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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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121/126

ep.119

 

「すまんな、ルー。もうしばらく辛抱してくれ。」


 レイと別れ西門に向かっていたところ。次の予定は魔道具屋と思っていたが、思い出したことがある。昨日、数少ない、というか唯一の常連であるTeAに宣伝してしまっていた。ピザは食材もないため、売れないがタコスはあるからな。待たせていたら悪いので、先に屋台に向かうことにした。


「いないか。」


 屋台周辺に人影はない。適当に積んだなんちゃってピザ窯も崩れていない。今日はこないのか、はたまた待ちくたびれて帰ってしまったか。いないものはしょうがないな。街に戻って、数刻してから、また来てみよう。


 街に到着。入る時にはしっかり目的と滞在場所を確認された。お勤め、ご苦労様です。北の方に不自然な穴が空いていて、人が落ちてましたよ?危険だから、埋めておいた方がいいかも?


 魔道具屋に入る。蛇が一瞬こちらを見た気がする。すまんな。今日リンゴ買ってこなかったんだ。次は買ってくるから。


「ルーに何か教えてくれたのか?」


 薬草と、買取用の回復薬をカウンターに置く。薬草はいつもの量。金も作れたし、数日間は聖域に夢中になるかもしれないから、回復薬は3本ずつ。少しだけ持ち出しが多くなった。守護者との戦闘でも、回復薬の重要性をひしひしと感じたからな。1本はすぐにルーに使ってやる。何と言っても昨日の殊勲賞だ。色々あって、待たせてしまったし。そして自分にも回復薬を。自然回復スキルはないものか。それも茶店でコーヒー飲みながらでいいか。


「なんのことだい。」


 そっけなく言うマダム。昨日のルーの活躍は、マダムの助言によるところもあったんじゃないかと思っている。俺のいない間に、どういったやりとりがあったかは分からんが、あの時間操るやつはともかくとしても、最後のはマダムの意匠が利いてる気がするんだよな。一度見た氷の矢にそっくりだった気が。それでも、マダムの魔法の方が脅威だと感じたのは、どういう了見だ?【破壊】の力を込めた後ですら、あの氷の矢の方が威容を放っていた。


「いや、いいんだ。」


 礼を言って魔道具屋を後にする。聖域や咎人関係について、何か聞けないかと思っていたが、やめた。人様に偉そうに講釈垂れたばっかりだからな。自分で考え、見つけ出すことにしよう。無から始まるわけでない。キーワードはすでに持っている。御伽噺風にミアに聞かせれば、セバスが何かしらの反応見せてくれそうだし。彼女らの家長が許すなら、聖域に招待したっていい。こちらの住人が転移出来るか知らんけど。遠出出来ない縛りの中、行ける範囲で一番遠い辺境なんじゃなかろうか。あそこは静養にいいはず。なんたって、聖域なんだし。


 食材を買い揃えて、もう一度屋台の方へ向かってみる。枝もいっぱいあるし、あの窯でピザを焼けるか試せるぞ。売る人がいなかったら、またミアのところにでも押し付けに行こう。ジョン達に差し入れしてもいいかもしれない。聖域に言って薬草類の植え直し、祠の設置もしなければならない。その前に神殿に寄って女神像の横に自作の神像おいて、祝詞でもあげてもらおうか。やることがいっぱいだ。本当に遊び人か?まあ、戦闘で経験値が入らないから、ある意味遊び人が一番忙しくしていなきゃならんのか。理不尽じゃね?不遇なわけだ。


 屋台には人はなし。仕方ないか。明日以降に期待しよう。ピザ窯に薪を焚べ、火をつける。温度が上がるのを待つ間に、塩やオイルで上に乗せるトマトソースを。作っておいた生地に、先ほどのソースと買った具材を乗せ、温度が上がった頃合いを見て窯に放り込む。その間に、ナイフで木を加工して、ピザ職人がよく持ってるしゃもじみたいなあれを。生産系のスキルももっと取っておきたい。おそらく俺は称号周りのおかげで同レベル帯で比べるとスキルポイントを結構持っている方だと思う。それでも枯渇しそうなんだから、他のプレイヤーはどうやってやりくりしているのか。前線組は強敵倒せばスキルポイントも会えたりしているのだろうか?


「いい焼き色なんじゃない?」


 目が痛くなるほど煌々と燃えている窯の中でピザの上に乗せたチーズが火山のようにぐつぐつと。焦げたいい匂いもしてき始めた。これ、街中でできれば結構いい売り上げいけそうなんだけどな。街に元からあった飲食店はウサギの煮込みとか、この世界の郷土料理を出す店が多かった。釣り人連合の尽力もあり、高級店では魚を提供し始めたらしい。ギルドの酒場はつまみがメインだし。


 奥の方が火力が高いので、時折回しながら、耳に均等に焦げ目がつくように焼いていく。頃合いを見て、取り出し、ナイフでカット。チーズがとろけていい感じ。


「うまー。」


 素材も窯も不十分だが、それでも満足いく出来。開放的な場所で出来立てを食べていることもプラスに働いている。これ、ちゃんと石を加工して窯をちゃんと作ればもっと上を目指せるぞ。トマトにも手を咥えられるし、あとは酪農家プレイヤーだな。どこか酪農が盛んな街もありどそうだ。そこにも赴きたい。


 次のピザを焼き始める。今度は、実験的にローハの葉をバジル代わりに。まあ、似たようなもんだろ。サラミのような加工肉を探したんだが見当たらなかった。ジョンの店で使ったでっかいソーセージはどこで仕入れたのか。コーヒー豆といい、外にツテがあるのは羨ましい。旅人なんだから、自分で発見しろってことだろうけど。コーヒーの木はどこにあるんだ。聖域で育てたいんだ。




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