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妄想物語  作者: 妄想男
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 発電機が低いエンジン音を響かせ、投光器は温泉を照らし続けていた。


温泉の中には,,もう誰もいない。


ガガたちは, 素早く着替え,


明るく照らされた温泉を周囲から取り囲むように, 次に何が起こるのかじっと見守っていた。


ルカたちが,温泉入浴の準備をしている間、ガガは一人 自分たちの周りに簡単なトラップを仕掛けてい


た。


釣具店からいただいたテグスと錘り、


ショッピングモールから,かき集めた空き缶を使って 簡易警報装置を作っていた。


テグスの間に,等間隔に空き缶を結び付け 中に釣り用の錘を入れる。


それを木々の低い位置に縛り付けた。


もし誰かが気づかず足に引っ掛ければ, 空き缶が, カラン, カラン, と鳴る仕組みだ。


息を殺して 見守っていると,やがて二人の人物がゆっくり 周囲を伺うように光の中へ入ってきた。

 

ふたりのシルエットが視界に入る。


二人とも小柄に見えた。


一人は子供のよう見える。


そのまま、ふたりが、 ゆっくり前に進む。


二人は戸惑うように投光器に照らされた周囲を伺う。


子供の方が、発電機に近づく。


不思議そうに腰をかがめて、恐る恐る発電機を観察する。


少年だった。


体の前で子犬を抱えている。



その様子を観察していたガガは、意を決し、立ち上がった。


ゆっくりと二人に歩み寄る。


用心のため 手にはライフルを持っている。


驚かさぬように慎重に近づき声をかける。


「やぁ、こんばんわ」


相手が驚いて振り返る。


女だった。


若い女だった。


着物を着ていた。


だが見慣れたデザインの着物ではなかった。


現代のものには見えない。


素材も絹や綿には見えない。


「こんなところで どうしたんだい?」 


ガガに訊かれ、女は、 ぎょっとした表情でガガを見つめ


「なぜ ここは かように明るいのでございましょう? 夜も更けておりまするのに」 


女の質問に対し、ガガが答える。


「なぜ、って 発電機を回して投光器で照らしてるからさ」


女は、 


ハツデンキ?, 


トーコーキ?  


不思議そうにガガを見つめる。


発電機の前で腰を屈めていた少年も女の傍に寄ってきた。


ガガの周りにも、ルカたちが集まりだす。


二人を観察していたピョンが、横から口を出す。


「この人たち 現代の人じゃないと思うよ」 


現代の人じゃない? 


ガガとルカは顔を見合わせる。


その時、森の奥から 複数の重い足音が、こちらに向かってくるのを感じた。




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