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無能扱いで追放したら、勇者パーティが半年で崩壊しました 〜装備も補給も撤退判断も全部俺がやってたと気づいても、もう遅い〜  作者: 芋平


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105/113

第105話 拡張と歪み

 変化は、

 想像よりも早かった。


---


 空き地の市場。


---


 一週間で。


---


 十店舗。


---


 二週間で。


---


 二十店舗。


---


 三週間で。


---


 数えきれなくなった。


---


「……増えすぎだろ」


---


 カイルが

 呟く。


---


「予想以上です」


---


 リーネも

 少しだけ眉をひそめる。


---


 人は。


---


 “やっていい”と分かると。


---


 一気に動く。


---


 それは

 良いことだ。


---


 だが。


---


「場所が足りません」


---


 担当官が言う。


---


 空き地は

 もう埋まっていた。


---


 テント。


 屋台。


 即席の店。


---


 ぎゅうぎゅうだ。


---


「じゃあ広げるか」


---


 カイルが軽く言う。


---


「どこに?」


---


「隣の区画」


---


「そこはまだ

 未承認です」


---


「じゃあ承認すればいい」


---


「手続きが――」


---


「省略できるだろ?」


---


 担当官が

 言葉に詰まる。


---


 制度上は可能。


---


 だが。


---


 不安がある。


---


「……やりますか」


---


 担当官は

 小さく言う。


---


 決断だった。


---


 その日から。


---


 市場はさらに広がった。


---


 人が増える。


 店が増える。


 売上も増える。


---


 街の空気が変わる。


---


「いい感じだな」


---


 カイルが笑う。


---


 リーネは

 黙って見ていた。


---


 数値も上がっている。


---


 だが。


---


「……早すぎる」


---


 小さく呟く。


---


 その時。


---


「ちょっといいか!」


---


 怒鳴り声。


---


 振り向く。


---


 警備担当者だった。


---


「人が多すぎる!」


---


「通路が塞がってる!」


---


「危険だ!」


---


 ざわめき。


---


 さらに。


---


「苦情が来てるぞ!」


---


 別の担当官が走ってくる。


---


「騒音!」


「ゴミ!」


「無許可営業!」


---


 一気に。


---


 問題が噴き出した。


---


 カイルが

 顔をしかめる。


---


「出たな」


---


「こういうの」


---


 担当官が

 慌てて言う。


---


「どうしますか!?」


---


 リーネは

 周囲を見る。


---


 混雑。


 混乱。


 不満。


---


 成功は。


---


 制御されていない。


---


「……止めます」


---


 静かな声。


---


 全員が

 止まる。


---


「え?」


---


「一部停止です」


---


「エリア制限」


---


「人数制限」


---


「時間制限」


---


 矢継ぎ早に指示。


---


 担当官たちが

 動き出す。


---


 だが。


---


「なんでだよ!」


---


 店主が声を上げる。


---


「せっかく回ってるのに!」


---


「売れてるのに!」


---


 不満が

 一気に噴き出す。


---


 カイルが

 リーネを見る。


---


「どうする?」


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「止めないと」


---


「崩れます」


---


 短い言葉。


---


 だが。


---


 正しかった。


---


 制度は。


---


 拡大すればいいわけではない。


---


 **制御できなければ壊れる。**


---


 カイルが

 小さく息を吐く。


---


「難しいな」


---


「ええ」


---


 リーネは

 うなずく。


---


「これが」


---


「制度です」


---


 成功。


---


 だが。


---


 同時に。


---


 歪みが生まれた。


---


 そして。


---


 その歪みは。


---


 まだ、

 序章に過ぎなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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