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王の友  作者: ARIKA
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第4節

白銀の兵士は力なき体に無理やり力を込めると、地面を舐める様に兵士に近付いた。その動きは匍匐前進にも似ていた。成人男性なら大股の一歩で行ける距離を、白銀の兵士はゆっくりと時間をかけて進む。

仰向けに倒れた兵士の傍らに立つと、糸の切れた人形の様に体が沈んだ。傍から見るとお辞儀をしているように見えた、それほどゆっくりと頭が下がっていた。

頭を下げすぎてバランスを崩し、倒れそうになる。しかし、済んでの所で体中に電気が走り。背筋をぴんと伸ばした、白銀の兵士は無意識のうちに行動していたのか。状況が理解できずに周りを見渡すと、最後に視線が下を向いた。すると獲物をみつけた様に視線が止まり、歩き出すために足を上げた。しかし、歩くにしては足を高く上げすぎていた。膝を抱え込めるほど上げられた足は、勢いよく振り降ろされ。その姿はハンマーを振り降ろす姿を連想させた。次の瞬間鉄同士がぶつかる鈍い音が響き、声にもならない悲鳴が木霊した。

白銀の兵士の足を振り降ろした先には、先ほどの倒れていた兵士の腕があった。

再び踏み下ろすために足を上げると、兵士の肘の所が異常に薄くなっていた。先ほどの一撃で骨は砕け、筋肉は裂け血管は破裂したせいだった。想像絶する痛みだったろう。兵士はその場で痛みに悶えていた、痛みを誤魔化す為に。体をよじったり、転がりまわろうとしていたが。無慈悲にも振り降ろされた足に、兵士は地面に張り付けられた。この時兵士の運命は決まってしまった。両腕を失い体の自由を奪われ、抗うことが出来ずに死んで逝く運命が。

唯一の幸運は、一瞬でも白銀の兵士に隙を作る時間を与えた事だ。

白銀の兵士はそのまま馬乗りになり、倒れている兵士の喉に木の杭を打ち付けた。鮮血と共に杭が兵士の喉を貫き、地面に刺さった。白銀の兵士は立ち上がると、杭を何度も踏みつけた。杭は段々と地面に飲み込まれ、兵士の命を完全に奪った。

それはちょっとした違和感だったのか、それともたまたまの偶然だったのか。白銀の兵士は、安堵のため息をつきながら後ろを振り返った。彼の目の前には、両腕で槍を構えた兵士の槍先が、こちらの方に向こうとしていた。彼は反射的に左手に握っていた、折れた槍を兵士の肩目掛けて振り降ろした。その槍は先ほど折られた槍の1本だった、先端はささくれてとげ状になっていて。十分な殺傷能力を備えていた。

「えっ」

突然の事で兵士の口からは、間の抜けた声が漏れた。それと同時に肩に激痛がはしった、さびたブリキ人形の様なぎこちない動きで自分の肩を見た。

思わず目をそむけそうになる光景が広がっていた、なぜか自分の右肩の肩口に木の棒が突き刺さっていた。困惑・疑問・痛み、様々な思考が廻るが答えを導く時間はなかった。

白銀の兵士は左手に握った槍を軸に、上半身を捻りながら振り向き。

先ほど拾い上げていたこぶし大の石を、回転の反動を利用して兵士のこめかみを殴りつけた。兵士は殴られた衝撃で脳震盪をおこして、膝がわらって口が半開きになった。その口に容赦なく石を押し込み、膝を軽く曲げると兵士の死角に入りこんだ。掌を突き出す様にして指の第2関節を曲ると、膝のバネと全身の力を使って下から顎目掛けて掌底を打ち込んだ。

顎を持ち上げる様に撃ち込まれた掌底は、兵士の口を無理やり閉じさせて。口の中の石を強制的に食べさせた、当然石をかみ砕くことは出来ず。口元からは粘液状の赤い液が流れだし、口の隙間から折れて不揃いになった歯が落ちていった。顎は口の中の石のせいで、下からの衝撃を殺すことが出来ずに上下から力が加わり。顎は完全に砕けて、兵士はひざから崩れると意識を完全に失った。

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