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【和風】悪役義妹がお姉様の溺愛結婚を壊すまで  作者: 稲井田そう
第十二章お姉様を欲する変質者
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猫又討伐作戦


「報告によれば猫又は授業中、わざわざ皆の前に姿を現わし美浜の娘を襲ったとお伺いします。それまで猫又の犯行は背後から狙うようなもので、姿を見せることには消極的だった。しかし自分の犯行を模倣したようなやり方が気に入らず、わざわざ白昼堂々殺しに行ったのなら……美浜の殺人と自分の殺人を区別したかった。そんな相手を食らいきるならまだしも、融合なんてわざわざしない。誰か人間を使うしかないにせよ、そんな因縁の相手は選びません。誰かに融合させられ、甘んじて受け入れている──とみています」


 すごい、霧島先生は千年桜は恋と咲くの知識なく、真相に辿り着こうとしている。


「そのうえで、なぜ水社くんは、猫又の容姿を知ることが出来たのですか」


 霧島先生は水社一心に問いながら、私を見た。


 まただ。


 刀といい、帝都で、千年桜は恋と咲くの知識があることでなんとなく進んでいったものごとが、改め検証されている。


「それは……」


「それは、心を読んだ総合計ですよ」


 それまで黙っていた富山局長が口を開いた。


「総合計?」


「ええ、彼は……まだ一年目ですけどね、今年二年目になりますが、心を読める能力で少尉になっているんですよ。皇都の軍なら水社家っていえば、大尉になってもおかしくないでしょうけど、帝都ではまだ少尉なんです。まぁ、二等兵から軍でやってる僕なんかからすれば、相当な将来有望な人材ですけどねえ……はは」


 富山局長は自嘲気味に笑う。


「ただ、心を読める能力があって、口に出したくても、ねぇ、中々証言としては軍に言えない人間も多くて、そういう、自分は発言に責任取りたくない、気のせいかなという人間の意見を集めた結果が、それだったというだけで」


「本当に?」


「まぁ、色々気にするのがお仕事だとは思うのですが、もし仮に何か別の能力が水社くんや、今……勘ですけど、枯賀さんを気にしているようだから枯賀さんにあったとして、じゃあどうぞ皇都に献上しますというのは、どうしても難しい。二人が、人でも殺しているなら別ですけど、研究のみを意図しているのなら、出来ない。特別な能力がある、研究しよう、研究の結果、その能力が永遠に失われた──これが軍にとっては一番、困ることです」


「ふむ」


「それに今は、猫又の事件のことがあって、こうして猫屋敷様のお屋敷に招かれている。ね」


「え」


 富山局長に柔らかく声をかけられた猫屋敷様は少し困惑した顔をした。


「ああ、すみません。丁度、同じ年頃の娘がいるんです。申し訳ございません」


「……そ、そういうことですのね。別に構いませんわ」


「ありがとうございます……なので、水社くんや枯賀さんの情報について、何か手がかりがあるのなら、質問するのは当然として、この二人が自分たちのために言わない、伝えないということは、無いと思うので、今は調査にするということで」


「……しょ、承知しました」


 霧島先生は少しトーンダウンした。


 富山局長、列車内ではたじたじだったのに。


 富山局長が輝宮寺の親に怒った時もそうだけど、局長の場合は怒りのトリガーが第三者が弱った時……なのだろう。


 富山局長の命令違反って……なんなんだろう。


「まぁまぁまぁ、それで、どうするんです? 我々帝都は、いまいち、やっていいことと悪いことが分からずというか、皇都には皇都の、しきたりとか、色々あると思うんで」


 真原さんが場の空気を変えるように話す。


「確かに、皇都は沢山のしきたりのもと、存在しております。ゆえにお話は、きちんとお部屋でしましょう」


 猫屋敷様が突き進んでいくと、やがて障子の並ぶ行き止まりに至った。


 そばに立っていた侍女が扉を開く。


 猫屋敷の名にふさわしい、猫の意匠の大広間だ。






 猫屋敷様を上座に、私たちは広間に通された。目の前には和菓子とお茶が並び、猫屋敷様は侍女の準備が済むと本題を切り出した。


「もう特務課に任せてもいられませんし、わたくしは猫屋敷家の当主として貴方たちに指示を行うほうが効率的だと思っておりますの」


「ええ……」


 猫屋敷様の言葉に熾窪が眉間に皺を寄せる。茶菓子には一切手をつけていない。


「それに、女手が必要でしょう? 猫又が狙うあやかしは皆、女。そして水社様に近づいた者に反応を示す美浜のご令嬢の在り方を考えれば、昼と夜に人格が移り変わるにせよ、二人の女が必要になる。帝都から女性が派遣されるとお伺いしましたけれど、その姿も見えないままで」


 猫屋敷様が「なので、私が出るほかないでしょう」と続けた。その言葉に加寿がニヤリと笑う。加寿は既に茶菓子を綺麗に切り分け食べていた。福野さんと酒呑童子と加寿だけだ。今茶菓子に手をつけているのは。福野さんは真原さんの茶菓子を見ているし、酒呑童子は「おかわりあるか?」とそばの侍女に小声で聞いていた。小声で聞ける社会性を備えていることに驚く。港の人々との協業の成果だろうか。


「末理さんのこと男性だと勘違いしているみたいですね。まぁ、皇都の女性は髪は伸ばせ──なので」


 加寿が耳打ちしてきた。確かに千年桜は恋と咲くで、髪が短い女性人物はいない。そもそも、女性人物が極めて少ないけど。皇都ではともかく、原作者インタビューで「刑事ものの男女比のイメージのつもりです」と簡素に答えていた。


「私が囮になり、猫又をこの手で抹殺するつもりです」


 キッパリと猫屋敷様が告げた。



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― 新着の感想 ―
霧島先生、すご推理力ある〜!! オワァ〜!!?切り込まれちゃった…!!! 富山局長〜!!!すごい!!!めっちゃナイスフォローで…!!!末理ちゃん、一心くんが何か言いたくなさそうな気配気づいてフォローし…
主人公!報連相!誰も訂正しないのは意図しての事なのかな。あっという間に読み終わるけど明日が楽しみにもなる。
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