第10話 はじめてのスーパー
土曜日の朝、西条京子の家のリビングには、京子のほかに祖父の喜一、祖母の美弥、そして仕事へ向かう前の齋藤孝之がいた。
美弥の隣には、京子が初めて見る女性が座っている。
「京子ちゃん。こちら、千葉明美さん。今日からここに住んでもらうことになったの」
美弥に紹介され、女性が軽く頭を下げた。
「千葉明美です。よろしくね、京子ちゃん」
「西条京子です」
「うん。それは聞いてる」
「そっか」
京子も軽く頭を下げた。
明美は四十代半ばで、今日からこの家で暮らしながら家事を手伝うことになっている。紹介された仕事の内容だけを聞けば住み込みの家政婦に近いが、実際にはそれだけではないらしい。
「家のことはもちろんなんだけど、京子ちゃんが困った時には手伝ってあげてほしいの」
美弥がそう説明すると、明美は隣に座る京子を見た。
「困った時って、例えば?」
京子が先に答えた。
「道が分からない時」
「道?」
「うん」
「この辺の?」
「どこでも」
明美は美弥を見る。
美弥は笑っている。
「方向音痴なのよ」
「そうなんですね」
「左右もよく間違える」
「それはなかなか大変ね」
明美が京子へ向き直ると、京子は素直に頷いた。
「大変」
自分で言うんだ、と明美は思ったが、口には出さなかった。
それまで黙って話を聞いていた喜一が、テーブルの上に一枚のカードを置いた。
「明美さん。京子ちゃんの食費や日用品、それから家のことで必要なものがあれば、これを使ってください」
「はい。ありがとうございます」
明美はカードを手に取り、表面を確認すると、少しだけ動きを止めた。
「……これ、私が預かっていいんですか?」
「ええ」
「ここまでのカードじゃなくても大丈夫ですよ」
明美が困ったように笑うと、喜一は特に気にした様子もなく答えた。
「京子ちゃんに、ひもじい思いをさせたくないだけだよ」
鞄を手にした孝之が、その会話を聞いて口を挟んだ。
「明美さん、普通の食費でそれが足りなくなることはないですから、気にしなくて大丈夫です」
「そうよね。私もそう思う」
「足りなくなったら、もう一枚ありますんで」
喜一が続けると、明美はカードから顔を上げた。
「足りなくならないと思います」
今度は孝之が小さく笑った。
京子は自分の財布を開くと、中からカードを一枚取り出した。
「私もあるよ」
明美がそれを見る。
「京子ちゃんも持ってるの?」
「うん。おじいちゃんにもらった」
「そうなんだ」
「使えるよ」
「カードだからね」
「うん」
明美にはまだ、この会話のどこまでが普通で、どこからが普通ではないのか判断がつかなかった。
孝之が腕時計を見る。
「じゃあ、俺そろそろ行きます」
「今日仕事?」
京子が聞く。
「ああ」
「土曜日だよ」
「警察は土曜日だから全員休み、ってわけにはいかないんだよ」
「そっか。仕事頑張って」
「ああ。明美さん、よろしくお願いします」
「はい。いってらっしゃい」
孝之が玄関へ向かうと、京子もその背中へ「いってらっしゃい」と声をかけた。
しばらくして喜一と美弥も出かけることになり、喜一は玄関でもう一度、明美に京子のことを頼んだ。
「何か必要なものがあったら、遠慮なく連絡してください」
「分かりました」
「人手が足りなければ増やせますから」
「まずは私一人でやってみます」
「そうですか」
喜一は少し心配そうだったが、それ以上は何も言わなかった。
◇ ◇ ◇
二人だけになったところで、明美は家の中を見せてもらうことにした。
京子は頼めば素直についてくるし、質問にも答える。ただ、必要以上のことはほとんど話さない。
キッチンに入ると、かなり大きな冷蔵庫が置かれていた。
「立派な冷蔵庫ね」
「新しいよ」
「最近買ったの?」
「うん」
「前のが壊れた?」
「カビた」
明美は冷蔵庫へ伸ばしかけた手を止めた。
「中が?」
「うん」
「そうよね。冷蔵庫そのものにカビが生えたわけじゃないわよね」
「たぶん」
「そこは分かっててほしいかな」
扉を開いてみると、中に入っているのは水ばかりで、食材らしいものは何も見当たらなかった。冷凍室にも製氷機で作られた氷が入っている程度だった。
「食べ物は?」
「ないよ」
「昨日は何食べたの?」
「お寿司」
「その前は?」
「焼肉」
「外で?」
「うん」
食べた物について聞けば、京子は普通に覚えているらしい。
「普段、家では料理しないの?」
「しない」
「何か買ってきて食べたりは?」
「孝之が買ってくる時あるよ」
「なるほどね」
明美はもう一度、空っぽに近い冷蔵庫を見た。
「じゃあ、今日は買い物に行こうか」
「何を買うの?」
「食べ物。これから私も住むし、家でご飯作るなら何か入れとかないと」
「どこで買うの?」
「スーパー」
京子が少し考える。
「行ったことないかも」
明美は振り返った。
「スーパーに?」
「うん」
「一回も?」
「覚えてないから、たぶんない」
「そうなんだ」
驚きはしたが、明美はそれ以上聞かなかった。これだけ裕福な家なら、買い物の仕方が一般家庭と違っていても不思議ではない。
「じゃあ、ちょうどいいね。行ってみる?」
「うん」
玄関を出ると、明美のワゴンRが停まっていた。ちょうど喜一たちも出発するところだったらしく、喜一が車を見て尋ねた。
「明美さん、その車で買い物に行くんですか?」
「はい」
「荷物、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。最近の軽は結構大きいんですから」
「そうですか。それならいいんですが」
明美は笑って運転席へ向かったが、喜一はなぜかまだワゴンRを心配そうに見ていた。
◇ ◇ ◇
スーパーに着くと、京子は入口の買い物かごの前で止まった。
「これ何?」
「買い物かご」
「持っていいの?」
「もちろん。そのために置いてあるから」
「無料?」
「かごを買うんじゃないのよ」
「そっか」
京子は一つ取ると、特に恥ずかしがる様子もなく店内へ入っていった。
青果売り場では、トマトの前で立ち止まった。
「百九十八円」
「そうね」
「安い?」
「今日は普通くらいかな」
「普通」
京子はトマトと値札を交互に見た。
「分からない」
「値段の相場?」
「うん」
「今まで買ったことないなら仕方ないよ。食べたい?」
「食べる」
「じゃあ入れようか」
京子はトマトをかごへ入れ、その隣の野菜にも次々と興味を示した。
精肉売り場へ行けば肉を見て、鮮魚売り場へ行けば魚を見ている。
「全部同じ店にあるんだね」
「それがスーパーだから」
「便利」
「でしょう?」
最初のかごがいっぱいになるまで、それほど時間はかからなかった。
「京子ちゃん、カート使おうか」
「カート?」
明美が買い物カートを持ってくると、京子は少し眺めてからかごを載せた。
「これならいっぱい入る」
「そうだけど、いっぱい入れる必要はないからね」
「うん」
その返事から十分ほどで、一台目のカートはかなり埋まった。
菓子売り場で京子が袋菓子を手に取り、その場で開けようとしたため、明美が慌てて止める。
「待って、京子ちゃん。それはまだ食べちゃダメ」
「買うよ?」
「買うけど、先にお会計してから」
「食べてから払うのは?」
「ダメなの」
「なんで?」
「お金を払うまでは、まだお店の商品だから」
「そっか」
京子は素直に袋をカートへ入れた。
ところが、その少し先にある試食コーナーで店員から小さく切ったソーセージを勧められると、京子は受け取る前に明美を見た。
「これは?」
「食べていいよ」
「払ってないよ?」
「それは試食だから大丈夫」
京子はソーセージを口に入れ、しばらく噛んだ。
「美味しい」
「じゃあ買う?」
「うん」
商品をカートへ入れてから、京子は試食コーナーをもう一度振り返った。
「さっきはダメだったのに」
「こっちは食べてもらうために置いてあるの」
「同じ店なのに?」
「そうね」
「むず」
明美は笑った。
「そのうち分かるわよ」
二台目のカートが追加され、その二台目もかなり埋まったところで、明美はさすがに京子を止めた。
「これ、本当に食べ切れる?」
「うん」
「結構な量だよ?」
「食べるよ」
京子は迷いなく答える。
「そんなに食べるの?」
「うん」
「細いのにねえ」
「お腹すくから」
さらに買い物を続け、最終的には三台のカートになった。
明美は二台をまとめて押しながら、もう一台を押して先を歩く京子を見た。
玄関先で喜一がワゴンRの積載量を心配していた理由が、少し分かった気がした。
◇ ◇ ◇
三台分の商品を持って有人レジへ向かうと、五十歳前後の女性が担当している列が比較的短かった。
胸元の名札には主任と書かれている。
前の客を手際よく送り出した主任は、京子たちのカートを見て一瞬だけ目を見開いた。
「こちら全部ですか?」
「はい」
明美が答える。
主任はすぐに商品を通し始めた。
量が多いため、会計には時間がかかった。明美は袋詰めしやすいように商品を整理しながら、京子がレジ画面を眺めていることに気づいた。
先ほどまで野菜の値段が高いのか安いのか分からなかったのに、表示される数字には興味があるらしい。
三台分の商品を通し終え、主任が合計金額を告げた。
「七万八千六百四十二円になります」
明美が喜一から預かったカードを出そうとしたところで、京子が主任を見た。
「違うよ」
「はい?」
「金額」
主任の表情が少し硬くなる。
「こちらがレジで計算された合計ですが」
「五千円くらい多い」
明美が思わず京子を見る。
「分かるの?」
「うん」
「全部の値段覚えてたの?」
「見てたから」
主任が割って入った。
「商品数が多いので、思っていた金額との差が出ているように感じられたのではないでしょうか」
「違う」
京子は同じ調子で答えた。
主任は少し間を置いてから、明美へ視線を移した。
「では、念のためもう一度打ち直しましょうか」
「お願いします」
明美が答えると、主任は一度目より明らかに不機嫌そうな手つきで商品を戻し始めた。
三台分を最初からやり直すことになったため、後ろには少しずつ客の列が伸びていく。
京子は先ほどと同じようにレジ画面を眺めていた。
主任が肉のパックを一つ通し、別の商品をいくつか通したあと、再び同じ肉のパックへ手を伸ばした。
「ストップ」
京子の声に主任の手が止まった。
「何でしょうか」
「それ、もうやったよ」
「似た商品ではありませんか?」
「同じ」
明美も商品を見る。
「それ一パックしか買ってないですよ」
主任はレジ画面を確認し、数秒黙った。
「……失礼しました」
重複した商品を取り消した。
後ろにはすでに長い列ができており、何人かの客が別のレジを探して周囲を見始めている。
そこへ、様子に気づいたらしい男性が近づいてきた。名札には店長と書かれていた。
「どうかなさいましたか?」
主任が先に店長へ顔を向ける。
「お客様が最初のお会計に納得されなかったので、念のため打ち直しているところです」
「このおばさん、さっきからこのお肉とお肉を二回打ってる。さっきも金額多かった」
京子が主任の説明に続けると、店長の視線が京子へ移った。
「二回ですか?」
「うん」
「最初のお会計でも?」
「たぶん。五千円くらい多かった」
主任がすぐに口を挟む。
「最初の件については、お客様の思っていた金額との差で、こちらに入力ミスがあったとはまだ確認されていません」
店長は主任の話を聞いてから、京子へ確認した。
「最初から表示を見ていたんですか?」
「うん」
「商品ごとの金額も?」
「見てたよ」
そのやり取りを聞いていた後ろの列から、一人の女性が遠慮がちに声をかけた。
「あの、すみません」
店長が振り返る。
「はい」
「私、この前もこのレジだったんですけど、家に帰ってレシートを見たら、買った覚えのない商品が一個入ってたんです。五百円くらいだったから、私の勘違いかなと思ってそのままにしたんですけど」
主任が女性を見る。
「いつのお会計でしょうか」
「先週です」
すると、その女性より後ろにいた別の客も会話へ加わった。
「私も一度あります。同じ商品が二つになってたことが」
店長は主任へ視線を戻した。
「一度レジを止めましょう」
「ですが、かなり並んでいますので」
「別のレジを開けます。こちらは確認します」
店長は近くの店員を呼び、列の客を別のレジへ案内するよう指示した。
京子たちの会計もいったん中断される。
主任は単純な入力ミスだと説明していたが、店長が直近のレジ操作を確認すると、過去にも会計後の商品取消しが何度も行われていることが分かった。
さらに、その時点でレジ内の現金を確認すると、売上記録より実際の現金が多かった。
「……金額が合わないですね」
店長が主任を見る。
「今日だけのことです。釣り銭の渡し間違いかもしれません」
「それも含めて確認します。過去の取消し履歴も残っていますから」
主任の表情から、それまでの強気な様子が消えた。
明美は二人のやり取りを見ながら、隣にいる京子へ小声で聞いた。
「どういうこと?」
京子はレジと主任を見た。
「多く取ってたんじゃない?」
「でも、それならレジの売上も多くなるんじゃないの?」
「あとで消してたら?」
明美が京子を見る。
京子は店長が開いている履歴画面へ視線を向けた。
「多く打って、お客さんからお金もらって、あとで多く打った分を消したら、現金だけ余るでしょ」
「ああ……」
「それ取れば合うよ」
明美にもようやく仕組みが見えた。
客には実際より高い金額を払わせ、客がいなくなったあとで余計に入力した商品だけを取り消す。するとレジの記録上は本来の売上に戻る一方で、現金だけが余る。その余った分を抜けば、最後には記録と現金が一致する。
「じゃあ、今日はどうして現金が残ってたの?」
明美が尋ねると、京子は長くなった列が別のレジへ移動していく様子を見た。
「人がずっといたからじゃない?」
明美が主任を見る。
京子が金額を指摘したことで三台分の商品を最初から打ち直すことになり、その間に客が次々と並んだ。少なくとも、誰にも見られずレジから現金を取り出せるような状況ではなかった。
店長は主任に事務所へ来るよう告げ、別の店員へレジを引き継がせた。
その後のことは店側で調べるらしい。
京子たちは別のレジで改めて会計を済ませることになった。
正しい合計金額が表示されると、明美は京子を見る。
「本当に五千円くらい違ったね」
「うん」
「よく分かったわね」
「足し算だから」
「でも、さっきトマトが百九十八円で安いか高いか分からなかったじゃない」
「それは今も分からないよ」
「じゃあ何でこっちは分かるの?」
京子は明美の質問の意味が分からないような顔をした。
「値段が高いか安いかと、数字が合ってるかは違うよ」
明美は少し黙ってから頷いた。
「……そうね。違うわね」
京子は会計を終えた買い物袋の中を覗いた。
「ソーセージ入ってる?」
「ちゃんと入ってるよ」
「よかった」
明美には、隣にいる女性のことがまた少し分からなくなった。
◇ ◇ ◇
駐車場に戻った明美は、三台分の買い物袋と自分のワゴンRを見比べた。
「これ、おじいちゃんが心配してたの正しかったわね」
「入らない?」
「入れるけど、ちょっと待ってね」
後部座席を倒し、荷室の奥から順番に袋を積んでいく。隙間にも荷物を押し込み、最後には助手席に座る京子の足元にまで買い物袋が置かれた。
「ほら、入った」
京子が言う。
「入ったけど、次から三台はやめようね」
「なんで?」
「毎回これやるの大変だから」
「二台?」
「まず一台から考えようか」
「オッケー」
明美は運転席へ座り、エンジンをかけた。
「今日のスーパー、どうだった?」
「面白かった」
「何が一番?」
「試食」
「そこ?」
「ソーセージ美味しかった」
「事件じゃないんだ」
「事件?」
明美は京子を見た。
「さっきのレジ」
「ああ」
「もう興味なさそうね」
「終わったから」
「犯人だったかどうかは、まだお店が調べるんでしょ?」
「うん」
「気にならないの?」
「店長さんが調べるから」
「そういうもの?」
「うん」
京子は足元の買い物袋を見ながら続けた。
「あと、トマト百九十八円だった」
「それは覚えてるのね」
「普通なんでしょ?」
「今日のところはね」
「覚えた」
明美は思わず笑った。
「そっちは覚えるんだ」
「うん」
事件そのものに関心がなくなっただけで、今日あったことを何もかも忘れているわけではないらしい。
もっとも、知り合ってまだ半日も経っていない明美には、何を覚えて何を忘れるのか、その境目まではまったく分からなかった。
◇ ◇ ◇
家に戻ると、二人で大量の食材を冷蔵庫へ運び込んだ。
朝には水と氷しかなかった巨大な冷蔵庫が、ようやく本来の役目を果たし始める。
「京子ちゃん、それは野菜室」
「ここ?」
「そう。お肉はこっち。すぐ使わない分は冷凍しようか」
「ソーセージは?」
「今日食べる?」
「食べる」
「じゃあ冷蔵」
「分かった」
京子は明美に教えられた場所へ一つずつ食材を入れていった。
「明美さん」
「なに?」
「明日もスーパー行く?」
「今日これだけ買ったのに?」
「試食あるかも」
「試食を食べに行く場所じゃないからね」
「そっか」
京子は少し残念そうにソーセージを冷蔵庫へしまった。
明美が冷凍する肉を分けていると、京子がスマートフォンを取り出した。
「誰に電話するの?」
「おじいちゃん」
「今朝会ったばっかりじゃない」
「うん」
数回の呼び出し音で喜一が出た。
『京子ちゃん、どうした?』
「おじいちゃん」
『うん』
「回転寿司食べたい」
『回転寿司?』
「今日スーパーでソーセージ食べた」
『そうか。美味しかった?』
「うん。でも回転寿司も食べたい」
明美は肉を袋へ分ける手を止めた。
話の繋がりがよく分からない。
『分かった。明日の昼でいいかい?』
「うん」
『じゃあ用意しておくよ』
「ありがとう」
『楽しみにしてて』
「うん。仕事頑張って」
『ありがとう』
電話が切れる。
明美は作業を再開しながら京子へ尋ねた。
「明日、おじいちゃんと回転寿司に行くの?」
「行かないよ」
「じゃあ誰と行くの?」
「行かない」
「え?」
明美の手が止まった。
「でも今、回転寿司食べたいって言ったよね?」
「うん」
「おじいちゃん、用意するって言ってたよね?」
「うん」
「どこに?」
「ここ?」
「ここ?」
「うん」
「出前ってこと?」
「違うよ」
明美は冷蔵庫の前から京子を見る。
「じゃあ何が来るの?」
「回転寿司」
明美には意味が分からなかったが、京子本人はすでに電話の用件が終わった顔をしている。
「まあ……明日になれば分かるか」
「うん」
京子は冷蔵庫を開け、さっき入れたばかりのソーセージを確認してから満足そうに扉を閉じた。
この時の千葉明美は、まだ西条家を知らない。




