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ささやかな平穏③
澄と美菜穂が家に戻ってきたのは、九時半過ぎだった。
トキと銀次郎が迎え出た。
「ずいぶん遅くなったねぇ」
トキが目を丸くした。
「二人ともラブラブしてて帰りが遅くなったんじゃないか?」
銀次郎が茶々をいれてきた。
澄と美菜穂は顔が赤くなった。
「さぁさぁ、お風呂が入ってるから順番にはいってね」
「じゃぁ先に美菜穂がはいりなよ、歩き疲れたでしょ」
「うん、お先に失礼します」
美菜穂は軽く会釈した。
「澄は成長したなぁ」
「そうですね」
トキと銀次郎は二人のやりとりを見て微笑した。
「澄と美菜穂ちゃんの未来はどうなるんだろうか。見てみたいもんだ」
それから澄が故郷に帰るまであっという間に過ぎた。
夏休みの宿題をするときは、わからないところを互いに教えあった。
澄は英語が苦手なので、美菜穂に教えてもらった。
他にも近所のショッピングセンターで買い物に行ったり、見野山川の上流まで散歩した。
澄が帰る前日には、庭でバーベキューをした。
源之助と久乃を呼んで。
肉類は近所のスーパーで買ってきたものだが、野菜は乙原家で採れたものだった。
気づいたら澄が故郷に帰る日が近づいていた。




