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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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110/128

ep.108

 

 屋台に向かっていると、屋台付近に待望の人影が。あれは、確実にタコスを待っているよな?周りに魔物もいないようだし、お客さんで間違いない。待たせて、すみません。今行きます!


「なんだ、TeAか。」


「何だとは何よ。どこ行ってたのよ。随分待ったじゃない。」


「ああ、すまない。占い受けてた。」


「え?占い?どこどこ、どこで受けられるの?」


 走って向かうと、待っていたのはTeA。タコス、気に入ってくれたんだな。もしくは、同情か。なんだ、とぞんざいな扱いをしてしまったが、理由はどうあれ常連さんがついてくれるのは嬉しい。空けていた理由を占いと伝えると、妙に乗り気で少し引いてしまった。やはりと言って良いのか、女性は占いが好きなんだな。


「街の路地で見かけて。老婆の姿をしていた。」


「こうしちゃいられない。早くタコス売りなさい。3つずつよ。」


 急かされながら、タコスを作る。もう消えてしまったことは伝えるべきか?でも、一人一回とかなら、TeAの前にはまた現れるかもしれないし。いくら支払ったか、どんな情報がもらえたか、サンプルはいくつあってもいいから、ここは黙っておく。作り置きの分は捌けたので、鍋を出し、一からタコスを完成させる。実は【料理】スキルで、食材があれば一瞬で完成させられるんだが、それでは味気ないし。というか、完全に忘れていた。今後活用する場面も出てくるだろう。


 それぞれソースをかけて、提供する。このロットのは味見していないが、まあ、味は同じだろう。それにしてもタコス屋Gにおける初めてのリピーターさん。しかも縁故でない。何かしら、特典をつけてやりたいが。


「ポイントカードとか、いる?」


「そんなの良いから、早く街中に出店しなさいよ。」


 善意から提案したのに、一蹴されてしまった。そして、全く反論の余地なし。街での出店も昨日までなら可能性あったんだがな。今はちょっと。街でやったら衛兵の巡回多そうだし。あいつら金にならねえし。人が来ないって致命的な欠点を除けば、切った張ったもなく、ここは過ごしやすいんだよな。


「少し事情があってな。足労かけるが、また来てくれ。」


「何よ事情って。」


「話すと長くなる。少なくともイベント期間中はここだ。間に合えば、明日は新メニューも考えているから、また来てくれ。」


 聞いているのか、いないのか。少なくとも気持ちは占いに向いているようだ。占い師の老婆と無事出会えれば良いんだが。居なかったとなると、また小言を言われそうだ。客を確保できて良いかもな。


 TeAと別れて、メニュー表づくりに取り掛かる。と言っても木の板に料金とソースの説明等を書き込むだけだが。


「一瞬で終わってしまった。」


 メニュー作りは一瞬で終わってしまった。もう少し、客を待つ間の暇つぶしになってくれたらよかったんだが。俺に絵心があれば、可愛らしいキャラクターでも書いて、グッズ展開までこじつけるんだが、残念ながら俺に絵の才能は無く。


 次の暇つぶしに取り掛かる。TeAにも話した新メニューの件は、タコス一点集中では客足も伸びないと考えたからだ。立地が悪いのはおいておく。販売は抜きにしても、料理をすることで、ガチャポイントが入ってくる。タコスは鍋が限られていて、常に料理を作り続けられるわけではない。道具を使わず、かつ人に受けそうな食い物を思いついた。


 早速石を集め始める。石を加工する技術も道具もないので、まずはとにかく数を集めていく。せっかく城壁があるので、一辺は城壁を活用させてもらおう。これならば、傷つけるわけでもなし、なんの文句もあるまい。


 集めた石をああでもない、こうでもないと組み合わせてく。場所は屋台の隣、城壁を背面にして組む。なるべく平行になるように。大きいのは移動させられなかったので、なるべく大きいのを選んで置いていく。一定の高さが出たら、天板に使える一枚の平らな石を真ん中に配置し、なるべく隙間ができないように、周りを囲んでいく。そこから、ドーム状には作れないので、四角にそれでいて、対流が起こるように考え配置していく。あちこち隙間はどうしてもできるので、今回空気穴は取り出し口のみ。


「よし。なんちゃってピザ窯になったかな。」


 作っていたのはピザ窯。まあ、石を置いていっただけだが、試してみたいくらいには良い出来。本格的な物を作るとなると、一体どれほどの生産系スキルが必要となるのか。もしかして、耐熱レンガから作らないといけないか?


 ピザの具材はないので、とりあえず、生地だけ仕込んでおこうか。リンゴで作った天然酵母はどうだろうか。インベントリ内にずっと入れていたから、大して育ってないか。ま、これは今後だな。若干クリスピーになってしまうかもしれないけど、それもいいか。タコス屋に客も来ないし、火を結構使うから、また森に行って、木の枝やら確保してこよう。大ぶりのがあれば、ピザを出し入れする棒も作りたい。



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