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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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126/128

ep.124

 

 タコスの作り方を教えながらの街までの帰り道。アヴィは驚くほど真剣にタコスの作り方を聞いている。ピザもそうであったが、どうしてだろうな。出店する予定なら、プレイヤーに負けないように頑張れよ。これで、魔法が大したことなかったらどうしてくれようか。せめて、初期から手に入れられる火か風以外で頼むよ。


「おお、タンク。」


 門には武装した衛兵が集結していた。隊長は、見当たらないが、中には見知った顔が。本名は結局わからないままだったな。元気にしていただろうか。そんなに時間経っていないか。タンクはこちらをチラッとみただけで、緊張状態をとかない。俺がアヴィを連れ出したのが、こんな大袈裟なことに繋がったのか。今後自重しないとな。ミアを聖域に連れていくのにも一苦労しそうだ。渦中のアヴィは片手をあげ、衛兵を労った感。


「アヴィ、様ってすごいんだな。」


 俺はというと、もう案内する必要はないので、先をぐんぐん進むアヴィにラカイユと並んでついていっている状態。隣にいるラカイユに素朴な疑問を投げかける。


「それは、次代の領主となるお方ですから。」


「ラカイユは執事の家系なのか?」


「そういうわけではありませんが、セバスチャンに拾われて、と言いましょうか、彼が引退するタイミングでアヴィ様の執事に。」


「あれ?でも、ミアの執事に、」


「まあ、色々ありますから。」


「ああ、そうだよな、すまん。」


 いえ、と笑うラカイユ。まあ、色々あるよな。人様の事情に土足でずかずかと踏み入ってしまったな。ミアが調子を崩しているのは、昔からのようだし、その辺の事情もあったのだろう。引退ってことは、以前もそのような職務に就いていたんだろうし。


 それでもこれでアヴィが長兄なのがほぼ確定したのかな。さらにその上にいるけど、跡目には興味ないとかの可能性も捨てきれないか?骨肉の争いとか、血生臭いのは勘弁だ。現状を見られたら、俺はアヴィ派として数えられるのか。権力には寄りつかない予定だったんだが、本当に人生はどう転ぶかわからんものだ。遊び人になってからの方が、遊んでないまである。


 衛兵からの突き刺すような視線を感じつつ、門をくぐり、坂道を登る。頂上の邸宅に着くと、セバスがお出迎え。ミアは、活動限界だったろうか、姿が見えない。一応、出る前に声をかけといてよかった。テーブルや椅子も片付けられている。クッキーは、ルーのクッキーは何処。


「それで、魔法の何が知りたい。」


 家に着くなりアヴィが切り出してくる。魔法の何が知りたい、か。提案したはいいものの、何も考えていなかった。水と土は使える。火と風はポイントさえ支払えばすぐにでも。使い方なんかも、自分なりに工夫して使っているつもりではあるんだよな。そうなると、やっぱり獲得可能のスキル欄に載ってきていない魔法について知りたくなってくる。


「【水魔法】と【土魔法】を使えます。他に何か、魔法を教えていただけないでしょうか。」


「GAKUはどれくらい魔法を使える?」


 やって見せろ、と解釈してもいいのかな?予想外のスパルタな気配。小さいうちから、厳しい指導を受けてきたんだろうか。名のある家に生まれるというのも、楽ではない。英才教育というやつだな。それにしても、人様の庭で、しかも街中で魔法ぶっ放してもいいのか?治外法権か?ああ、マダムもやってたな。


「サンドウォール!アクアバレット!」


 なるべく周囲に影響を出さないように、サンドウォールに多めにMPを払って、出現した砂の壁目掛けて水の散弾を。単体攻撃のウォーターボールと選択を迷ったが、とりあえずテスト的なことだろうから自分にできる一番のことを見せる。


「【魔力操作】は持ってます。」


 魔法を使った後、謎に無音の時間が発生したので、居た堪れなくなって追加のアピールポイントを。若干就活の時のことを思い出しそうになる。アヴィの想定を越えられなかったのだろうか。まあ、まともに戦闘していたら、もう一個上の魔法を使えるくらいにはなってそうだ。でも、それってぇ、前線の人たちだけですよねぇ?


「まだ、別の魔法を覚えられないだろう。」


「そうですか。」


 俺の嫌な予感は的中する。今は水、土ともにLv.3。もっと熟練度を上げてこなければならないのだろうか。魔法のレベル上げ、結構時間がかかるんだよな。それとも、覚えている種類の話?種類だったら一瞬なんだが。


「そんな顔をするな。レシピを教えてもらったからな。見せてやる。」


 新しい魔法を覚えられないとわかって、年甲斐もなく落ち込んでいた顔をしていたんだろうか。そんな俺を見かねてか、見せてやるって、一体何を。


 アヴィが片腕を横に上げ、手のひらを上に向ける。その上方に眩い光を放つ矢が出来上がる。そのまま人差し指を上に上げると、ものすごい勢いで上空目掛けて飛んでいき、空中で霧散する。


「今のは【詠唱破棄】でライトアローという【光魔法】を使った。」


 マダムのところでも見た、魔法の矢。流石にマダムの方が威力が高そうだったが、年の功か?なんか今、頭がズーンと。そういや監視されているんだった。年齢系もアウトか。監視とかいうレベルじゃないな。NGワードが設定されているんだろう。便利な称号だ。どういう原理かわからん。魔法の世界だから、原理とかいらんのか。





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