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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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103/126

ep.101

 

「後学のためにお聞きしたいんですが、魔物避けはどうやって修復するんでしょう?」


「部外者には教えられない。」


「そうですか。」


 部外者って。こんなに協力的なのに。旅人には教えられない、じゃなくて、部外者には教えられない、だから、街の防衛に関わることなんだろうな。魔法をかけるのと、解くのが表裏一体的な感じなのかな。そう考えると、簡単に他人に教えられる代物ではないのも納得がいく。教えられたところで、この規模の魔法をそう易々と扱えそうにもないんだが。方法を知るには誓約書なぞ書く必要があるんだろうか。どこかで脱法的に知ることができないかな。郊外に家を構えるならば、必須だと思うんだが。それにも金銭を割く必要があるということか?


「現状復帰は可能なんでしょうか?」


「それも答えられない。」


 官憲はこれだから困る。自分たちはあれこれ聞いてくるのに、何かを聞かれても答えない。任意でしょうと断ると、強制力を振り翳してくる場合もある。死が旅人への絶対的な制裁とはならないにしても、何らかのペナルティがあることは十二分に考えられるし。早くこの世界で信用を得なければまずいな。今回はなんとか躱わせそうだが、今後もこううまくいくとは限らないし。俺の欲望がどこで暴走するかわからないからな。次の転職は神職だな。うん、そうしよう。


「今回の私の取り扱いは?」


 俺の質問にも答えない。隊長も俺ではなく、タンクや時折入ってくる他の衛兵と話すのみで進展がない。思い切ってこちらから聞いてみた。疑わしきは罰せず、の原則だろう?現行犯で捉えられなかった、あなたたちのミスだ。その後もしばらく衛兵内で話し合っていたが、ようやく結論が出たのだろう。正面に座ってある隊長が、こちらを向き直す。


「今回は帰ってもらって構わない。が、嫌疑が完全に晴れたというわけではない。君の所属する冒険者ギルドには通達することになる。君の名前や顔、身なりも共有するから、怪しい行動は控えるように。」


「きっつぅ。」


 正確なところは知らないが、冒険者ギルドって全国的な組織だろ?それに通達するって、流石に厳し過ぎない?何なら、いっそのこと今スパッといってもらった方が後々都合いいのでは?こいつら、確実に俺を黒に見ていやがる。証拠がないから捕まえないだけで、ボロが出たら即刻逮捕に踏み切る常套手段だ。冒険者ギルドへの貸しってもう残ってないよな。こないだカッコつけて無駄にしなきゃよかった。


「何か?」


「いや、流石に厳し過ぎないですか?そこの衛兵さんとも行動を共にしましたが、私にそのような力がないのは伝わったはずですよね。私が魔物避けを破った確証もないのに、まるで犯人みたいに扱うのは、素直に許容できることじゃあない。」


「納得がいかないのならば、神の御前で嘘偽りなく全ての事実を白日の下に晒すことも認められた権利だが?」


「皆さん、昨日から出ずっぱりでお疲れのことでしょう?タコスはいかがですか?」


 言いたいこと言ってやったぞ、と謎の満足感に浸っていたらものすごいカウンターが用意されていた。一歩間違えれば死んでいたな。手前で踏みとどまれてよかった。売り言葉に買い言葉で隊長が俺にそうするように誘導していた気さえしてきた。神の前で事実を述べるということは、ファンタジー仕様の裁判ってところだろうか?そこで、虚偽の発言をしたら一体どうなってしまうんだろうか。神からなんらかの裁きがあるのかな?気になりはするが、当事者なのは勘弁願いたい。どこかで傍聴できないものか。今まで神殿で寝泊まりしていたが、そんな光景は見たことない。滅多にないイベントなんだろうな。こちらの住人なら死の罰も効果があるから、プレイヤー用に作られた制度の可能性もある。


 すげすげと詰所を後にする。タコスは売れなかった。昨日の雨天とは一転し、本日は晴天なり。鬱屈とし狭苦しかった牢屋から、これまた狭く人口密度の高い取調室に移動した後だから、普段と比べ物にならない解放感を感じる。出る時に出所よろしく、詰所に一礼する。昨日の緊急クエストが夜遅くまであったことも影響しているのか、現在の人通りは気持ち少ない。


「さて、ルーは無事だろうか。」


 プレイヤーは東門に集結していたから、街中は難なく移動できたとは思うのだが、マダムんとこの蛇にいじめられていないといいな。一応一晩預かってもらったお礼として、りんごを買っていく。冒険者ギルドの前を通る時、門付近を通る時に何となく視線を感じた。もう情報が回っているんだろうか。何とまあ、手回しのいいこと。それにしても回っている情報に俺のことがどう書かれているか、気になるな。城壁の魔物避けを破壊し、魔物を手引きした可能性あり、とか書かれているんだろうか。A級戦犯じゃねえか。一晩で有名人だ。





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