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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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108/128

ep.106

 

 n/nと別れて、屋台に戻る予定だったが、用事を思い出した。タンクから聞いていた、この街の歴史を確かめたいと思っていたんだった。今することではないかもしれないが、せっかくだし。それにブルーになら気軽に、俺について伝達されている事項について尋ねることができる。まあ、返答がをくれるかはわからんが、試すのは無料だ。


「失礼する。」


「やあ、君かい。君のような人が必要とするものはここにはないよ。」


 ブルーが在席していたので声をかけて資料室内に入ると、ブルーは挨拶もそこそこに随分な事を言ってくる。相変わらず、演劇のような語り口調の優男。一部から人気だろうな。それにしても、強盗か何かと勘違いしていないか?曲折して伝わってはいないだろうか。俺は、魔物避けを壊しただけだ。街の防衛にも貢献した。


「随分な言われようだ。俺のことはどう伝わっているんだ?」


「流石に本人には伝えられないよ。言えるとしたら、要注意人物、とだけ。」


 やはり教えて貰えなかったか。まあ、こればっかりは仕方ない。元の情報の段階でも多少は盛られているだろうし。本人が反論したら、色々ややこしくなるかもしれないしな。こういうのは本人に伝えないのが吉だ。ブルーくらいの立ち位置なら大丈夫かもしれないが、こういうものは末端に行くほど尾鰭がつくもんだ。第2エリアの冒険者ギルドまで行けば、おそらく殺人犯として伝わっていることだろう。せめてタコス屋の部分は脚色なく伝わっているとありがたいんだが。


「おや?旅人の食べ物かい?」


 ものは試しにブルーにタコスを出してみた。やはりと言うべきか、タコスの部分は伝わっていなかったみたい。あの隊長の不真面目なところがこんなところで露見するなんて。次会った時、文句言ってやる。


「昨日忙しかったそうだが、以前にもああいうことがあったと聞いた。その時の資料はここに残っているか?」


 出したものを引っ込めるのもあれなので、タコスはそのままブルーに渡した。それの対価とばかりに、情報を要求する。自分で探すの面倒だからな。金銭の対価に労働力を支払い給へ。


「全くだよ。僕らも駆り出されたんだ。君のせいでね。これは謝罪の証として受け取っておくよ。次はギルド職員全員分のを持ってきた方がいいかもね。君、相当恨まれてるよ?夜道で後ろから刺されても文句言えないくらいに。」


 怖いことを言うブルー。だが、逆の立場なら温厚な俺でも確実に文句の一つや二つ、三つや四つは言いたくなるだろう。ギルド職員は昨日は戦場に駆り出され、今もいつまで続くかわからない事務作業に忙殺されているからな。転職していなければ、命を差し出して恩赦を乞うていたかもしれない。ブルーはそんな俺を横目に続ける。


「そんな昔の資料があるのは、王都の図書館くらいだろうね。少なくともここには無いよ。僕もそういう御伽話は聞いたことあるけどね。」


「御伽話か。実はこれは衛兵に聞いた話なんだ。衛兵の間では伝説的に伝わっている話だそうだ。」


「まあ、僕の知ってるのと出自は一緒だろうね。文書にもなっていない、言い伝えだよ。」


 ブルーはブルーで、忙しそうでその御伽話を話してくれることはなかった。資料室を後にし、メニュー用の木板も買って、屋台に戻ろうと街を歩いて移動していた時、午前中通った細路地に何やら影が。一度は通り過ぎてみたものの、どうにも気になりUターンして路地に入っていく。先ほどのブルーの脅しが、心のどこかにあったのかもしれない。まあ、本当に闇討ちされるとも思わんが、適度に恨みを買っている自覚も無いわけではない。


 路地の中頃、壁沿いにテーブル。テーブルを挟んで椅子が向かい合っており、暗がりではあるが片方に深い青のケープのような物を羽織った老婆が座っているのを確認できる。路地、暗がり、老婆。怪しい匂いがプンプンするが、ここまできたらもう引き返せない。


「占いを、やっていかないかい?」


 どう話しかけて良いものかと逡巡していたら、向こうから話しかけてきた。ほう、占いとな。街占師の類だったのか。それなら、その怪しさ満点の風貌にも頷ける。爽やかで陽キャなやつはスピリチュアルには辿り着かない。全てを人脈で片付けてきそうだし。占いは基本的には信じていない。神だ何だと言うのは個人の自由だが、当たり障りのないことを言って、外れた時の担保もなし。占い師と詐欺師は紙一重だと思っている。現実世界では、占いなんて危ないもの近寄らないようにしているが、せっかくの機会だ。こっちでは存分に占ってもらおうじゃないか。


「占いか。どういった事を占っていただけるのでしょう?」


「未来。」


 老婆から帰ってきたのは端的でわかりやすいものだった。占いで未来か。言われたものに引っ張られそうで、あまり聞きたくないんだよな。てっきり、希望するものに合わせて一定期間ステータスにボーナスがつくとか、そのようなものだと。まあ、ここまできておずおずと引き下がれない。


「ではお願いしようか。」


 テーブルの上に1,000リルをおく。キャッシュを持っておいてよかった。料金体系がわからんが、ジョンのとこのコーヒーと同じくらいの価値が果たしてあるのか。



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