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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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125/129

ep.123

 

 懸念していることが起きなければいいんだが。さすがに案内という形なので、アヴィの前を歩く。俺の心配事なぞ気にも止めず、アヴィの足取りは軽やか。その後ろを静かに続くラカイユ。セバスといい、どこか達人の佇まいを感じさせられる。坂道を下り、東門も目前、一人の衛兵がこちらに気づき、ギョッとした顔を見せる。そして、他の衛兵を集めて、こちらにやってくる。


「おい、止まれ!アヴィ様を連れてどこへ行く!」


 やっぱり、懸念していたことが起きた。仕事熱心なのはいいけどね、後ろには執事のラカイユもいるんだし、そう目くじら立てなくても。貴族のお戯ですよ。


「控えろ。俺の連れだ。」


 どう説明しようか考えていると、鶴の一声、アヴィが俺の面倒ごと吹き飛ばしてくれる。おお、流石に偉いんだな。見直したぞ。アヴィ一声で、何か言いたげではあるものの、衛兵達は揃って道を開けてくれる。その一連の流れに、多少の耳目を集めるも、アヴィは歯牙にも掛けない様子。これが生まれながらに将来を嘱望されているやつの立ち振る舞いか。俺みたいなナチュラルボーンの庶民とは格が違う。


「アヴィ様、この旅人は、」


「いい。ラカイユがいるんだ。」


 道を開けながらも、必死に何かを伝えようとする衛兵。それを一蹴するアヴィ。衛兵間でどのように話に尾鰭がついているのか戦慄する俺。涼しい顔のラカイユ。そのまま、東門を抜けて一行は北の屋台を目指す。


「GAKUは何かしたのか?衛兵は何故声を上げた?」


「なんででしょうね。今から行くところで料理を売っていたら、怒られたんですよ。」


「そんなことがあるのか?」


「あったんですよねえ。」


 アヴィはその件に関して知らない様子。ラカイユは、どっちだろうな。知っていてもおかしくはない。最初はケンケンしていたアヴィだが、妹が絡まなければ、結構優秀な人材のよう。この件はこれ以上深掘りされないよう、適当にはぐらかす。外で食い物を売っている件に関しては言及されなかったな。お墨付きもらえたってことで良い?


 北の屋台が見えてきた。良かった。ピザ窯は健在。延焼もなし。案内しておいて、崩れていたらどうしようかと心配していたところだ。そのピザ窯の前に人影が。TeAかな?TeAだろうな。


「あんた、どこ行っていたのよ!」


「先程来たんだが誰もいなかったから、また外していた。フレンド交換しておこう。」


 TeAもその提案に否はないのか、スムーズにフレンド交換が行われる。これでお互い、気兼ねなく他のことをできる。いや、本来はここに出ずっぱりの予定だったんだよ。色々予定が狂ったんだ。


「そちらは?」


 フレンド登録を終えたTeAが俺の後ろにいた二人に言及する。


「アヴィ様とその執事のラカイユ氏。」


「そう。アンタ、路地に占い師いなかったじゃないの!」


「それは知らんよ。偶発的なイベントの可能性だってある。」


 TeAは俺が様付けしているのにも関わらず、アヴィ達には興味がないよう。そんなことより、占いなんだな。占いの部分は置いておくとしても、タロットとかはモチーフとしては俺も嫌いじゃない。厨二病的な感じがして。TeAみたいに占いに食いつくプレイヤーが多くいるなら、俺が占い師になったっていい。適当に当てはまりそうなことを言えばいいんだろ?俺はもうなんて言われたか忘れたけど。


「ふん。それで。これがあるなら、新メニューはピザってことでしょう?ホールで買うわ。」


 俺の返答に鼻を鳴らして返事をする。ピザの値段考えていなかった。まあ、キリよく1,000リルでいいか。いや、薬草乗せたやつ安めに売って感想貰うんでもいいな。


「800リルでいい。その代わり、感想を後でフレンドコールででも。バジルが見つからなかったから、ローハを乗せてみたんだ。」


 美味しくなかったら、葉っぱは外して食ってくれ、とインベントリから熱々のままのピザを取り出し、渡す。皿がないことは織り込み済みだったのか、持参の皿を持ってきていた。さすが常連。紙皿なんかがあれば気軽に使うんだがな。後で要望でも出しておこう。店を詳しく見れば売ってたりするのかな?生憎そんな暇はない。


 金銭と商品の授受が成立してガチャポイントも幾許か。


「お待たせしました。」


「気にするな。それで、その石を積んだのがGAKUが言っていた窯か?」


 TeAとやりとりしている間、待たせてしまった。二人を石窯まで案内し、大まかに説明する。これもありもので済ませただけだから、本来はちゃんと成形された耐熱のもので積み上げて、木材でドーム状の枠を作りその上に石を並べ固定してアーチ状を作って熱が対流するように、と説明していく。ついでに焼き方の説明をしようとした時に、生地を使い切ったことを思い出す。具材はいくらか残っているんだが。


「生地がないので、すでに焼けたものを使っても?」


「それでいい。」


 インベントリから木を取り出し、窯に入れて火をつける。絶え間なく木を入れ火力が上がったところで、すでに焼き上がっているがピザをいれ、回転させながら焼くデモを見せる。


「もともと焼けてたので、少し黒くなりすぎましたけど、この周りの縁の部分に焦げ目がついてチーズがとろけてきたら焼き上がりです。生地を厚くしても美味しいです。」


 ちなみに、こんなのも出してますとタコスも出してみる。辛いのが得意かわからないから、とりあえずワカモレの方をかけて渡す。コーラナッツも探さねばならんか?


「GAKU、これも教えてくれ。」




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