歩く。昼間にきた奴らが狩り尽くしてしまったのか、なかなかウサギの姿が見えない。というか、真っ暗で辺りもあまり見えないが。勢い荒んできたはいいものの、文字通りお先真っ暗だ。
「ハハハ、いうてる場合か。」
辺りは暗いが、GAKUの気分は明るい。軽いジョークも出るくらいだ。【生活魔法】の火を指先に灯して、目の前を気持ち明るくしながら進む。風が吹き、草原の揺れる音、虫の鳴き声も聞こえる、良い夜更けだ。
鼻歌まじりに探索を続ける。ウサギとはまだエンカウントしていない。やっぱりモンスターとはいえど、夜は寝るんだな。不眠不休で働くのはいつも薄給労働者だ。上役はしっかり休みを取るのは世の常か。世知辛い世の中になったもんだ。
急に、いや気づかなかっただけで、急ではないのかもしれないが、周りの静けさが気になり始める。先ほどまでは風は吹き、虫は歌い、良い心地がしていたが、今は無音だ。【生活魔法】を手に入れたことの高揚感も薄れていく。考えてみれば夜の郊外なんて、ホラー要素しかないじゃないか。幽霊なんて出たら卒倒してまうぞ。せめて、ゲーム的なデフォルメされたゴーストを頼む。
「よし、帰るか。」
金は要る。金はいるが、今ではないな。これは逃げではない、戦略的撤退だよ。自己擁護し、少し遠くなってしまった街の方に向かって早足で歩き出す。
「グルルルルゥ」
ああ、なんだ、暴れウサギもいたんじゃないか。ホラーじゃなかったな。なんだよ運営まで寄ってたかって脅かしやがって。何が幽霊だよ。でもなんで、このウサギ、すでに怒ってるんだろうな。まあ、おかげで来た甲斐があった、エンカウント効率も良くないし、こいつを狩って、帰るとしようか。そう思って振り返る。
はぐれ狼 L
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「オオカミガイタ。」
気づいた時には、街の中だった。初期リスか。冒険者ギルドも門も見える。噴水は夜間も止まらないんだな。カップルなんかには良いんじゃないか。チラチラとこちらを見てくる視線を無視するように、関係ないことを考える。門の方から兵隊さんがやってくるのが見えた。
「兄ちゃん、だから気をつけろって言ったじゃないか。」
「夜は街の近くでも凶暴なやつが出てくるんだよ。」
「ああ、すまない。少し気分が良くて、行ける気がしてたんだ。」
ほんとにあの時はどうかしてたんだろうな。街の外に出たこともないのに、自分には行ける気がしていた。金に目が眩んだのか。【生活魔法】を運よく手に入れることができて浮かれていたのか。どちらもなんだろうな。というかその前に、足が言うこと聞かなかったのはなんでなんだろうな。それが気になり、その可能性を探る。そして、一つの可能性に思い至る。
称号【欲望の僕】だ。なんか、この世界で初めて飲食したってのでもらえた称号だ。大層な名だが、よく考えれば、何も確認していなかったな。何かわかるか、鑑定してみる。
【欲望の僕】
自分の欲望に抗い辛くなる。自分の欲望に従うと、少し良い結果が起きるかもしれない。
?⁇
「確実にこれだ。」
かもしれない、とかなんともふんわりした内容だが、確実にこれが悪さしたのだろう。ただ、あの時司書が、ブルーだっけか、ブルーが席を外していたのも、そのおかげで無事魔法を得られたのもこれの恩恵があってのことなのかもな。感謝して良いのかわからんな。今の鑑定じゃ分からない内容もあるみたいだし、さすが、ワールドアナウンス級の称号といったところではあるか。でも、流石にデメリット大きすぎない?あの時体の自由効かなかったぞ。今度ログアウトした時にでも、運営に問い合わせておこう。
「お兄さん、夜のフィールドに出るの勇気あるな!」
運営に聞いてみようかなと考えていたところで、なんかチラチラ見ていた奴らの内の一人が話しかけてきた。




