第三部 異世界恋愛発展記
ある日の昼。
ユウトの店はいつも通り賑わっていた。
「ありがとうございます!」
リリィが接客をし、セリスが商品の整理をしている。
そんな中――
突然、外から大きな悲鳴が聞こえた。
「きゃあああ!!」
「!?」
ユウトたちは慌てて外へ飛び出した。
すると街道の方から暴走した馬車が突っ込んできていた。
「この街暴走馬車多くない!?」
と俺が困惑していると
赤い髪をした若い冒険者が転んで動けなくなっている。
ちょうど暴走馬車の真ん前で
「まずい!」
ユウトは反射的に走った。
少女を抱きかかえ、そのまま地面を転がる。
次の瞬間。
馬車が轟音と共に通り過ぎていった。
「はぁ……はぁ……」
少女は呆然としていた。
「だ、大丈夫か?」
「え……?」
目の前には自分を助けてくれた青年。
優しい黒髪。
心配そうな表情。
少女の心臓が大きく跳ねた。
「助かった……の?」
「ギリギリだったな」
「……」
「怪我してないか?」
「だ、大丈夫です!」
顔を真っ赤にしながら少女は答えた。
その様子を見たリリィとセリスは嫌な予感がした。
ものすごく嫌な予感が。
・・・
少女の名前はアリシア。
十七歳の新人冒険者だった。
「本当にありがとうございました!」
「気にするなよ」
「でも命の恩人です!」
アリシアは何度も頭を下げる。
そのたびにユウトは困ったように笑う。
そしてその笑顔を見るたびに――
アリシアの顔が赤くなる。
(か、かっこいい……)
(優しい……)
(なんなのこの人……)
完全に恋の始まりだった。
その隣で。
セリスとリリィが静かに見守っていた。
「増えましたね」
「増えたわね」
「絶対好きになりましたよね」
「間違いないわ」
二人は同時にため息をついた。
「なんでユウトはこんなにモテるんだろうね。」
セリスが困り顔で呟いた
数日後。
アリシアは再び店を訪れた。
「こんにちは!」
「おう、アリシアか」
その一言だけでアリシアは嬉しくなる。
「今日はどうした?」
「実はお願いがありまして!」
彼女は地図を広げた。
近くの森に薬草採取の依頼があるらしい。
しかし新人なので不安だった。
「一緒に来てもらえませんか?」
「護衛か?」
「はい!」
ユウトは少し考える。
すると。
「私も行く」
セリス。
「私も行きます!」
リリィ。
二人が即答した。
アリシアは笑顔のまま固まる。
(なんか圧が凄い……)
・・・
翌日。
四人は森へ向かった。
アリシアは張り切っていた。
「頑張ります!」
「無理するなよ」
「はい!」
その返事だけで嬉しい。
しかし。
新人冒険者らしく失敗も多かった。
木の根に躓く。
崖で足を滑らせる。
重い荷物を持てない。
その度にユウトが助ける。
「大丈夫か?」
「ひゃい!」
「?」
「な、なんでもありません!」
アリシアの顔は真っ赤だった。
リリィは小声で呟く。
「完全に恋してますね」
「ええ」
「隠す気あります?」
「ないわね」
そんな事を繰り返しているといつの間にか夜になっていた
今日はこのまま森で一泊することになった。
夜。
焚き火を囲む四人。
アリシアはユウトの隣に座っていた。
少しでも近くにいたかったからだ。
「冒険者って大変だな」
「でも楽しいですよ」
「そうか」
「はい!」
楽しそうに話すアリシア。
ユウトも自然に笑う。
その光景を見ていたリリィは少し寂しくなった。
自分より先にユウトと仲良くなっている気がした。
セリスも同じだった。
気付けば。
二人とも黙り込んでいた。
そんな二人を見てアリシアはようやく気付く。
(あれ?)
(もしかしてこの二人も……)
(ユウトさんのこと好きなの!?)
今さらだった。
そして。
そして気づいた
自分がライバルだらけの恋に足を踏み入れたことも。
その夜
眠れないアリシアはテントの外に出た。
するとユウトが一人で見張りをしていた。
「眠れないのか?」
「少しだけ」
「新人の頃は緊張するよな」
「そうですね」
しばらく沈黙が続く。
星空が綺麗だった。
アリシアは勇気を出す。
「ユウトさん」
「ん?」
「また一緒に冒険してくれますか?」
「もちろん」
その答えに。
アリシアの胸は高鳴った。
「約束ですよ?」
「ああ」
彼女は小さく笑った。
(もっと一緒にいたいな)
(もっと知りたいな)
(好きになっちゃったな……)
赤髪の新人冒険者は。
完全にユウトへ恋をしていた。
そして
その光景をリリィは少し悲しそうな顔で見てみた
そして翌朝。
「俺はちょっとあっちの方に行ってるからこの辺で待ってて。」
悠人が何かをしに離れていくと
「アリシアちゃん」
リリィがアリシアに話しかけた
「アリシアちゃんはユウトの事を好きなんでしょ?」
「はい!?」
急な話でアリシアはすごく驚いた
「な、ななななぜっそれを…!」
「見てればわかるよ、アリシアちゃん分かりやすいし。」
動揺しまくるアリシアを見たセリスは後ろでこっそり笑っていた
「分かりやすいならユウトさんも気づいているってことですか!?」
「ううん、気づいてないよ、全く」
アリシアは首を傾げた
「え?なんで…」
「鈍感だからよ」
セリスが急に話に入ってきた
ユウトの話になると真面目になるのがセリスだった
「鈍感って…」
「そのままですよ、私たちがアプローチしても全っ然気づかないんだよね」
セリスとリリィが苦笑いしながら説明した
「そうなんですね…」
「と言うか話を戻して
ユウトは渡さない、絶対」
「いいえ、ユウトさんは私が…」
そんな事を話しているときユウトが戻ってきた
「すまん待たせた、早速行こう。」
「う、うんそうだね!!!行こー行こー」
リリィが顔を真っ赤にして焦っていた
その時アリシアは察した
(あ…これ、結構難しいかも…)
――次回へ続く




