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無能扱いで追放された俺、実はパーティが崩壊しないよう全部やってただけでした  〜戻ってこいと言われても、もう遅い〜  作者: 芋平


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102/113

第102話 制度と現実のズレ

 翌日。


---


 ヴァルト市役所の一室は、

 珍しく騒がしかった。


---


「承認済みです」


---


 担当官が言う。


---


「早っ!」


---


 カイルが即座に反応する。


---


「昨日決めて今日通るのかよ」


---


「挑戦枠ですから」


---


 担当官も

 まだ少し戸惑っている。


---


 だが。


---


 確かに通った。


---


 前例がない。


 だからこそ。


---


 止める理由もなかった。


---


「じゃあ」


---


 カイルが

 手を叩く。


---


「やるか」


---


 最初の挑戦。


---


 **空き地を使った小規模事業実験。**


---


 内容はシンプル。


---


 空き地に

 仮設店舗を作る。


---


 短期出店。


 低コスト。


 撤退自由。


---


 つまり。


---


 **失敗しても被害が少ない構造。**


---


「いい設計ですね」


---


 担当官が

 少し感心する。


---


「失敗前提なら」


---


「損失は限定できる」


---


「成功すれば

 拡張できる」


---


 リーネは

 うなずく。


---


「小さく試す」


---


「基本です」


---


 カイルが

 笑う。


---


「で」


---


「誰がやるの?」


---


 沈黙。


---


 全員が

 目をそらす。


---


「……いや」


---


「そこ?」


---


 カイルが

 ツッコむ。


---


 制度はできた。


---


 だが。


---


 **やる人がいない。**


---


「応募は?」


---


 リーネが聞く。


---


「……ゼロです」


---


 担当官が

 小さく答える。


---


 カイルが

 天井を見る。


---


「まあそうなるわな」


---


 制度があっても。


---


 人はすぐには変わらない。


---


「理由は?」


---


「リスクです」


---


「評価が下がらないとはいえ」


---


「利益も保証されない」


---


 合理的な判断。


---


 完全に合理的だ。


---


 カイルが

 肩をすくめる。


---


「じゃあ俺やる?」


---


 全員が

 固まる。


---


「え?」


---


「いや」


---


「誰もやらないなら

 やるしかないだろ」


---


 軽い口調。


---


 だが。


---


 本気だった。


---


 リーネは

 少しだけ考える。


---


「いいと思います」


---


 担当官が

 驚く。


---


「え、本当に?」


---


「実証ですから」


---


「まず一例」


---


 カイルが

 笑う。


---


「よし決まり」


---


「何やる?」


---


 リーネは

 少しだけ

 考える。


---


 そして。


---


「飲食」


---


「短期回転型」


---


 カイルが

 ニヤッとする。


---


「いいね」


---


「一番分かりやすい」


---


 数時間後。


---


 空き地。


---


 仮設テント。


---


 簡易厨房。


---


 即席の店。


---


 準備は

 あっという間だった。


---


「……本当に

 やるんですね」


---


 担当官が

 呆然とする。


---


「やるよ」


---


 カイルが

 軽く言う。


---


「どうせなら」


---


「売るぞ」


---


 看板を出す。


---


 手書き。


---


 雑。


---


 だが。


---


 妙に目立つ。


---


「おい」


---


 カイルが

 リーネを見る。


---


「値段どうする?」


---


「安く」


---


「どれくらい?」


---


「とにかく

 試せる価格」


---


 カイルが

 笑う。


---


「雑だなあ」


---


「いいけど」


---


 開店。


---


 最初は。


---


 誰も来ない。


---


 当然だ。


---


 前例がない。


---


 怪しい。


---


 安全か分からない。


---


 だが。


---


 一人。


---


 二人。


---


 近づいてくる。


---


「これ」


---


「本当に

 買っていいんですか?」


---


 カイルが

 即答する。


---


「いいよ」


---


「失敗しても

 怒られないから」


---


 その一言で。


---


 空気が変わる。


---


 人が増える。


---


 少しずつ。


---


 だが確実に。


---


 担当官が

 呆然とする。


---


「……動いてる」


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「ええ」


---


「小さく」


---


「でも確実に」


---


 制度は。


---


 まだ完成していない。


---


 だが。


---


 現実が

 動き始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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