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三十五話

短いです。誤字脱字・一人称の違いがあるかもです。

雪が積もり、外のすべてが白一色となっている中、

明るく暖かな光を放つ屋敷はムスクの屋敷。

「ええ…まずは、このような粗末な屋敷に来ていただきありがとうございます。本日は近しい者だけの集まりであり大変人数は少ないですが、互いに盛りあがしましょう。乾杯。」

堅苦しい音頭をとったのは家の主であるムスク。

しかし、この音頭に負けないくらい明るい声で「かんぱーい」と騒ぐマリシナと王子。ムスクはローナを呼ぶだけでいいと思っていたら存外いや、やはりマリシナがエリオット、王子と王女、ライアスとその妻を呼んでいた。ムスクにとっては完全アウェイと言っても過言ではない状態が作り出されてしまった。 


しかもなんだ…エリオットとライアスは分かるが王子と王女まで家に来るとは何事だ…仕事をしてくれ!!


心の中で苦笑いしながらも楽しそうな皆の姿を見ると少しだけ良かったと思えた。

ローナも談笑に加わりつつ御馳走をチビチビとつまんでいる。可愛い。

音楽隊に演奏を頼み、ダンスに移る。

消去法的にムスクと踊るローナは少しだけ頬を赤らめながらムスクの手を取り踊り出した。ローナの着ているドレスはマリシナが見立てたらしくとてもよく見合っていた。踊っている最中不謹慎な場所に目が行くので少し誤魔化そうと話を振った。

「…どうだ?楽しいか?」何気なく聞いてみると小さくうなずくローナ。すると突然脳内に旅に出るローナの姿が思い浮かんだ。自分自身メイドをやめるという話を聞きたいので聞こうと口を開きかけたとき、「私はここを出ます。」とローナはムスクの目を見て言った。何も言葉が出てこなかった。雪の降る庭へ出てローナはムスクに話す。「マリシナやムスク様、エリオット様、ライアスがどれだけ私を止めても私は行くでしょう。私は、ムスク様たちに、出会った人々に甘えすぎました。だから私は旅に出ます。夢でしたし、独り立ちという意味もあります。私の行く末や、幸せを案じているのならば私を旅に行かせてください…」その言葉には堅い決意が見えた。ムスクの口からは「いつ帰ってくる?」という言葉しか出てこなかった。ローナは数年でしょう。とだけ言った。ムスクはそれでもあきらめたくはなかった。うつろな目になりながら行かないでくれと必死に訴えた。が、ローナは寂しそうに微笑むばかりであった。結局、そんな決意の固いローナの心を惑わす様に告白する気にはなれず、パーティーは失敗に終わった。終始楽しそうだったローナの笑顔の裏ではほんの少しだけ寂しさが見て取れた。

ムスクともマリシナともだんだんと距離を置くようになったローナ。

そんな冬の寒さの中転機が訪れた。

ローナがある令嬢の専属となったのだ。


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