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三十二話

「おい…ムスク…なんかいいことあったのか?」

そう尋ねたのは大体一緒に仕事をしている王子カルントだった。

「…ハ?」

「…いや、いつもより顔が怖…いや、機嫌がよさそうだったからな。」

「…そんなに分かるものなのか…まぁ、いいことはあったな」


まぁ、あったな。うん。あったな。とても嬉しかったな。ハハハ、ハハハハハハ


「……ムスク…また怖…いや、顔が緩んでいるぞ…」

ガッ

ムスクは片手で頬を掴んだ。


そうだ。あれでローナとの距離が縮まったはずだと思った…

========


あ、ローナだ。


「やぁ、ローn…」

「!!」

もうダッシュで逃げる。

夕食にて…

「今日部屋で一人で食べるってさー」

ルームメイトにそう告げられ…部屋に行ってみると

ガチャリッ

居留守。

========


何故だ?何故最近俺が近づくと逃げるんだ?

分からない‥……考えたくないが、やはり俺は嫌われた…のではないか…あの一件で…俺が怖くて「やめて」と言えなかっただけなのではないか…!?


--------

「ま、またやっちゃったぁ~」

「えぇ!?また逃げたの!?」

「うん…どうしよ…」

「どうしよって…逃げないの!!」

「無理ぃ~意識しちゃって今までどうやってきたのか忘れちゃった…」

「典型的な恋の病ね‥」

「あ、歌の時間。…今日も場所変えよ。」

--------


…また場所に来ないのだが。


すると、歌声がどこからか聞こえてきた。

歌は『恋とはどんなものかしら』だった。


この曲…やはり期待してもいいのか?俺に、少しでも気があると思ってもいいのか?

いや、…だったら何故逃げ隠れする必要があるんだ?


「よぉ!アンタ!辛気臭い顔してんねぇ!!どしたぁ?」

いきなり陽気に話しかけてきたのはライアスだった。

「……辛気臭いか。」

「うん。辛気臭い。ローナとうまくいってないの?」

「……………‥・」

「ありゃぁ~図星…ゴホン!そんなアンタに耳よりの情報だ。城下町で祭りがやるぞ!ローナ誘って行ってこい!!」

「……祭り。」

「うん。祭り。ほれほれ、誘ってこい!!」

無理やり背中を押された。

「…っと」

「いってらっさ~い」

ヒラヒラと手を振られるムスク。


…確かに、最近まともに会ってないしな…うん。誘おう。

*******

トントンッ

「はーい。」

ガチャッバタンッ

認識して一秒ほどでドアを閉められた。


ど、どーしよー絶対嫌われたよ。えぇっと…ど、どうし…


「…ローナ…開けてくれないか?き、キスをしたことは謝る…すまない…だから、その…友達に戻ってくれないか?」

ガチャッ

「…む、むす、むすきゅ…ムスクさあ…ムスク様…だ、大丈夫です。き…キスの件…えぇっと…あの…部屋へどうぞ…」

部屋に一台しかないソファにムスクを座らせ、ローナは地面に座った。

「…ソファに座ったらどうだ?」

「え?あ、ああ…そうですね…」

二人はソファの端と端に座った。

それをどこからか見ていたマリシナが一言思った。


あまずっぺぇええええええ!!!




あれ?この曲二回目?だったらすみません…

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