ニート編
私はあのKK事件以来、バイトに行く勇気が出ず、とても残念な事にバイトを辞めてしまった(正式に言うと、バイトを初日でバックれた)。
そしてその事実を知った母親の私を見る目が、汚物を見る目だった事は言うまでもない。
あれから一ヶ月が経過した。あれから母親の私を見る目は変わらず、汚物のままである。何かをしている時も私が視界に入ると、急に説教モードへと切り替えられ、今の私が言って欲しくない言葉たちをこれでもかというほどに投げつけられる。
「◯◯君は◯◯に就職したみたいよ」
「いい加減働きなさい」
「求人募集のチラシ入ったわよ」
このねちっこい攻撃は以外と私の急所を突く。やはり働かなくては…私はまた焦燥に駆られてきた。
「大丈夫働くよ」
私が今できる限りの精一杯の笑顔で言うと母が、
「本当かしらね」
と早急に打ち切った。なんなのだ、一体全体なんなのだ。私は「働きなさい」と遠回しながらに言われたから「大丈夫働くよ」と働きもしないのに言ってやったというのに、それに笑顔も作ってだ。
かの昔、私がこの世に生を受けたばかりの頃は、私が笑えば皆が笑い、父も母も幸せの絶頂へと導いていたというのに…今では「本当かしらね」と、私の言葉をドブに捨て、汚物を見るような目で私を見ている。
確かに現在の私は見るに堪えない、今の私の笑顔は閲覧注意クラスであることもいささか承知している。だが私は息子だ!
母が産みたかったのはこうではなかったかもしれない、だが出来上がりがこれ(私)であるのだ!母は
「こんなんじゃない、私が産みたかったものはこんな息子じゃない!本当の息子は…頭が良くて、勉強が出来て、運動が出来て、人気があって友達がいっぱいいて、可愛い彼女を家に連れてくる。そしてちゃんと就職する…そんな息子‼︎」
と言うかもしれない、だが違うのだ現実は
「頭が悪くて、勉強も出来なくて、運動も出来なくて、おまけにクラスの[死んでも付き合いたくないランキング]上位に入り、当たり前のように童貞。そして無職!」
これが現実だ!母親よ現実を見よ‼︎
だが母親の現実逃避もわからないでもない。確かに自分が一生懸命、懇切丁寧に育てた我が子がいつの間にかこんな、茶色いとぐろのような者に成り果てていたのだ、まあ現実逃避もしたくなる。
こんな私も昔はこんなではなかった。




