預言は果たされた
というのも、《ニタヴェリール》第一王朝はこの世界における最古の王朝であり、彼らの農耕や工業などの発明は、後世何千年に渡り繁栄をもたらした。
祖先の祖先、そのまた祖先。
王朝を築いたのはそんな、原初の祖先。
そんな古い王朝が繁栄した時代のモノで、ましてや自らの地元のモノで、そんな《預言書》のようなものは見た事はもちろん、聞いた事もない。
「まさかな・・・」
「そのまさかですよ。貴女は信じないでしょうがそれは正真正銘《預言書》です」
まさか。
そんなことがあるわけがない。
そんなことがあっていいわけがない。
「これが現実ですよ・・・。貴女はこうして全てを知ったんですから。
それでも信じられはしないですよね?で、あれば・・・、ココ」
そう言ってソイツは《預言書》の一節を指を差して示した。
「『叛逆起き、長は帝と為る』」
「近いうちに貴女の敵・・・《ムスビ》の首長が権力を欲しいままにしますね。
ソイツは、貴女の大切なモノを奪ったんですよね?」
「・・・ああ」
いつぞやの怒りが時を越えてやって来る。
忘れ掛けていた、今の自分の原点。
「なればこそ、今度は貴女が奪うんですよ。
・・・アイツの命を以て、奴の大切なモノを」
腹立たしい。憤怒。激昂。・・・今この世界に存在するいかなる言葉を以てしても形容し切れない《無際限の怒り》が、彼女に底知れない、得体の知れない、はたまた彼女の知らない、自分史上感じたことのない程の《どす黒い感情》が芽生え、根を張り、そうして一気にその感情は大樹へと昇華した。
「・・・そうだ奴だ、奴が奪ったんだ・・・!」
アイツが、《ムスビ》が、ハルトを奪ったんだ・・・!!
「私が・・・奪う・・・ッッ!!!!」
「今の貴女は全知全能、何だって出来るでしょう?・・・ならば行きなさい。
貴女の愛したモノを奪った奴らを、根絶やしにするのですッ!!!!!!」
そうして璃瑠は、《ムスビ》を壊滅させようとこの《ミドガルド》を飛び出した。
その左手には、《台本》を携えて。
「・・・ふう」
カフェテリアを出て、男は歩き出す。
「このままでは駄目だ・・・」
目指すは見張らしのいい丘の上。
「このままではハルトが・・・」
その上にある、雨浦町長の邸宅。
「君は生き残らなければならないんだ・・・。
次に来たる者たちの為に・・・。
せめて、君の***だけは・・・・・・」




