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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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102/126

ep.100

100話?です。ありがとうございます。

 

 緊急クエストが終わり、タンクに詰所まで案内してもらった。詰所の場所は案外神殿のすぐ近く。クエストがあったせいか、衛兵は全部出払っており、入り口に一人を残したのみだった。タンクは入り口にいた衛兵と2〜3言、言葉を交わし俺を中に連れて入る。詰所は地下の造りになっており、地上にはいくつかの部屋があり、そこを通り地下へと続く階段を降りた。俺は2階の鉄格子の一室に通されたが、階段はさらに下に続いていたため、極悪犯や公にできない何某はそちらで、ということなのだろう。ちなみにルーは街に入った段階で別れている。集合場所はマダムの魔道具屋。薬草類は回収しているから俺の無実が証明されたら、その足で向かう算段だ。


「ここに入れ。」


 タンクは鉄格子の牢屋に俺を入れ、しっかり鍵をかけて続ける。


「日が明けて、隊長が戻ってきたら事情を話してもらう。」


 そう言ってタンクは離れて行った。牢屋は石張りの硬く冷たい地面。雨が降っていた影響もあるのか、湿度も高く鬱屈としている。当然だが、あまり長居したいところではないな。普段神殿に寝泊まりしているので、無料ならばこちらでも、とも思ったんだが、厳しそうだ。一角に薄い敷物が一つあり、トイレなど水回りは設置されていない。こちらの世界の住人は排泄もしないのか。それか、そういう拷問の一種なのか。きつい匂いはしないので、前者か?それともものすごく綺麗に清掃しているか。ああ、魔法で一発だったな。


 他にもいくつか牢屋があるが、俺以外の利用者はいないようだ。ここは留置場的な立ち位置なのかな。寝る以外に俺に何かできることはなさそう。持っている枝を【工作】で加工して試してみてもいいんだが、何らかの別の罪にも問われそうだから、ここはおとなしくしておこう。普通に考えて魔法世界の錠前が物理で開くわけないし。


 初めてと言ってもいい連戦で気付かぬうちに疲労が溜まっていたのか、いつもより硬い寝床でも、一瞬で眠りに就いていた。


『緊急クエスト:アインスの街を防衛せよ。に参加した皆様に、戦闘履歴に応じたアイテムとイベントポイントを付与します。』

 [プレイヤー:GAKUに称号【侵攻の立役者】とスキルポイントを付与します。]


 ログインすると、アナウンスが。目を開けた時の景色は変わっていない、がどういうわけかHPMPも回復していない。詰所ならではの仕様なのかもしれない。宿屋はステータスボーナス有り、神殿と屋外はボーナスなし、詰所は回復しない、的な。俺はまだ被疑者の段階だろ?少し厳しい気もする。


「なんだ【侵攻の立役者】って。」


 こんなもん【隠蔽】一択だ。詰所に入れられて、【侵攻の立役者】なんて称号持ってたら、もうそいつが犯人だろ。これ、防衛で頑張ってたらもらえる称号が【防衛の立役者】とかになるのかな。それならせめて、【防衛の立役者】も俺だろ。魔物避けが壊れなければ起こってなかったんだろ?じゃあ、俺が一番防衛に貢献してるじゃないか。


 日が入ってこないから、今外がどうなっているかわからないが、おそらく日の出は過ぎている頃だと思う。タンクの弁では、隊長が戻って来次第事情聴取が始まるとのこと。タンクは同席してくれるんだろうか。おそらく、何らかの形で参加してくれるはずだが、土魔法しか使っていなかったことを強めに発信してくれれば助かる。


「おい。GAKUと言ったか。話を聞かせてもらう。」


 どうにか穏便にすまないかと思考を巡らせていた時に、声がかかった。昨日も対面した隊長さん。遅くまで仕事をしていただろうに、目には覇気が宿ったままだ。その隊長さんが、鉄格子を挟んで反対側に立っている。後ろにはタンクと、あと一人。その二人に連行されるような形で隊長に着いて行き、階段を上がる。通されたのは1階の1室。取り調べ室と行ったところか。テーブルに椅子。刑事物でよくみる配置。これが理に適っているんだろうな。カツ丼は出ませんか?


「それで。一晩経ってはしまったが、昨日はあそこで何をしていたんだ?」


 席に着くや否や隊長が質問を繰り出してきた。こっちはまだ、状況を判断しているところだというのに。そちらにとっては見慣れた風景かも知らんが、俺にとっては人生で初めてなんだぞ。もう少しゆっくり観察させて欲しいものだ。せっかちなやつめ。休んでないから、気が急いているんじゃないか?


「昨日も言った通り、私はタコスを売っていただけです。それは、そこにいるタ、衛兵さんも知っての通りです。」


 そういうと隊長は椅子に座ったままタンクの方を振り返り、何やら話している。流石にタコスを売っていたことに偽りはない。タンクといた時も半分はタコス売りに徹していた。


「それではあの辺りで、我々が到着する前、何か変わった様子は?」


「変わった様子も特にはなかったと思います。」

「あ、でも何か妙な感じがした気がします。」


「妙、とは?」


「それもよくわからないんですけど、昨日リクガメが退却した時に、同じような感じがしました。」


「リクガメが?」


 そういうと、また後ろのタンクとコソコソ話を。タンク。結構偉いやつだったのか?俺に付かせられるくらいだから、下っ端とばかり。でもこの感じ隊長の右腕みたいな風格がある。





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