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王の友  作者: ARIKA
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第4節

アーサー達はガイド卿が通ってきた道を、そのまま逆に進軍をしていった。

平地が多く行軍自体大変ではなかった、道沿いにいくつかの町や村がありそこで物資の補給をしながら進んで行った。

民達はアーサーに対して好感的で、みずから軍に志願する者さえもいた、アーサーはそこまで好意的で、志願者が出るまでと思っていなかった。

そのため驚きが隠せなかった、しかし、これには理由があった。

先日ベディヴィアが送り込んだ兵達が、敗残兵としてある噂を流したためであった。

「アーサー軍は強くまたもや、数倍の敵を打ち破り司令官まで討ち取った。しかも捕虜には寛大で、先ほどまで戦っていた者の治療をして。最低限の食料と金を持たせて、解放してくれた。」

「それに比べて将軍の方は、司令官は戦死して、その責任の擦り合いをして。部下に責任を取らせたらしい。」

「自分の仲間の話だが、戦死した仲間には金も払わず。捕虜だと家族に伝えて、金を渋ってるって話だぜ。」

などと真実に嘘を混ぜながら、話を大きくして各町で、特に商人にこの話を聞かせていった。

商人たちの情報網は広く、町から町へ伝わり、そこから商人から町民に伝わり。

噂は大きく広まっていた、内容は誇張であっても虚構ではなかった、だからこそ民も真実味を持って受け止めていた。

そのため、アーサーの軍は最初の倍の3000までに膨れ上がっていた、その軍の行く手を防ぐように、1つの砦がアーサーの前に立ち塞がった。

それはエイヤード砦と比べ物にならないほどで、大きさ自体2倍ほどあり約6メートルの石の壁で囲まれて、その壁に沿ようにして堀がほってあり、堀の深さは2~3メート、幅は5メートル、そして水が流れていた。

その壁の高さには圧倒されて、水堀に囲まれた砦はまるで水の上に建っているかのようだった。

砦ではなく要塞といっても過言ではなかった、ここを無視すると後方の連絡を絶たれる可能性があった。

逆に相手を孤立させる事も可能だったが、将軍とアーサーでは決定的に兵力の差は酷く、兵力を残すことも出来ずに兵力分散の愚策に繋がる。

それを理解していたからこそ、この砦はなんとしても短期間で落とさないといけなかった。

しかし、攻城戦では相手の数倍の兵力をようして、自軍にも大きな被害が出る

強攻か包囲しかなかった。

しかし、包囲は時間が掛かるうえに、自軍の物資調達などが大変になってくる。

強攻は時間が掛からないが、自軍の被害と失敗した時に、それに乗じて追撃してくる可能性もあった。

攻城戦をしたことがない、アーサーにもその事がわかっており、悩みの種だった。

アーサーは昼の内に砦の見える、小高い丘の上に野営地を建てはじめた、日が暮れるころには柵と必要な数のテントを建てる事が気できた。

交代の兵達に警備の命令を下すと、アーサーは自分のテントに入っていった。

その背中を追うように、彼とベディヴィアが入っていた。

中は薄暗く、目を凝らしてみると3つの椅子が置いてあり、奥にアーサーが腰を下ろすと、向かいにある椅子にベディヴィアが静かに座った、彼は椅子に座らずに近くにあった蝋燭に火を灯すと、ベディヴィアの横の椅子に座った。

皆が砦を見たために、その圧倒的な存在感に少しだけ気落ちをしていた、その場の空気を打ち破る様にアーサーは静かに口を開いた。

「攻城戦か。今までは相手が放棄してくれたおかげで、戦わずに済んだが。ここを無視したら、後方を脅かされかねない。」

「主よ。正直申し上げると、我らの中には攻城戦の経験がある者がいませんでした。今までは国境や町の警備、盗賊、部族討伐が主でした。その反面相手側は今までの用に、得意な守りに徹するだけなので。このままだと、落とすのに相当の時間が掛かるかと。」

「私の部下によると、砦の食料は常備3ヵ月分は貯蔵してあるそうで。切り詰めれば4~5か月は持ち、しかも最悪なことに、砦の内部に井戸があり。水不足の心配はないそうです。」

「主よ。それと近くの村に聞いたところ、この周辺の地面は硬く。1メートも掘るとそれ以上は、掘り下げるの難しと。」

話を聞くほど3人の顔つきは険しくなっていた、アーサーは地面を掘ってトンネルを作り、城壁の下を通る事や、近くに川などがあれば水攻めもできる。

少し短絡的だったが、砦を相手にする時の策を考えながら行軍を続けてきたが、そのどの作戦も不可能だと知った時の、落胆の色は隠せてはいなかった。

その時なんとなく、近くの蝋燭に顔を向けた、蝋燭はまだほとんど燃えておらず、その炎は静かに揺れていた。

揺れるたびに、自分たちの顔に影を作る炎を見ながら、ふと目を閉じて一度大きく息を吸って、ゆっくりと吐いた。

吐いてる途中に目を開けると、炎は吐いた息で大きく揺れて、小さくなったが消えることもなく、息が止まると再び炎の大きさを元に戻していた。

アーサーはふと考え始めた、炎か火責めは可能か、いや無理だ。

ならどうする、炎、火、燃える、煙。

その時アーサーの頭の中では、普通は考えない策が巡っていた。

可能性はかなり低いが、失敗した時の被害も少ない。なら他に策が出なければ、実行して相手の様子を見るのもありか。

アーサーは1つの決断を下し、2人に伝えた、ベディヴィアは特に呆れた表情をした後、口元に手を添えると笑いを堪えられない様子だった。

「失礼しました。私には思いつかな事です、確かに他に策はありません。笑ってしまったお詫びに、今回の費用は私が負担します。」

そう言うと、口元を緩めながら一礼をした。

この人は面白い、国のためと信念があるから、いままで付いてきたが。これなら別の意味でも、私達の王にできるかもしれない。

ベディヴィアは顔を下げたまま、そんな事を考えていた。

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