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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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113/126

ep.111

 

 攻撃の後に魔法を当てる行為を何度か繰り返す。できればHPが減ってモーションが変わる前に、大きいのを叩き込みたい。本当にHPが減っているのか甚だ疑問ではあるけど。それで倒されてくれればいいんだけど、そんな簡単な相手ではなさそうなんだよな。自分の力だけでは勝ち目のない戦闘でルーの力を借りるのは俺の美学に反するが、立っているものは親でも使うこともまた、俺の美学。デスペナルティを喰らうわけにはいかない。最悪、陸玳瑁のレアドロップはいいんだけど、トノサマフロッグの手袋がなくなれば、ここにくる手段がなくなるからな。こいつに勝たないと、ここまできた意味がなくなる。こちとら、ガチャポイント捨てて、ここまで来たんじゃ。何かしら、持って帰らせてもらうぞ。


 一定の距離を保てば衝撃波は飛んでこない。大技を当てるなら、隙の大きい横薙ぎの後がいいだろう。振り下ろし、横薙ぎの確率は半々。体がブレた後にはすぐ瞬間移動がくる。横薙ぎの攻撃を狙っての【破壊】の力を使うことは、俺の反射神経じゃ対応できない。ある程度賭けに出る必要がありそうだ。大丈夫、俺はこの時のために遊び人になった。俺は今、黒か赤かのルーレットをしているだけだ。縦(黒)が2回出た後は、相場は横(赤)だと確率の神様が随分前に決めている。


「縦。」

「横。」

「横。」

「縦。」

「横。」


「ヤロウ。」


 一旦、仕切り直しだ。コイツ、俺の作戦に気がついたのか、振り下ろしを2回連続で出してこない。コミュニケーションでも取れれば、話は違うんだが。俺がここまで来れたのは、ある程度口が回ったからだ。


「コミュニケーションか。」


 咎人と言ったか。一般魔物とは一線を画す存在だと思うんだが、知能面はどうなんだろうな。元が人なら、バーバルなコミュニケーションも可能だと思うんだが、それも封じられているのか。和解できるのが一番なんだけどな。というか、ギミックボスの可能性を完全に失念していた。どれだけ、魔法を当てても、軽いノックバックのみ。ダメージが入っているとは、到底思えない。これが俺の力不足ならば受け入れるしかないが、ギミックでしかダメージを与えられないのなら話は別だ。


 周りを見てみても、何かしら突破口になりそうなものは見当たらない。あるのは泉にちょっとした草花のみ。戦闘用にステージが移った時から、小屋は消えている。こいつが聖域ノ守護者というなら、ここは聖域なんだろう。その聖域を汚したら激昂するとか?理性のなくなったこいつと戦うのは勘弁だな。他の方法を模索しないといけない。逆ならば、どうだろうか。汚したら、激昂。良いことをしたら、和解。


「泉の中、かな。」


 正直、正攻法では勝てる見込みなし。ギミックでの特殊勝利に期待するしかない。泉を調べてみて解決策が何も浮かばなかったら、不本意ではあるが、ルーさんにお伺い立ててみよう。それでもダメなら、全力で争って、トノサマフロッグの手袋がロストしないことに賭けるしかない。大丈夫、俺はその時のために遊び人になった。


 タイミングを見計らい、泉に接近する。接近するだけじゃ、聖域ノ守護者は特に反応を示さない。泉は家庭用プールくらいの大きさ。特に、なんら変哲もない水。緊急事態だってのに、変わらず沸き続ける水には、安心感すら覚える。触ってみるが、これまた変化なし。泉の水は透き通っていて、暗い現状でもそこまで見通せる程度には深くない。泉の中にも特筆すべきものはなし。泉の中に不法投棄された自転車でもあれば、引っこ抜いてやるのに。そしたら、和解ルート行けそうなのにな。


「もしかして!」


 ここが湖でも、沼でもなく、泉なのが鍵となっているならば。泉モチーフと聞いて最初に思い浮かぶのは、イソップ寓話の金の斧。ちょうど、守護者の持っているのも2本の斧。なんとかあいつを泉に落とすことができれば、次の展開に進むこともできるんじゃなかろうか。落として嘘ついたら、斧没収してくれたりしないかな。本当のこと言ったら、持っている斧が金と銀になったりするのだろうか。それはそれで、ドロップが良くなりそうだから、気になりはするが。対象が本人ならば、綺麗な守護者が出てきてくれたって構わない。


 そう考えてみると、守護者は意図的に泉を避けているように見えてきた。推測の域を出ないが、試さずに負けるわけにはいかない。どうせまともにやったって勝てる相手じゃないんだ。


「どうやって落とすか、だよなあ。」


 攻略法を考えている間にも、守護者は攻撃の手を緩めてはくれない。守護者の攻撃を避けることにも集中を割く必要があったのに、泉を注視しすぎてしまったせいで、守護者の体がブレたことに気づくのが一瞬遅れてしまった。


「しまっ


 気づいた時には、守護者は瞬間移動が完了し、すでに攻撃モーションに入っている。これを避ける手立てを、今の俺は持っていない。いや、



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