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無能扱いで追放された俺、実はパーティが崩壊しないよう全部やってただけでした  〜戻ってこいと言われても、もう遅い〜  作者: 芋平


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101/113

第101話 誰も挑戦しない街

 ヴァルト市役所。


---


 リーネたちは、

 再び会議室にいた。


---


「では」


---


 リーネが言う。


---


「空き地の一部を

 使います」


---


「新規事業の

 試験導入です」


---


 担当官たちが

 顔を見合わせる。


---


 そして。


---


 一人が手を挙げた。


---


「前例がありません」


---


 カイルが

 すぐに反応する。


---


「そりゃそうだろ」


---


「挑戦枠だぞ」


---


 担当官は

 真顔で言う。


---


「前例がないため」


---


「承認できません」


---


 沈黙。


---


 カイルが

 ゆっくり振り向く。


---


「……いや」


---


「そのための制度だろ?」


---


「制度上は可能です」


---


 別の担当官が言う。


---


「ですが」


---


「運用実績がありません」


---


 カイルが

 天井を見る。


---


「出たよ」


---


「“できるけどやらない”やつ」


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「承認フローは?」


---


 担当官が

 資料を出す。


---


 分厚い。


---


 カイルが

 思わず声を出す。


---


「厚っ!」


---


「これ全部やるの?」


---


「はい」


---


「順番に承認を

 取ります」


---


 ページをめくる。


---


 部局承認。


 予算承認。


 安全審査。


 地域合意。


 最終承認。


---


「期間は?」


---


「最短で

 三ヶ月です」


---


 沈黙。


---


 カイルが

 ゆっくり言う。


---


「一年以内に成果だよな?」


---


「はい」


---


「三ヶ月

 承認待ち?」


---


「はい」


---


 カイルは

 顔を覆った。


---


「終わってるわ」


---


 担当官が

 少しムッとする。


---


「必要な手続きです」


---


「安全のため」


---


「責任のため」


---


 リーネは

 静かに聞いていた。


---


 そして。


---


「このフローは」


---


「通常評価前提ですか?」


---


 担当官が

 うなずく。


---


「はい」


---


「失敗時の責任があるため」


---


 リーネは

 資料を閉じた。


---


「では」


---


「挑戦枠用に

 簡略化します」


---


 全員が

 止まる。


---


「……え?」


---


「制度上」


---


「挑戦枠は

 通常評価外です」


---


「つまり」


---


「同じ承認は

 不要です」


---


 担当官たちが

 ざわつく。


---


「そんなことは」


---


「前例がありません」


---


「今作ります」


---


 即答だった。


---


 カイルが

 吹き出す。


---


「いいねえ」


---


「それそれ」


---


 担当官が

 戸惑う。


---


「ですが」


---


「責任は」


---


「制度が持ちます」


---


 リーネは

 はっきり言う。


---


「挑戦枠は

 国家政策です」


---


「個人責任ではありません」


---


 沈黙。


---


 担当官たちは

 言葉を失う。


---


 今まで。


---


 すべては

 個人責任だった。


---


 だから。


---


 誰も動かなかった。


---


 リーネは

 続ける。


---


「必要なのは三つです」


---


 指を立てる。


---


「目的」


「期間」


「上限」


---


「それだけで

 承認します」


---


 カイルが

 笑う。


---


「一気に軽くなったな」


---


「本来は

 これでいい」


---


 リーネは言う。


---


 担当官が

 ゆっくり座る。


---


 頭を抱える。


---


「……こんな簡単で

 いいのか」


---


「いいんです」


---


「挑戦だから」


---


 短い言葉。


---


 だが。


---


 この街では

 革命だった。


---


 カイルが

 立ち上がる。


---


「よし」


---


「じゃあやろうぜ」


---


「最初の一個」


---


 担当官たちが

 顔を上げる。


---


 誰も動かなかった街。


---


 だが。


---


 今。


---


 初めて。


---


 “動く準備”が整った。


---


 リーネは

 静かに言う。


---


「ここからです」


---


 制度はまだ

 証明されていない。


---


 だが。


---


 確実に。


---


 一歩、前に進んだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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