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第八部 新たな仲間

「ハックション!!」


ルミナスが旅立ってから一週間。


街には再び穏やかな日常が戻っていた。


「ユウトさん、風邪ですか?あ、それと

新商品の調味料、また完売です!」


リリィは嬉しそうに伝票を持ってくる。


「わかった、追加で仕入れておく、

最近は風邪を引くような季節じゃないんだけどな…」


そう独り言を言いながらユウトは通販スキルを開き、新しい商品を注文する。


セリスは店の前で荷物を運びながら笑う。


「最近は冒険者だけじゃなく、主婦の方もたくさん来ますね。」


「便利な商品が増えたからな。」


レンも店の屋根に座り、街の様子を眺めていた。


「こんな平和が続くといいわね。」


ユウトも空を見上げる。


「本当にな。」


その夜。


街外れの丘。


ユウトは一人で夜空を眺めていた。


日本にいた頃も、星を見るのは好きだった。


「同じ空なのかな……。」


その時だった。


一つの流れ星が夜空を横切る。


しかし、その光は消えない。


むしろ、どんどん大きくなっていく。


「……流れ星じゃない?」


やがて光は森の中へ着陸した。


ドォォン……


大きな爆発ではない。


何かが静かに降り立ったような音だった。


「落ちた?」


ユウトは急いで森へ向かう。


森の奥。


木々が円形に倒れている。


その中心には、長さ十メートルほどの銀色の物体があった。


細長い流線形の機体。


表面には見たこともない文字が刻まれている。


「これって……。」


ユウトが近づいた瞬間。


機体の一部がゆっくりと開いた。


プシュー……


中から一人の青年が姿を現す。


年齢は二十歳前後。


黒い戦闘服を身にまとい、腰には青白く光る剣を下げている。


まさにあの光の剣


「ここは……。」


青年は周囲を見回した。


そしてユウトを見る。


「人がいたか。」


「君、大丈夫か?」


ユウトが声をかける。


青年は少し驚いたような表情を見せた。


「言葉が通じる……?」


「俺はユウト。」


「君は?」


青年は静かに答える。


「俺の名はカイル。」


「銀河連合・外宇宙調査隊所属だ。」


「銀河連合?」


聞き慣れない名前だった。


カイルは腕の端末を操作する。


ホログラムが浮かび上がる。


そこには、ルミナスが見せたものとは違う宇宙地図が映っていた。


「俺たちは、ルミナスたち光の守護者と協力関係にある組織だ。」


「君がユウトで間違いないか?」


「そうだけど……。」


「やはり。」


カイルは安心したように息を吐く。


「ルミナスから連絡を受けて来た。」


「アーク・タイタンを撃破した人物に会え、と。」


「ルミナスが?」


「彼は今、帝国の動きを監視している。」


「この世界はまだ安全だ。」


「だが、安全だからこそ準備が必要だ。」


ユウトは腕を組む。


「準備?」


「君には、この世界を守る力がある。」


「通販スキルも、その一つだ。」


「だが、それだけでは足りない。」


カイルは空を見上げる。


「宇宙には君が想像もできないほど多くの文明がある。」


「敵もいれば、味方もいる。」


「そして君の力を狙う者も、いつか現れる。」


ユウトは静かにうなずいた。


「だから教えに来てくれたのか。」


「そういうことだ。」


その時、森の入口から声が聞こえた。


「ユウトさん!」


リリィだ。


「急に飛び出したから心配しました!」


セリスとレンも駆けつける。


三人は見慣れない青年を見て警戒した。


「その人は?」


ユウトは笑顔で答えた。


「敵じゃないみたいだ。」


カイルは軽く会釈をする。


「初めまして。」


「しばらく、この世界に滞在させてもらう。」


「皆さんの戦い方を見せてほしい。」


レンは小さく笑った。


「じゃあ、まずは私たちの街を案内しないとね。」


セリスも剣を納める。


「歓迎します。」


リリィは少しだけユウトの隣に寄りながら言った。


「でも、ユウトさんは私たちがちゃんと守りますから。」


その言葉にカイルは苦笑した。


「なるほど。」


「ルミナスが『信頼できる仲間たち』と言っていた意味が分かったよ。」


こうして、宇宙からの新たな来訪者カイルを迎え、ユウトたちの新しい日々が始まる。


しかしその頃、銀河の彼方では、アーク・タイタンとの通信が途絶えたことを記録した一隻の無人観測機が、静かにデータを送信していた。


その信号は広大な宇宙を渡り、はるか彼方へ向かって飛び続けていた


翌朝。


「えぇぇぇ!?」


リリィの大きな声が店中に響いた。


「カイルさんも、このお店で暮らすんですか!?」


カイルは苦笑しながら答える。


「長くても数か月だ。」


「任務が終われば帰る。」


ユウトは笑った。


「部屋は空いてるし、気にしなくていいよ。」


「ありがとう。」


そのやり取りを見ていたセリスは、どこか安心した表情を浮かべる。


「敵ではないと分かれば安心ですね。」


レンもうなずく。


「でも、相当強そう。」


昼過ぎ。


街の外にある訓練場。


「通販スキルだけじゃなく、自分自身も強くなるべきだ。」


カイルは木剣をユウトへ渡した。


「今日は剣の基本を教える。」


「よろしく頼む。」


セリスは少し嬉しそうだった。


「私もお手伝いします!」


ユウトとセリスが並んで構える。


カイルは静かに言う。


「剣は力だけじゃない。」


「相手の動きを見る。」


「呼吸を読む。」


「そして焦らない。」


カンッ!


木剣同士がぶつかる。


ユウトは何度も打ち込むが、カイルは最小限の動きで受け流していく。


「速い……。」


ユウトは汗を流す。


「君は才能がある。」


「だが、考えながら戦う癖が強い。」


「体が自然に動くまで鍛えよう。」


「なるほど……。」


その様子を見ていたリリィは笑う。


「ユウトさん、頑張って!」


夕方。


特訓が終わり、全員で休憩していると、ユウトの通販スキルが突然反応した。


《未知の通信を受信》


「通信?」


画面には今まで見たことのない表示が現れる。


《発信元 不明》


《接続しますか?》


ユウトはカイルを見る。


「こんなの初めてだ。」


「……接続してみてくれ。」


ユウトが「はい」を押した瞬間。


青いホログラムが空中へ映し出された。


そこに映ったのは、小さな球体型ロボットだった。


「ピピッ!」


「こちら、銀河連合自動支援端末ノヴァ!」


「通信成功!」


「カイル隊員!」


「やっと繋がりました!」


カイルは驚く。


「ノヴァ!」


「無事だったか。」


「もちろんです!」


「ところで……。」


ノヴァはユウトを見た。


「こちらがユウトさんですね?」


「初めまして!」


「私は戦闘支援AIです!」


リリィは目を輝かせる。


「かわいい!」


ノヴァは照れたようにランプを点滅させた。


「ありがとうございます!」


しかし、その直後。


ノヴァの表情表示が真剣になる。


「報告します。」


「銀河帝国の艦隊に動きがありました。」


その場の空気が変わる。


「現在、帝国がこの世界へ向かっている様子はありません。」


「ですが。」


「アーク・タイタンから最後に送信されたデータを解析している可能性があります。」


カイルは静かにうなずく。


「予想どおりか。」


ノヴァは続ける。


「それともう一つ。」


「ルミナスから伝言です。」


ユウトは思わず前へ出る。


「ルミナスが?」


ホログラムにルミナスの姿が映る。


『ユウト。』


『安心してほしい。』


『私は無事だ。』


『今は帝国の監視を続けている。』


『この世界は、しばらく平和が続くだろう。』


ユウトはほっと息をついた。


ルミナスは最後にこう言った。


『だからこそ、その平和を楽しめ。』


『仲間と笑い、学び、強くなれ。』


『その時間は、必ず未来で力になる。』


映像は静かに消えていった。


ユウトは空を見上げる。


「分かった。」


「次に会う時は、今よりもっと強くなってるよ。」


その言葉に、セリスは優しく微笑む。


「私も一緒に強くなります。」


リリィも元気よく手を挙げた。


「もちろん私もです!」


レンは弓を肩に担ぎながら笑う。


「じゃあ明日からは、四人で合同訓練ね。」


こうして、束の間の平和の中で、ユウトたちは新たな仲間とともに力を磨く日々を歩み始めた。


一方その頃、銀河のはるか彼方では、ルミナスが星々の間を静かに飛び続けていた。


その視線の先には、まだ誰も知らない、新たな脅威の影が広がっていた。

  


                次回へ続く

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