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異能世界話  作者: 雨雲日月
第一章 
15/18

秋田支部副支部長

波津さんからの衝撃的な告白から数時間後。私たちは秋田市役所の近くまで来ていた。


「当日に紹介でもよかったがさすがにそれは君たちにも向こうにも少し申しわけないからな。」


申しわけない?

そう怪訝な顔をしていたわけではないが気付いたのだろう。引率で来ていた真角先生が答える。


「何も今回のことは君たちには急なことだったわけだしな。しかも私が当日は引率には行けないし他に任せられるほどのちゃんとした人と考えたら彼が適任だったということでな。少し急だったのだよ。」


そう言って再び歩き出す真角先生に私たちはついていくことしかできなかったが。


「ちなみに当日も秋田駅に来てから、新幹線に乗って東京まで行ってもらうことになっている。副支部長にもそう伝えているが問題はないな?秋田駅までは波津さん(ばか)に見送ってもらうから。」

「あ、はいとんとん拍子でちょっとよくわかりませんがまぁ大丈夫だと思います。」


「そういえば君たち二人だけじゃないって知ってるか?」

「え・・・?副支部長のことですか?」

「その様子じゃ知らないみたいだな。あー車いすに乗っている子知ってるか?」

「はい。旧校舎でも一度会いました。」

「あいつも一緒に行くから。」

「あ、はい。



えぇ…?」


あの子も来るのぉ?こっち睨んできてたよー?

朱音の方を見ると渋い顔してるし。うんちょっと気乗りしなくなってきた。


「さ、ついたぞ。」


そういって軽く立ち止まりここで待つように言ってから真角先生は中へ入っていく。

ついたのは何の変哲もないビルだった。


「お嬢ちゃんたち今暇ー?」


待っている間ボーっとビルを見ているとこちらに声をかけてくる人がいた。

金色の髪に赤茶のサングラスをかけた男だ。

お?ナンパか?すぐさま高圧的に朱音が威嚇するように応答する。


「暇じゃないです。今人を待っているんです。」

「こんなかわいいお嬢ちゃんを待たせてる人なんて良くないよー。俺と一緒に来ようぜー。」


うわーまだこんなナンパ男いるんだーと思っていると


「良くない人で済まなかったな?待たせてすまなかったな二人とも。副支部長が下に行くと言ってきかなかったから少し待ってたんだ。」

「どうも。君たちが新しく入る子たちだね。秋田支部副支部長を務めている尾割再(おわりさい)だ。よろしく。」


真角先生と一緒に来た人物はなんと副支部長だった。


「それと坂田くん、なんでちゃらちゃらしてるのかな?何となくは察するけど。」

「ちぇっ気付いてるんですかー。」

「二人にさせたのは俺のせいだな。上に来てもらえればよかった。」


え、このナンパ師と知り合いなの…!?と思ったが、この雰囲気から察してマジナンパからかばってもらってた感じかな?


「一応名乗っときますね。坂田祈折(さかたいおり)、秋田支部所属っすね。」


チャラチャラが少し薄くなったような雰囲気になった。


「とりあえず早く中にでも入りましょーや。」


そうやって私たちは中に入っていった。




それで・・・


「なんで戦う流れなんですか!!!」

「いやー実力しりたいからさー。」


私たちはそのまま地下にあるトレーニングルームに来ていた。

いやーじゃないでしょうよ。今日は顔合わせだと思ってたのに…


「とりあえずジャージにでも着替えてきてくれ。手合わせは少しだけでいいから。」


理由があいまいなんですが。と不満が顔に出ていたのか。尾割さんが苦笑しながらこちらを見る。


「ちゃんとした理由が欲しいのなら言うが、俺はもう一人の付き人もしなければいけない。正直言って動けない人たちを連れて行くのは一人じゃきついからね。最悪、向こうついてから人員を補充かどうにかしないとダメかなと考えているってわけだ。向こうは本部だから人が多いがそりゃ首都だからな、人も多くなるし人の心の動きも増えるんだわ。というわけで向こうの”異能”は意外と多くてな。」

「なるほど?つまりその判断材料として戦闘をするということですか。」

「そういうことだ。話が速くて助かるよ。」


ということで戦います…か。







「うん、そこそこだね。」

「ていうか、めっちゃ強いじゃないですか!」

「そりゃまあ戦闘タイプだし?―――あぁ聞いてないのか。一応それぞれ支部には支部長と副支部長が与えられるが、どちらかが内政、どちらかが戦闘なんだよ。ここ秋田支部では支部長は動かなさそうだろ?だから俺は戦える用の人材ってことだ。」


そうだったのかー。そりゃ強いよなぁ。なんか殴られまくったし。


「でもまあ、あの動きじゃあ、見えてないんだろ?”勘”にしてはしっかり防いだり避けたりしてた場面もあったがな。」

「???」

「エネルギーだよ。」


エネルギー。話は聞いたことがある。というかこの前フブキ先輩と話した。確か…


「エネルギーは人間が持つよくわからないものなんだがな、”異能力”を使う上では絶対に理解し扱えないとダメなものだ。今の君たちは訳も分からず”異能力”を振り回しているだけに過ぎない。」


そんなこと言ってたなと思いつつ息を整えながら尾割さんの話を聞く。


「エネルギーはな、認知することで自身のエネルギーだけだが操れるようになる。そもそも、自身以外のエネルギーを取り込む回路とエネルギーを生み出す炉があるんだよ。そこで生み出したエネルギーは認知することを境目に一部変更される。どういったものかっていうと、多いのは色だな。次に感覚。温かい、冷たい、柔らかい・・・そんないろいろなものに分けられる。」

「たしか、フブキ先輩は薄い水色で触れると冷たいって言っていたっけ…」

「教えられてはいるんだな。どうせあいつのことだまずは一通り戦えるように基礎やら”異能力”やらとか言ってたんだろうな。これも基礎だっていうのに…」


そういって頭を搔く尾割さんが見つめる方向には今まだ戦う朱音と坂田さんがいた。

坂田さんは大きい斧・・・(まさかり)だっけ?を用いて戦っていた。


「あっちの子はボヤっとかもしれないがしっかり使えているな。放出系だからか?」

「ヒビキ先輩が教えているみたいですし。」

「やっぱそっちはしっかりしてるなー。」

「ハハハ・・・」


まるで私の先生(フブキ先輩)がダメダメだっていうようじゃないですかー。


「それで話は変わるが、中園君。君は”異能力”を使うのは苦手なのかい?どこか違和感を感じてね。」


そういわれ少しドキッとした。確かに今ほどではないが最初のほうはみんなが言うような感じではなかった。どこか自分事じゃないような。そんな気がしたのだ。そりゃ一週間近く大体、弱く使い続けることで慣れてきてはいるが。


「言いづらいのならいいよ。」

「いえ。違和感はあるのですが言葉にしづらく・・・」


そうこうしているうちに朱音たちも手合わせが終わり、ぐでっとしている朱音が帰って来るのだった。


「強すぎです…」

「ハハッ、そりゃまあ得意な方だからねぇ。」


同じような会話をしているのを聞きながら尾割さんは扉に向かって歩き始める。


「それじゃあ、上に行こうか。ジュースもあるよ。」









「いったいいつまで待たせるんですか!?」

「忘れていたよ、すまないね。」


エレベーターに乗って会議室に入るとあの車いすの子が尾割さんに対して腹を立たせていた。

まぁまぁと真角先生はなだめているがそれでもいらいらは隠せていないようだ。


「そういや、初めてだったかな?それぞれ自己紹介でもしたらどうだい?」



そう真角先生が切り出し、私と朱音が自己紹介を行う。


「ふん。君たちは最近入ったばっかりだからな、困ったら助けてやる。」


と上から目線で返されたときはイラっと来たが。それより、そっち側の自己紹介が行われない方が不服だ。なんせ、


「なんで自分から情報を提示しないといけないんですか。敵だったらどうするんですか。」


なんて言いやがったからな?そのあと怒られて普通に自己紹介してたけど。


福田玄也(ふくだげんや)だ。”異能力”はまたその時が来たらな。」



―――えー、こいつと行かなきゃいけないのぉ?




















――――――時がたち、秋田駅。

東京に向かう時が来た。


「気を付けていくんだよ~」

「はい。波津さんもお気をつけて。そういえばフブキ先輩たちは昨日の夜の便で向かってるらしいですね。」

「そうだねーみんないなくて少し寂しくなるよ。」

「嘘おっしゃい。ボクもいないからのびのびできるとか思ってるでしょ。」

「あ、莉愛ちゃんもいないんですね。」

「うん。大阪支部の放浪課も大阪に集められるんだ。」


ソンナコトナイヨーと棒読みでいう波津さんに呆れながら、可愛らしい黒のワンピースを着ている莉愛の方を見る。


「どうしたの?何か顔にでもついてる?」

「い、いや可愛らしいなーと思ってただけです。」

「―――――嘘でも嬉しいね。どっかの波津(ポンコツ)は何も言わないからね。」


そう少し頬を染めながら笑う。かわいい。

ちらっと隣を見ると真角先生が尾割さんに缶コーヒーを渡していた。頑張れってことなんだろう。

それを見ながら朱音は少し眠たそうにあくびをしている。


「君たち、そろそろ電車が来るようだぞ。」


こちらに振り返りつつ尾割さんが呼びかける。その声に反応したのか少し遠くから音を感じる。

新幹線が来たようだ。


「それじゃあ行ってきます!」

「いってらっしゃ~い。」

「いってらっしゃい!」

戦闘は割愛ですが、ちょっとネタバレ。


尾割の”異能力”は戦闘用のものにしてはちょっと特殊です。

アバッ〇オもどきって感じです。一部分限定にした感じです。


ちなみに”異能”は基本的にエネルギーが通っているものでしか強くダメージは与えれません。

だから作中で言っていたように”異能力”以外だとエネルギーを操ったり流したりするのが基礎なんですね。

エネルギーと”異能力”は某呪術師漫画の呪力と術式のような関係だと思ってください。

「それ単体でも使えるが変換器のような”異能力”のおかげで自分に合ったものにする」って感じです

もっとかみ砕けば電気と家電製品ですかね?でも電気でも戦ったりするキャラがいるようにそれでも使えます。

尾割の能力はただのこぶしが電気単体で殴っているようにできます。


それと・・・尾割のイメージCVは日〇聡さんです

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