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海が割れた。
大地が、悲鳴を上げた。
天は、雷鳴を轟かせ、稲妻が、大地を襲う。
風が、木々をなぎ倒し、
地上の動けるものたちは、少しでも安全な場所を求めた。
落雷による、火災が発生し, 炎はあらゆるものを飲み込んでいった。
そのさまは、天から、降る破壊。
ヒンドゥーの聖典にみられる、インドラの矢を思わせた。
* * *
「母上!」
少年は、叫んだ。
だが、その叫びは、空しく虚空に吸い込まれてゆく。
「母上 !」
再度、叫ぶが、その叫びに応えるものはいなかった。
「坊っちゃま!」
少年に向かって、呼びかけるものがいた。
懸命に走り寄る。
「坊っちゃま!」
少年の傍まで、走り寄ったそのものが、見たものは、
消えゆく少年の姿だった。
少年は、霧のように消えていった。
そして、少年に呼びかけていたそのものも、霧のように消えていった。




