十八話
「で?今日も例の夢?」
「うん。」
マリシナとは付き合いが長いので、包み隠さず全て話している。
「ムッスンに抱き着いたことは覚えてる?」
「え?」
「してたらしいわよ。ローナがたまに泣きながら寝てるのは知ってたけど歩いちゃうなんてねぇ…今日の夢いつもと違ったりした?」
「…うん。パパとママがいて、パパが「大丈夫」って言うところまでは一緒だったんだけど…その後パパが悲しい顔して出て行っちゃいそうに…それで私、止めようとして…」
「あ、なるほど…夢と現実の狭間。みたいな感じね」
一人でうんうんと頷くマリシナ。
「マリシナ…あの…」
もじもじしながら何かを言いたげである。
「わかってる。今日は一緒に寝よう?」
頬 を染めながら「ありがとう」と言うローナ。
例のイベント当日。
今年も前日は大忙しだった。
大量のイスを運び、並べ、拭く。
主催者は王ということになっているが、ここフィオリル王国の王は催し物を含む一切に顔出しをしない。
代わりに美貌の王子と名高い、ルノジュール=フィオリル王子が全てのイベントに出ている。
「…ねぇマリシナ。これ本当に着ていくの?」
例のフリフリドレスである。
マリシナに無理やり着せられた。
「もぅバッチリよ!!あとはピンクのカチューシャを…」
「絶対目立つよ‥これ…」
「あら。目立たないわよ。だってほら、私の」
出してきたのは金色のドレス
「(唖然)」
「ね★」
「…やっぱり私が買ったやつが」
「あれ 、燃やしちゃった★」
「(唖然)」
「あら、こんな時間。ほら行くよ~!!」
「いやぁ~」
全然目立っていなかった。金色でも霞むくらい。なぜなら女はみんなデカデカとした宝石を身にまとい、ギラギラと目を光らせているから。
「……ココ…コワイ…」
「…そうね…女全員が野獣に見えるわ…」
何の面白味もない只々座っているだけの式がようやく終わり、さて帰ろうと立ち上がると、マリシナの姿が見えない。
「…マリシナ?」
辺りを探索していると警備の人に見つかってしまった。
「君!!ここは立ち入り禁止区域だぞ!!」
「え?」
キョロキョロ見渡すと確かに上流階級の匂いがする(?)場所だった。
「さては盗人か!!ちょっとこっちまで来なさい!!」
「 えぇ!?ちょっ…」
ぐいぐいと手を引っ張られるローナ。
その手がいきなり緩み、敬礼になった。
「?」
次の瞬間後ろから肩に手を置かれたので反射的に上を見ると、美貌の王子がいた。
「お、王子様」
すぐに向きなおってお辞儀をするローナ。
「…警備お前はもう行ってよい」
「ッハ!!」
立ち去る警備人。
「…さて、ただの小娘がなぜこのようなところに?」
「も、申し訳ありません。友人を探していまして、自分のいる場所が分からなくなりました。」
「そのような言い訳を俺が聞きたいとでも?」
「申し訳ありません。」
「……ップ…アハハハハ!!!嘘嘘!!可愛いね君!!どぅ?俺の第二の妻にならn…」
後ろから思いっきりおされる王子。
「お、王子様! !」
駆けつけようとしたが、また肩を捕まれた。
上を向くと綺麗な女の人がいた。
「ど、ドーラ様!?」
「ウフフ❤」
王子の方を向いてみると殴ったのはムスク様だったようだ。
「ったいなぁームスク~殺すぞ?」
「うるさい変態王子!!もう少し目上を敬え!!」
「俺王子だし…お前と5つしか変わんないし…」
「5つもだろうが!!」
「てか、なんで押したんだよ!!」
「ドーラ様が…」
ドーラ様はとても愉快そうに笑っていた。
「ウフフ❤貴方が殴られたところとっても面白かったわ。ムスク、ありがとう。」
「いや。スッキリしたのは俺の方です。」
「俺に恨みでも!?」
「あるな。」
「あるわね。」
「酷い!!」
「貴方がいろん な女の人に目移りしてるからでしょ!」
「あんなのただのサービスだよ。本当に好きなのはドーラだK…」
「殴っちゃってムスク。」
「御意」
頭を殴るムスク
「あだっ!!やっぱなんか強い!!」
豪華すぎるメンツの会話を頑張って聞いているローナは、
やっぱり逃げようと決意を固めた。
「(抜き足…差し足…忍び足…)」
「どこへ行くんだローナ?」
ッギャ!!
「え?む、ムスク様…ハ、ハハハハハハ」
笑ってごまかしてみる。
「なんだムスク。その子のこと知ってるのか?」
「ああ。」
「あらぁ~可愛い子ねぇ。やっぱりムスクでも小さい子には弱いのかしら?」
「彼女は、24だ。」
「…俺より年上…」
ジロジロと舐めるように見る王子とドーラ様
どれだけ醜態をさらせばいいのですか!!もう帰らせて下さい!!
心の中で叫ぶローナ。
「あ、あの… 戻ってもよろしいでしょうか?」
「ああ。そうだな。俺が送って行こう。」
「え?道を教えてもらえば平気です…ょ…」
「いや、送って行こう。」
「お手を煩わせるわけに…」
「いや、送って行こう。」
今のムスクの言い方でピンときた王子は鎌をかけてみた。
「じゃあ俺が…」
「結構。俺が送る。王子にはドーラ様がいるだろ。」
「そうよ?おいていくつもり?」
ニッコリと冷笑を浮かべるドーラ様。
「…わーってるよ」
戻っていく王子とドーラ様
ムスクあの子が好きなんだなきっと…ふぅ~ん♪今度からかってやろー♪
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二人は隣同士で歩きながらしゃべっていた。
「すみません…また助けてもらいましたね…ありがとうございます」
「君が迷うなんて珍しいじゃないか何があった?」
「そうだった、マリシナがどこかへ行ってしまったんです。」
「ああ、ルームメイトならエリオットと追いかけっこをしていたぞ?」
エリオット様ブっ殺…ゲフンゲフン…
「そうでしたか。安心しました‥」
「…またすぐに王子の誕生パーティーだな。ローナは裏方か?」
「もちろんです。あれって大変なのですが楽しいです。と、いいますか、誇らしく感じます。」
「誇らしく?」
「はい。自分たちが居なければパーティーが成り立たないと思うととても誇らしくなります。」
「…そうか…」
ローナの部屋までついた。
「送ってくださりありがとうございます。」
ペコッとお辞儀をするローナ。
「ああ、じゃあ。」
「はい。また。」
ムスク様が去ってしまうと、私の周りが少し暗くなったような気がした。
あれ?夜ですかね?昼ですかね?…分かりません。




