ep.125
それにしても、知らないスキルに、知らない魔法。ルーみたいに、もっとぶっ飛んだ魔法を期待していたんだがな。時空だとか闇だとか、雷だとか。まあ、光も十分厨二臭いか?少なくとも、水や土よりもかっこよかったのは事実。【詠唱破棄】に関しても、今回は俺に見せるためにゆっくりやってくれた節が見受けられるが、本気出せば、一瞬で打てるんだろうな。威力の減衰がないのかとか、気になるところも多い。
「GAKUには【詠唱破棄】を教える。これで魔法を育てるんだ。」
「おお!」
魔法を十分使えるようになったら、また教えてやる、だと。ピザとタコスのレシピとトレードなら、儲けたんじゃないか?元々、魔法の前に小っ恥ずかしい詠唱がないので問題なく使えてはいたんだが、ラグが少なく魔法を打てるようになるのは、大幅な戦力増強になりそう。【詠唱破棄】の上が【無詠唱】とかになってくるのだろうか。そんなん使えるようになったら、指パッチンで魔法を撃てる、男の夢を叶えられるじゃないか。アヴィの言うように魔法を育てられたら、それも教えてもらえるようになるのかな。俺の中でちょっと魔法や戦闘のモチベーションが上がってきた気配が。
それと、魔法を育てるの意味だが、【水魔法】単体のレベルを上げればいいのか、自分の使える魔法の合計レベルが上がればいいのか。あとでスキル調整して、スキルポイント余ったら、火と風もとってみようか。いろんな種類とったら、個々のレベルが上がりにくくなる仕様とかありそうだな。遊び人だから許されるか。
「後学のために、アヴィ様が使える魔法を教えていただけたりは?」
「アヴィ様は【水魔法】と【風魔法】それと先ほどの【光魔法】が使えます。【水魔法】はアインス家を象徴する魔法でもあり、アヴィ様の一番得意とする魔法でもあります。」
ラカイユが割って入ってきた。まあ、出してもいい情報と隠す必要のあるものと、色々あるんだろうな。【水魔法】が得意ということだが、デモで【光魔法】のライトアローを選択したのは、俺が【水魔法】を持っていたからだろうか。俺の思惑を読み取って、見せてくれたんだろう。それにしても象徴する魔法があるのか。持って生まれなかったら、どうなるんだろうな?妙なストーリーが生まれそうだ。
その後、アヴィからのレッスンが始まった。魔法を打つ時に、どこどこを意識しろ、だの、魔力の源はどこにある、だの、実技というか、理論や感覚的な部分を教えてもらった。セバスやラカイユに見守られながらも、指導は続く。セバスは時折、席を外していたかな。
「あ、出てた。」
「筋は良くないようだが。まあ、努力次第といったところか。」
俺はてっきり、【生活魔法】や【隠蔽】のように貰えるもんと思っていたんだが、あまりにも覚える気配がなかったので、獲得可能スキル欄を見てみると、【詠唱破棄】が出ていた。なんだよ、無料じゃないのかよ。それでも、2ポイントと、だいぶ割引してもらっているように感じる。有資格者に教えてもらったから、少ないポイントで取れるようになったのだろうか。マダムから教えてもらったら、もしかしたら、ポイント消費なしで覚えられたのかも。そこまで行くのに、色々代償がありそうなのが怖い。アヴィでよかったな。そんなアヴィからは筋が良くないと、烙印を押されてしまった。違うんですよ。ちょっと、欲深かっただけなんですよ。
「ありがとうございます。無事取得できそうです。」
「それで修練を積めば、魔法の次の扉が開く。レシピ、感謝する。ラカイユ。」
【詠唱破棄】を教えてくれたことに例を言うと、アヴィがまた意味深なことを言う。そして、レシピの件の礼をいって、ラカイユと共に家に向かっていく。次の扉というのは一体?スキルポイントでは覚えられず、今回教えてもらえなかった【光魔法】なんかが、次の扉ってことかな?ってことは、やはり魔法のレベルか、使用回数等の内部データが基準値満たしているか、とかか。
「GAKU様、これを。」
庭に残されたセバスと俺。セバスが渡してきたのは、クッキー。今まで大人しくしてくれていたルーも、肩口までよじ登ってきて、セバスから受け取ったばかりのクッキーを目にも止まらぬ速さで回収していく。
「ありがとう。咎人の件は別に話さなくてもいいんだが、訳あって、聖域というものを手に入れることができた。有事の際は声かけてくれ。避難場所として提供しよう。静養にも良さそうだった。まだ、人を迎えられる用意はないが。」
「そうしていただけると助かります。」
咎人の件と聖域の件両方に助かりますって感じだったな。やはり、咎人には咎人らしい暗いものが付き纏うんだろう。それこそ、子供には聞かせたくないような。
セバスは、門のところまで見送ってくれる。今日はイレギュラーなことが多かった。日も落ちかけてきている。今頃ジョンのコーヒーを飲みつつ戦果の確認をしていたはずなのに。まあ、予期せぬ強化もあったし、痛み分けということで。セバスが門を閉めてくれている時に思い出した。
「あ、レプルの種、いただけませんか?」
私は料理が得意です。




