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王の友  作者: ARIKA
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第4節

城壁の部隊と別れ階段を降りた部隊は足音を立てずに、しかし急ぎ足で降りていった、石造りの階段は布を履いた靴でも音を完全に消すことは出来なかった。

階段を降り切ると、道は左右に分かれていた、階段の影に身を隠しながら彼は中の様子を窺っていると、周りに反響してくる足音が聞こえてきた。距離は分らないが確実に大きくなってくる音に、彼らはもう一度階段の影に隠れた、自らの息遣いを隠すために、口に巻いていた布を再び口に咥えた、布は少し湿っていて水分が口の中に入ってきた、緊張で無意識のうちに水分を飲み込んだ。

神経が研ぎ澄まされているためか、飲み込む音ですら、周りに聞こえているのではないかと思ってしまった。

音が近付き、そして再び遠ざかって行った、彼らは階段の影から出ると、部隊を再び2つに分けて、左右に進んで行った。

彼は足音が遠ざかった方に静かに向かっていった、体を前かがみにしながら、右手には短剣を握っていた。聞こえてくる足音に合わせて、同じリズムで歩き出した、しかしわざと歩幅を大きくして、確実に前の足音の主との距離を縮めていった。

1つ、2つと角を曲がると、前を歩いている兵士の後ろ姿を捉えることが出来た。

彼は短剣の柄を強く握り左手を前に突き出す格好をすると、そのまま後ろから近づき、歩幅と歩くリズムを変えて一気に背中に手が届く距離に近付いた、そのまま左手で相手の口を塞ぐと、右手に持った短剣を喉に突き刺した。

初めは口を塞がれたことに、後ろを確認しようと首を動かそうとしたが、そのまま抑え込んで短剣を刺すと、痛みで手足をバタつかせた、まるで海で溺れて空気を求めて暴れるように。

彼は相手が動かなくなるまで動きを封じていた、何度も離しそうになったが、相手を壁にぶつけ押し付けて体重をかける事で最後まで抑え込めた。

敵兵を壁から離すと、額には石の壁の跡とぶつけたせいで血も流れていた。

彼は血の付いた短剣の刃を兵士の服で拭うと、兵士を近くの部屋に押し込むと再び司令官の部屋を探すために進み始めた。

その時丁度大きな歓声が砦を包んだ、その声は歓声と恐怖、怒号さまざまな感情が混ざっていた。

アーサーは本陣のある丘の上で砦を見下ろしていた、正面で燃えていた炎を勢いが収まり、煙が晴れてくると城壁の上には鎧を着ていない兵達が立っていた、そして門は開き兵達が雪崩れ込んでいた、中と外両方からの攻撃に兵達は投降し、歓声が聞こえて来ると司令官も降伏してきた、こうして数か月は掛かると言われていた砦を、一日で陥落させた、その代わりに砦は黒い煤と赤い血によって染められた。

夜が明けると被害状況が報告されてきた、アーサー達は砦には入らず野営地で一夜を過ごした。

「今回の戦いでは死者350、負傷者800、その内戦線復帰が可能なのは500ほどです。敵兵は。」

ベディヴィアは一度言葉を濁し、俯いたが覚悟を決めて顔を上げると真剣な顔で。

「確認できた砦の兵は800、死者500、負傷者200弓矢での死者は200未満、怪我のため動けなかった者が、煙を吸う事による呼吸困難でなくなったかと思われます。」

分っていたことだが、改めて声に出すとその重さが一段と心に重くのしかかった、アーサーはその報告を聞いてい間唇を噛み締めていた、手のひらは強く握ったため爪が刺さり、血が流れ地面に水滴として落ちていっていた。

その痛々しい姿に、彼は主に対して何も言うことが出来なかった、ふと彼奴が生きていれば、この場を和ませてくれるはずなのにと、早くに亡くなった戦友の事が頭をよぎった。

「やはり、荷台と油の買い占めは、結構な金額になってしまいました。私が言い出したことでしたが、やはり高い買い物になってしまいました。」

ベディヴィアは場を和ませるためと、自分にも責任はあると2つの意味を込めて、皮肉を込めながら話していた。

「戦線復帰不可能な兵は砦に置いていく、兵も300残して先に進むぞ。ここさえ超えれば、王都まで遮るものはない。」

「主よ。こんな状況下ですが2~3日休養を取った方がよろしいかと、このままだと体より心が疲弊します。」

「確かに、思う所があるが。今は1日も無駄にはできない、各地の部隊が発起して、将軍の軍隊が戦線を拡大している今しかない。縮小されて、再編成されると少数の我らはすぐに壊滅させられる。我らが将軍を討てば、各地で流れている血も涙も減らすことが出来る。隣国に隙を与えないためにも、すぐに出発する。」

「そのことですが、私の部下が報告をしてきました。将軍も早期決着を目指している様で、この砦に自ら部隊を率いて援軍に来る用意をしていたみたいです。司令官の部屋にもそれを証明する手紙がありました。内容は1か月耐えてくれれば、軍を編兵して救援に駆けつけると。そのような内容でした、将軍の印も押してあったため、偽物の可能性は低いかと。」

「主よ。ならば砦陥落の知らせで、方針を変えて野戦で決着の可能性も出てきました。この報が各地に回れば、将軍が不利になるのは必定、今だ中立を宣言している者や、早期に将軍に下った者も分が悪いと思えばこちら側につくかと。」

「少しでも不利になると反旗を翻す者は、信は置けません。私たちが勝ち続ける限りは、味方する者は増え続けますが。」

「負けた時は、堰を切る様に将軍の方に寝返るか。」

一瞬の沈黙の後、アーサーが重い口を開いた。

「ならば行くとこまで行かないと、最初からわかっていた道だ。今更後悔はない。」

2人はアーサーの言葉に深くうなずいた。

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