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王の友  作者: ARIKA
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第4節

丘の上に2本目の旗が揚がると、本隊の5部隊を前線に投入した。

前線に着くと、1部隊が牛車ほどの大きさの荷車を5人で押していた、引いて走るのではなく、後ろから荷車の影に隠れながら押していた。

荷車には人が容易に隠れれるほどの物が積んであり、その上から布をかぶせて中身を見えないようにしていた。

その数20台あまりだった、小走り程度の速さで進んでいたため、見た目以上に積載物は軽いようだった。

城兵は敵の行動が変わったため矢を射る手を休めて、隊長の顔色をうかがいながら、次の指示を待った。

「何をしている。すぐに攻撃を再開しろ、矢を先ほどより高く射って敵の頭上から攻撃しろ。」

右腕を斜め上に挙げて、高くに撃ち込めと指示を出しながら、1人の伝令に司令官に指示を仰ぐ用件を伝えた。

何が起きる、荷車を壁にして強行するのか。いや、もしかしたら水掘りに落として、道を作るのか。

どちらも現実的ではない、守備隊長が左手を口元に当てながら考えていると、敵部隊に矢の雨が降り注いだ。

その光景を見ながら、相手の思惑を考えていると荷台に刺さる矢に違和感を感じた、目を細めながら近づいてくる荷台を見ると、その違和感に気が付いた。

荷台は積んでいる物の量に対して、進むのが早すぎた、そして何より積んでいる物に矢が深く刺さっていた。

矢じりだけではなく、棒状のシャフトが完全に埋まり、矢羽であるヴェインが微かに見える程度だった。

中には非常に軽く、膨らんでいる物が入っている事になる、最初は人が入っている可能性を疑っていたが、今ある状況で可能性は限りなく低くなった。

隊長はさらに頭を悩ましていた、相手の司令官はあのアーサーだ、どんな奇策や奇襲を仕掛けてきてもおかしくない。

しかし、朝からの攻撃はただの消耗戦で部隊の動きは悪くはなかったが、平凡的な攻撃だった。

今までの攻撃を振り返っていると、何か違和感があった。口元の手が離れるにつれて、眉間に皺がより口が段々と開いてきた。

いや何かが引っ掛かる、戦場を再び見渡すと砦の近くには敵兵が捨てていった、木製の盾と自分たちが撃ち込んだ、大量の矢が落ちていた。

そういえば最近雨は降ってなく、比較的に乾燥している、まさか奴らは。

隊長が1つの決断に至った時、すでに敵部隊はその場所に到着していた。

荷車を押していた部隊は荷車をその場に止めると、そのまま後退していった、そして後方の部隊は火矢の準備が出来ていた。

指揮官らしい兵が命令を下すと、荷台に向かって火矢を打ち込んで行った。

矢が刺さると勢いよく燃えていった、その布が燃えるとその下からは、大量の藁が顔を出していた、その中には大量の油を仕込んでいたため、炎は勢いよく燃え上がった。

そして、炎は落ちている盾や矢をマキ代わりにして、さらに大きくしていった。

火柱は城壁の半分まで達していた、そして何よりその煙が風に乗って、砦の方に流れていった。

城壁の兵は熱風と、黒煙で暑さ、息苦しさ、視界不良に陥っていた。

日が落ちたはずなのに、砦の正面がいきなり明るくなった、何事かと正面とは反対側に居た城兵も様子を見るために、正面に回っていた。

城兵は上着で口元を覆う者や、目を瞑りその場で体を丸めて、防ごうとする者がいた。

隊長は全身を鎧で覆っていたため、鎧の中はサウナ状態になっていた、朝からの疲労とあまりの熱さに、意識を失って前のめりに倒れてしまった。

視界が悪く息苦しい中、指揮官も倒れてしまったために、城兵は混乱に陥って攻撃の手は完全に止まり、砦の中の部隊も正面に意識を集中していた。

煙を合図に攻撃に参加させずに、大きく迂回させて砦後方に隠していた部隊が、砦の裏から静かに城壁に近付いていった。

その兵は300ほどで、鎧は一切着ておらず、靴底には布をかぶせて、口には布を噛んでいた、少しでも音を出さないようにして隠れていた、武器も腰に付けていた、1本の短剣しかもっていなかった。

暗闇に乗じて近付き、堀を泳ぎ梯子をかけて上っていった、一連の動きで出る音は城兵の悲鳴に紛れ込ませていた。

これこそが、アーサーの策であり、多くの偶然を含む、ある意味机上の空論だった、ベディヴィアが失笑したのも理解が出来た。


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