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第二部 異世界通販発展記

 王都に『異世界通販食堂』第一号店がオープンした。


『異世界通販食堂』は、開店から三日で行列店になっていた。


 特に人気だったのはラーメンである。


「なんだこの汁!?」


「麺がうまい!」


「毎日食べたい!」


 異世界では麺料理自体は存在した。


 だが、出汁文化がほとんどなかった。


 醤油、鶏ガラ、油。


 それらを組み合わせたスープは衝撃だったらしい。


 厨房では悠人が汗だくで麺を茹でていた。


「はい醤油ラーメン! 次、味噌!」


「ユウトー! チャーシュー切れた!」


 ミアが叫ぶ。


さらに店の外では。


「俺は塩派だ!」


「いや味噌だろ!」


 客同士が論争していた。


「なんでラーメンで戦争起きてるんだ……」


 悠人は遠い目をした。


 翌日


 ある朝。


 悠人は炊きたての米を前にして思った。


「……卵かけご飯、食べたい」


 通販で取り寄せた醤油。


 新鮮な卵。


 白い湯気を立てる米。


 それらを混ぜる。


 シンプル極まりない料理。


 だがリリィは怪訝そうだった。


「生卵って大丈夫なの?」


「たぶん日本人以外は怖がるよな……」


 試しに一口食べさせる。


 数秒後。


「……なにこれ」


「うまいだろ?」


「ずるい」


「料理への感想じゃなくない?」


 その後、村で卵かけご飯ブームが発生した。


 特に忙しい農家たちに大人気である。


 そうブームに乗った農家たちを見ていると


 「ユウトさん、なにやら怪しい男が…」 


 村の外れで、怪しい男が捕まった。


 黒いローブ。


 赤い目。


 どう見ても怪しい。


「魔族です!」


 セリスが剣を抜く。


 だが男は震えながら言った。


「ち、違う! 俺はただ偵察に……」


「魔王軍じゃん」


 完全に敵だった。


 しかし悠人は、とりあえずポテトチップスを渡した。


「食う?」


「は?」


 数分後。


「……うまい」


 ぼりぼり食べ始める魔族。


 そのままコーラまで飲んだ。


「なんだこの刺激!?」


「炭酸だよ」


 そんな話をしてなんだかんだで仲良くなった


 この魔族の名前はガルドといって人間の偵察に来たららしい


 急成長してる人間領が不自然に見えたのだろう


 とりあえずお土産を渡した 


「……また来てもいいか?」


「コンビニ感覚で来るな」


 俺はツッコミを加えた


 その後ガルドは帰っていった


 一方その頃


 王都では共働き家庭が増えていた。


 しかし料理の負担は大きい。


 そこで悠人は冷凍食品を持ち込んだ。


「温めるだけ?」


「それで完成?」


 異世界の主婦たちは衝撃を受けた。


 特に冷凍餃子が人気だった。


 「皮がパリパリ!」


「肉汁すごい!」


 王都の料理人たちは危機感を覚え始める。


「このままでは料理屋が負ける……!」


 結果。


 料理技術競争が始まった。

 

 唐揚げやらコロッケやらを繰り出した俺は

 

 料理人たちを無残に散らせていった

 

 後々料理人達には詫びとして餃子達のレシピを教えた

 

 そして村へ戻ると村の外れにすごく大きい荒野があった。


 広大な荒地を前に、村人たちは頭を抱えていた。


「ここ全部開拓するの?」


「十年はかかるぞ……」


 悠人は通販画面を開いた。


『小型耕運機』


 翌日。


 機械が土を一気に掘り返していく。


「速っ!?」


「なんだこの鉄の猪!」


 ドワーフたちが目を輝かせる。


 その結果。


 村の収穫量は数倍へ跳ね上がった


 「おい兄ちゃん、その鉄の猪はなんだ!?」


 「これは猪じゃなくて小型耕運機と言って

畑とか作りやすくしてくれるんだよ」


 「ほほぉ〜これはすごい。」


 ドワーフ達は小型耕運機に見惚れていた



 ある日事件が起きた


 その名は「異世界プリン事件」

 

 その詳細はまず


 王女ルナリアが極秘で村へ来た事だ。


 目的は。


「ぷりん、という甘味を食べたいのです!」


 完全にグルメ目的だった。


 悠人はカラメルプリンを出した。


 一口。


 王女は固まる。


「……幸せです」


 その後。


 毎週のようにお忍び来訪するようになった。


 護衛騎士たちは頭を抱えた。


 そんな騎士たちを俺は苦笑いしながら見送った


 すると獣人少女ミアは正式に商会を設立した

 

 という報告が入った


 名前は『白箱商会』。


「絶対ユウトの影響だろ」


「わかりやすい方が売れる!」


 物流網は急成長し、日本製品が各地へ流通していく。


 その結果。


 村は急速に豊かになっていった。


 気がつけば最初は小さな集落だった場所が

 いつの間にか大都市へと変わっていた

 

 「集落もこんなに変わるんだな…」


 俺はこの世界に来た時から今のところまでを

思い出していた


 そして月日が経ち


 夏。


 赤竜がまた村へ来た。


『暑い』


「そりゃドラゴンも暑いよな」


 「何か冷たいものをくれ」


 俺は通販を開き購入ボタンを押した


 それは人が愛す夏の食べ物、アイスだ


 悠人はアイスクリームを差し出す。


 数秒後。


『冷たい、うまい』


 完全に気に入った。


 それ以降、赤竜は毎年夏になると現れるようになる。


 子供たちは普通に懐いていた。


「ドラちゃん来たー!」


『ドラちゃんではない』


 …平和だな




 異世界通販食堂は朝から長蛇の列。


 特に人気だったのは。


 ラーメン。


 餃子。


 唐揚げ。


 完全に日本食が異世界を侵略していた。


 店内ではミアが忙しそうに走り回る。


「追加注文ー!」


「プリン売り切れました!」


「早いよ!?」


 その様子を見ながら、悠人は苦笑した。


 最初は森で一人だった。


 それが今では。


 こんな大勢と笑いながら暮らしている。


「人生わからないもんだな……」


 王都の広場は、妙な匂いに包まれていた。


「なんだこの香り……」


「腹減る……」


 悠人は大鍋をかき混ぜながら汗を拭った。


 今日の新メニューはカレーである。


 大量の玉ねぎ。


 肉。


 香辛料。


 そして通販で取り寄せたカレールウ。


 ぐつぐつ煮込まれた鍋から、食欲を刺激する香りが漂っていた。


「本当に売れるのか?」


 セリスは半信半疑だった。


 異世界では香辛料文化が薄く、刺激の強い料理は珍しい。


 だが。


 一口食べた客が固まった。


「……うまい」


 次の瞬間。


「おかわり!」


「辛いのに止まらない!」


「なんだこの料理!?」


 一気に大行列ができた。


 さらに問題だったのは。


「甘口ください!」


「激辛は!?」


 辛さ論争まで始まったことである。


 俺はみんなに激辛でも甘口でもない、


 両方を混ぜたオリジナル中辛を渡した、すると

 

 「なんだこれ!?辛いけど辛すぎず甘口だけど甘すぎない絶妙な美味さだ!?」


 好評だった


 悠人は思った。


 カレーは異世界も救う


 まぁそれくらいカレーは大事って事だろう


 そして家へ帰るとクッションに沈むセリスが居た


 珍しく騎士団の仕事が休みだったらしい


 だからセリスは悠人の家でごろごろしていた。


「……このクッション、危険だ」


 人を駄目にするクッションに沈み込みながら、真顔で言う。


「だから言ったろ」


 さらに彼女の膝には漫画があった。


「続き……気になる……」


「完全にオタクじゃん」


「否定はしない」


 かつて王国最強騎士と呼ばれた女は、完全に通販生活へ堕落していた。


 昼には冷凍パスタを食べ。


 夜にはこたつへ入る。


「もう王都帰りたくない」


「だめだこの騎士」


 「だめではない!ただ…ずっとくつろぎたいだけなのだ…」


 セリスが甘えたような口調と顔で言う


 「グッ…だが流石にずっとはダメだろ…」


 俺は押されながらも否定した


 そんなことをしている頃


 魔族領にある魔王城。


 重苦しい空気の中、幹部たちが集まっていた。


「人類側で文明レベルが異常発展しています」


「原因は?」


「わかりません」


 魔王は報告書を見ながら眉をひそめた。


『冷たい箱』『夜でも明るい灯り』『うまい菓子』。


 魔王は報告書を見ながら頭を抱えていた。


『我が軍の兵が人類領へ通っています』


『理由は?』


『美味しい料理と温泉です』


「……は?」


 さらに別の報告。


『ポテトチップスが人気です』


『漫画貸してくださいと頼まれました』


 魔王は静かに天井を見上げた。


「我が軍は何をしているんだ……」


 だが。


 少しだけ興味も湧いていた。


 その村に。


 そこまで人を変える何かがあるのかと。


「……ガルド」


「はっ」


「お前もう一度行ってこい」


 ガルドは少しだけ嫌そうな顔をした。


「いや、行くのはいいんですが……」


「なんだ」


「帰りたくなくなるんですよね、あそこ」


 魔王軍幹部たちは困惑した。


 「それはどうゆうことだ。」


 魔王が聞いた


 「私が向かったとき、とてつもなく至福だったのです、冬でも暖かいテーブル、温めるだけで食べられる食事など数しれない程の魔道具らしき物がありました。それのせいで「帰りたくない」という感情が生まれました。」


 その説明を聞くと魔王の顔は考え込んでいる顔になっていた


 「よしその人間のところへ私自ら行こう。」


 幹部たちが驚いた


 「魔王様自ら!?なりません!ならば我々が…」


 「口答えをするな!これは決定事項だ異論は認めん」


 そう言いながら魔王は人間領へ向かった


 「あ、それとガルド、ついてこい」


 「え?その、ま、魔王様?」


 そう言うと魔王は困惑するガルドを掴んで連行していった


 その後ろ姿を幹部たちは無言で見送った



 

 魔族たちがそんなことをしているとき


 は試しに喫茶店を始めていた。


 最初は誰もコーヒーを理解しなかった。


「苦い」


「薬?」


 しかし。


 砂糖とミルクを入れると評価が一変する。


「落ち着く……」


「仕事中に飲みたい」


 特に貴族たちに大流行した。


 静かな店内。


 漂う香り。


 ゆっくり過ごす時間。


 異世界に『カフェ文化』が誕生した瞬間だった。


 この世界はやはり文化が進んでいない


 悠人は文化を進めるために


 村近くの温泉地を本格整備することになった。


「露天風呂……だと?」


「空見ながら風呂入れるぞ」


 その結果。


 異世界人たちは完全に風呂に脳を焼かれた。


「帰りたくない……」


「わかる」


 旅館まで建設され、観光客も増える。


 卓球台まで導入した結果。


 なぜか温泉卓球大会まで始まった。


 しかも多分専用語の「サー!」まで出来てしまった


 俺は息抜きに外を散歩していると


 魔族の青年ガルドがまた来た。


 しかも後ろに魔王を連れて


 「ユウト殿魔王様がそちらの文化を知りたいと言っておられるのだがいいか?」


 俺は驚きながらも了承した

 

 「感謝するあそうだ手土産に魔族領の肉を持ってきたんだ、皆で食べてくれ」


 「あ、ありがとう」


 その夜はバーベキューになった。


 人間。


 エルフ。


 獣人。


 魔族。


 みんなで笑いながら肉を焼いている


「……戦争ってなんだっけ」


 セリスは遠い目をした。


 「国同士の喧嘩」


 俺はそういった


 「確かにそうだけども!そうゆうことじゃなくて!」


 俺はツッコまれた


 ……俺って空気読むの下手なのかな


 次の日魔王が魔族領に帰っていった


 荷物はガルド達に任せて


 「が、頑張って〜」


 俺は微量ながら応援した


 「あぁ感謝する」


 そしてガルドは魔族領へ戻っていった


 「魔王って女だったんだな。

男のイメージが強かった…」


 「ちょっと分かる」


 と一人の村人が同乗してくれた



 ガルドが魔王城に戻ると幹部達は驚いていた


 彼の荷物は異常だった。


「……なんだその箱は」


 幹部の一人が眉をひそめる。


「カップ麺です」


「かっぷ?」


「お湯を入れるだけで飯が完成します」


 全員が胡散臭そうな顔をした。


 しかし三分後。


「……うまい」


「早い」


「夜食にちょうどいい」


 魔王軍に衝撃が走った。


 その日から、魔王城では深夜に麺をすする音が響くようになる。



 翌週。


 魔王は寝不足だった。


『なぜ夜中に廊下から匂いがするのだ』


 原因は部下たちだった。


 みんな夜更かししてカップ麺を食べている。


 しかも。


『新作味噌味入りました!』


『塩もあるぞ!』


 完全にハマっていた。


「……夜食は禁止だ」


 魔王が禁止令を出した結果。


 逆に隠れて食べる兵士が続出した。


 その日から魔王はカップ麺を食べるのは週に一度だけという法則を追加した


 流石に危ないと察した部下達はちゃんと法則を守った


 「魔王軍より人間領ホワイトじゃない?」


 兵士たちがそんな話をしていた


 温泉。


 美味い飯。


 休日あり。


 完全に比較対象がおかしい。


 ガルドはその話を聞き魔王に報告した


 「いかが致しましょう」


 「ここまで来たら、もう人間と和平交渉をする」


 幹部たちは驚いた


 歴史上人と魔族が友好になる事なんて一つも無かったのだ


 後日魔王は王都の国王と交渉をして和平交渉は可決 した

 その日国王が悠人に「貴殿のおかげで平和が生まれた、感謝する。」

 と礼を言われた


 「これは歴史的快挙何じゃない?」


 とリリィが言う


 「いや悠人はもともと歴史的快挙をしてるでしょ」


 とセリスが言った


 「そう、なのかもな…」


 俺は少し笑いながら沈んでいく夕日を見つめていた



                  次回へ続く

 





見ていただきありがとうございます

面白いと思ったら感想や評価よろしくお願いします

やっぱあんまり人気でないな…泣

この作品代表作品なので人気が出てくれると嬉しいです

それとこの作品の名前をそのまま言うと長いので

略します

「異世スロ」と略させていただきます

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