三十三話
遅れました。意味不明な物語になりそうです。
二人の会話は全く進まず、
「一緒に祭りにいきませんか?」の一言を言うのに二時間を費やした。
祭り当日…
「ハァ…緊張するなぁ…」
「アンタたちそれで付き合ってないんでしょ?無いわぁ~」
「だ、だから、私なんて釣り合わないんだって…子供扱いだし…」
「(えぇ~気づいてないの…)…てか、二人はあれから会話したの?」
「してません…」
「えっ!?一緒にご飯食べるときも!?」
「…それね、無くしてもらったの…」
「えっ!?何でよ!?」
「もう、無理です。っていったの。」
「えぇ~…ムッスンはなんて言ったの?」
「そうかって言っただけだよ。」
「(確実に悲しんでるわよムッスン…ローナの行動が読めないわぁ~)」
珍しく呆れたマリシナ。
「さっ!!今を楽しんでおいでな!!」
マリシナは髪をとかすのをやめ、背中をポンッと叩いた。
「うん。」
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待ち合わせの場所の広場で大男は考え込んでいた。
………一緒に食事をしていた時はローナと毎日会っていた。
それがどうした?彼女から「もう。無理です」だと…
何が無理なんだ?俺が?生理的に無理なのか!?
…まぁ、今日いろいろ聞くとしよう。ぜ、絶対聞くぞ…。
暫くしてロングワンピースを着たローナが走ってやってきた。
その姿を見たムスクの頭の中から「ローナに理由を聞く」はなくなり、代わりに「ローナ可愛いローナと一緒にいたいローナ可愛いローナ可愛い」などの煩悩紛いの考えしかなくなってしまった。
「お、お待たせしました!」
「あ、ああ…じゃあ、行こう」
二人はぎこちなく歩き出した。
沈黙が流れる。気まずい空気ではない。二人は黙々と歩いた。
ある店の前でローナの足が止まった。
「…どうした?」
今日二人が会って二言目がこれだった。
「ムスク様?これはなんですか?」
ローナは商品を指さした。指さした先にはカボチャ型のナニカだった。
「?分からないな。すまない。これはなんだ?」
ムスクは店のオジサンに話しかけた。
「ああ、これかい?新商品だよ!!試作品だからねぇ~使ってみるかい?」
「?食べ物ではないのか?」
「タダだからやってみなお二人さん!」
「し、しかし…」
「いいから、いいから!!」
オジサンは二人の手を強引に取り、カボチャの目に入れた。
「キャッ!?」
「うわっ!?」
手を入れた瞬間カボチャの目は光り、一瞬辺りは白くなった。
目が慣れてきたとき、目の前にいた店のおじさんを見るとにまにまと満足そうに笑っていた。オジサンの手には鏡があり何かがあるのかと思い、ムスクは覗きこむとローナも覗き込んだのか鏡にはローナが映っていた。しかし、どこかがおかしい。どんなに鏡を見ても自分の姿が映っていない。
隣を見ると同じように店の人に出された鏡をのぞきこむ自分がいた。
「………店主…このカボチャは…もしかして…」
「ああ!!二人を入れ替えるカボチャだよ!!」
店のおじさんはとてもうれしそうに笑っていた。
ローナを見るとまだ信じられないという風に鏡を凝視していた。
「どうやって戻るんだ?」
「戻るのは簡単!二人で手をつないで夕日を見ればいい!!」
ローナ(ムスク)は店主の頭を叩いた。
「なんでぃ!お二人さんがぎこちなかったからもっとくっつけようとしたおせっかいな店の者のサービスだろぅ…」
ローナ(ムスク)はまた店主を叩いた。
「む、ムスク様…だ、大丈夫ですよね?」
今にも泣きそうなムスク(ローナ)
「大丈夫だ。そうだろ?店主。」
「…………」
「おぃ!?さっき自信満々に二人で手をつないで夕日を見ろと!」
「あ、い、いや…あの…ちょっと耳を貸してください御嬢さん(ムスク)」
「ん?」
「(小声)実はあれ、好きなもの同士しか解けないんですよ。」
「なっ!?」
「(小声)でも、見た感じ脈ありじゃないですか?だったら問題ないと思いますと、いうことがいいたかったんですよ」
「…………」
脈ありだと?どの口が言うんだ?どう考えても脈皆無だろ。
彼女に無理やり(?)キスをして、日常だった食事まで無くなった。
これ以上心の傷なんて作りたくはないのだが…
「ま、旦那心配しなさんな!夕方には解けるから!」
「よ、よかった…」
二人はそんな酷い店からようやく抜け出し、
二人で少し話をした。
「…………」
「どうしたローナ?」
「なんだか変な気分ですね。」
「…そうだな。」
そう思うのも無理はない。隣に居るのはローナでも他の女でも男でもない。自分なのだから。ローナ(ムスク)の口から出る言葉はローナのモノなのに声は少し優しげな自分の声…考えると奇妙だよな…
「ま、夕方には戻るというし、それまではこの姿で過ごすしかない。慣れろとは言わないが何も言わない様にしよう。」
「そうですね。」
その後、二人で屋台のモノを食べたり飲んだり、くじを引いたりして楽しんだ。
最初にあった不幸のせいか二人の距離が近くなり、口数も多くなった。
だが、やはり話しているのが自分自身ということには変わらない。
「ん?ローナ(ムスク)あの店に入ろう。」
ムスク(ローナ)が指さしたのはアンティークショップだった。
「そうですね、いいですよ。………俺はそんな言い方か?」
「それはこっちのセリフですよ。」
二人は互いに真似をして笑いあった。




