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妄想物語  作者: 妄想男
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2


  



朝、いつものように目を覚ます。






ベッドの下には空の酒瓶が何本も転がっている。




……静かだ。




やけに静かだ。




いや、静かすぎる。




最初は、単に休日からか? と思った。




窓越しに外を見る。




道行く車も人影もない。




外へ出てみると、不自然なほど辺りは静まり返っていた。




道路を走るクルマの姿はない。




歩道に、歩く人の姿も見当たらない。




コンビニにも人がいない。




無人。




客がいない。




従業員がいない。




車を運転して、駅へ行ってみる。




誰もいない。




駅員がいない。




乗客がいない。




再び愛車に乗り、街の中心地へハンドルを向ける。




誰もいない。




パニックになった。




携帯の存在を思い出し、片っ端からかけてみる。




ツー、 ツー、 ツー、




空しく発信音が響く。




youtubeを開けるが動画が流れてくることはなかった。




検索しても反応がない。




オレは頭がおかしくなってしまったのだろうか?




昨夜の酒がまだのこっているのか?




夢でも見ているのか?




いったん自宅へ帰る。




シーツを頭から被り目を閉じた。




いつの間にか眠っていた。




夕方になって、目を覚ました。




自宅を出て、ふたたび車であちこち探索してみたが誰の姿も見つけることができなかった。




いつもと同じ道路。




だが、行き交うクルマの姿はない。




信号も消えている。




店や住宅に灯りもない。




真っ暗な街を後にして、自宅へ帰った。




明くる日。




期待と不安で目を覚ます。




だが誰もいなかった。昨日と同じだ。




電話をかけても誰も出なかった。





* * *









次の日からオレの探索の日々は始まった。


待っていても状況が変わる兆しはなかった。


昨夜、PCを開いたが何の情報も得られなかった。


この世界にオレだけになってしまったのだろうか?


しばらく生活するのに必要なものを車に詰め込みオレは出発した。


目的地らしい目的地はなかったが、とにかく人がいそうなところを目指した。


 

       *    *    *



自宅を出てからずいぶん時間が経つが、まったく他のクルマが走っている姿を目にすることはなかった。


埼玉を過ぎ、東京へ入った。相変わらず、走っている車は見かけず、人も見なかったが、時々、犬や猫を見かけることはあった。

とりあえず少し安心した。


車から降りて犬猫に接触を試みたが身の危険でも感じたのか、すぐにオレの前から姿を消した。


そしてなにより、空を見上げれば鳥も飛んでいる。


奇妙な世界だった。人間だけが見当たらない。例えば樹木や河川、電柱、街並みなどは依然と同じ佇まいをみせ


人間だけが忽然と姿を消した世界。


探索に疲れ、車を降り、適当なコンビニやスーパーで飲み物、食料を調達する。


店員などいないのだが、代金分のお金をレジの前に置いた。


とにかく東京中を走り回った。


練馬、杉並、目黒、品川、新宿、渋谷とクルマで、あちこち見て回ったが、誰一人発見することはなかった。


渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で車を降り、ミネラルウオーターをぐびぐび飲みながら空を眺める。


ほんと どうなっちまったんだよ。













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