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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
5 掌から零れ往く・・・。
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預言は果たされた

というのも、《ニタヴェリール》第一王朝はこの世界における最古の王朝であり、彼らの農耕や工業などの発明は、後世何千年に渡り繁栄をもたらした。

祖先の祖先、そのまた祖先。

王朝を築いたのはそんな、原初の祖先。

そんな古い王朝が繁栄した時代のモノで、ましてや自らの地元のモノで、そんな《預言書》のようなものは見た事はもちろん、聞いた事もない。


「まさかな・・・」

「そのまさかですよ。貴女は信じないでしょうがそれは正真正銘《預言書》です」


まさか。

そんなことがあるわけがない。

そんなことがあっていいわけがない。


「これが現実ですよ・・・。貴女はこうして全てを知ったんですから。

それでも信じられはしないですよね?で、あれば・・・、ココ」


そう言ってソイツは《預言書》の一節を指を差して示した。


「『叛逆(はんぎゃく)起き、長は帝(みかど)と為る』」


「近いうちに貴女の敵・・・《ムスビ》の首長が権力を欲しいままにしますね。

ソイツは、貴女の大切なモノを奪ったんですよね?」


「・・・ああ」

いつぞやの怒りが時を越えてやって来る。

忘れ掛けていた、今の自分の原点。


「なればこそ、今度は貴女が奪うんですよ。

・・・アイツの命を以て、奴の大切なモノを」


腹立たしい。憤怒。激昂。・・・今この世界に存在するいかなる言葉を以てしても形容し切れない《無際限の怒り》が、彼女に底知れない、得体の知れない、はたまた彼女の知らない、自分史上感じたことのない程の《どす黒い感情》が芽生え、根を張り、そうして一気にその感情は大樹へと昇華した。


「・・・そうだ奴だ、奴が奪ったんだ・・・!」


アイツが、《ムスビ》が、ハルトを奪ったんだ・・・!!


「私が・・・奪う・・・ッッ!!!!」


「今の貴女は全知全能、何だって出来るでしょう?・・・ならば行きなさい。

貴女の愛したモノを奪った奴らを、根絶やしにするのですッ!!!!!!」


そうして璃瑠は、《ムスビ》を壊滅させようとこの《ミドガルド》を飛び出した。

その左手には、《台本》を携えて。




「・・・ふう」

カフェテリアを出て、男は歩き出す。

「このままでは駄目だ・・・」

目指すは見張らしのいい丘の上。

「このままではハルトが・・・」

その上にある、雨浦町長の邸宅。



「君は生き残らなければならないんだ・・・。

次に来たる者たちの為に・・・。

せめて、君の***だけは・・・・・・」

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